328 :371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg:2008/03/29(土) 21:17:03


「こんな神秘の塊が、ふらふら歩き回ってるのを見たら、魔術を知る者なら怒って当然だろう」

「あっ……」

 言われてハッとした。
 慎二の怒りの理由、それは神秘を隠匿する立場としての純粋な倫理観から来るものだった。

「そっか……慎二なら、説明しなくても解っちゃうか」

「……衛宮、あんまり僕を馬鹿にしないで欲しいな。
 僕だって、まがりなりにも間桐の家に生まれた人間なんだぜ」

 それは……確かにそうだ。
 慎二は、俺なんかよりも遥かに魔術師としての知識や倫理観に精通している。
 本人は既に間桐の家を継ぐことを放棄したがっているようだが……それでも今までの観念が覆るわけじゃないだろう。

「魔術師じゃない僕だって、神秘を扱う者のルールはよぉく知ってるさ。
 全く、ふざけてるとしか言えないね。
 一体何を考えて、こんなところにのこのこやってきたんだか」

「う……」

 恐らく、遠まわしに俺のことを非難しているのだろう。
 なぜなら、雛苺の保護者を自称したのはこの俺であり、雛苺を野放しにしたのもまた俺なのだから。
 確かにその通り、今回のことは余りにも軽率だったかもしれない。
 雛苺を連れてきたのなら、他人の目を避けるように注意しておかなければならなかったんだ。
 見つけたのが慎二だったから良かったようなものの……いや、この場合、慎二が見つけてくれたのは不幸中の幸いだな。

「ま、その様子じゃ、僕が言うまでも無く、わかってるようだね。
 僕は寛大だから、今回は許してやるよ。
 感謝しろよ?
 これが遠坂だったら、一回目の失敗で大目玉食らってただろうからね」

「うげ、それは容易に想像できるな……」

 きっと「いっぺん平行世界を見てきなさい」とか言ってかっ飛ばされるんだろうなぁ。
 夜空に笑顔でキメ! している俺の似合うこと似合うこと。
 そしてまたセイバーに鞘がどうのこうのって文句言われるんだ、俺が。
 軽くシミュレーションで鬱になっていると、慎二が話を切り替えてきた。

「……で、衛宮。
 それはそれとして、僕にするべき話があるんじゃないのか?」

「え?」

「鈍いねオマエ。
 僕はコイツが神秘だってことはわかっても、一体どんな神秘なのかまでは知らないんだぜ?」

「あ、そっか」

 つまり、雛苺が何者なのか、説明しろと言ってるんだな。
 確かに、慎二になら説明してもいい……のか?


α:「実は……」俺は慎二にアリスゲームに関する事情を説明した。
β:「あー、実は……」俺は適当な嘘で、なんとか誤魔化そうとした。
γ:「う、ううん……」説明しようとした時、倒れていた蒔寺が目を覚ました。


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α:4
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最終更新:2008年08月19日 03:47