562 :371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg:2008/04/17(木) 22:57:04


「いや、実は既に二人には話してしまっているのだが」

 って、おおい氷室さぁーん!?
 さらっと凄い爆弾発言をした氷室は、確認を取るように三枝さんに視線を送った。
 三枝さんは、こちらを……特に慎二を伺うようにしながら、小さく頷く。

「う、うん。
 雛苺ちゃんのことだよね?
 先週、鐘ちゃんが『二人にだけは話しておく』って、教えてくれたの」

「すまん、衛宮。
 すっかり言い忘れていた」

「いや、まあ……俺も、他言無用とは言ってなかったしな……」

 むしろ、魔術師の常識として神秘は隠匿するものだと思ってたから、これは思いっきり盲点だった。
 そして、孔明ばりの策略が無駄に終わってしまった慎二の反応やいかに。

「…………」

 あ、ピカソみたいな顔になってる。
 やっぱり、俺以上に魔術師の矜持がある慎二には色々とショックだったのか。

「おーい慎二、元気出せー。
 ほら、どっから持ってきたんだよそのダンボール。
 はやく『遠坂桜』に返してこい」

「……いいよ、もう。
 素人に説明する手間が省けたと思えば、どうってことないね。
 だからもう、さっさと僕に説明するターンに移ってくれ」

「あ、ああ、わかった。
 でもその前に、雛苺を連れてこようか」

 俺は慎二の組み立て始めたダンボールを18レスほど手前に放り投げてから、弓道場の奥へ歩き出した。

*****

 薔薇乙女《ローゼンメイデン》。
 人形師ローゼン。
 薔薇の指輪の契約。
 ミーディアムと力の行使。
 nのフィールド。
 そして……。

「……アリスゲーム。
 究極の少女になるために七体の人形が殺し合い、か。
 ふん、なんだかどこかで聞いた事のあるような話だね?」

 大まかな説明を聞き終えた、慎二はそう言いながら笑った。
 こら、とぼけながら俺に意味深な視線を送ってくるな。

「へー、どうやってうごいてるんだー?」

「えっとね、ヒナは発条を巻いてもらって動くのよ」

 あっちでは、子供の時分から好奇心旺盛だったらしい蒔寺と、それに仲良く付き合う雛苺の二人の姿が。
 精神年齢的には丁度いい、のかな?

「とにかく、あのチビの由来は理解したよ。
 でも、それをほっといて勝手に歩き回らせるのはどうかと思うね。
 下手をしたら、僕より怖い冬木の管理者が消しに来るぞ?」

 慎二はあえて、他者にはわからないように言葉を選んだが、冬木の管理者が誰のことを指しているのかは明白だった。

「悪かった。
 これに関しては完全に俺の軽率だった」

「ま、僕には関係ないことだけどね。
 ああそうだ。
 さっきの話を聞いて、もしかしたらと思ったんだけどさ」

 俺が謝ると、慎二は意外とあっさりと話題を変えた。
 軽い口調でもたらされたその情報は、意外にも――。


α:蒔寺の精神治療とnのフィールドに関わる推測。
β:新都で最近見かけたアンティークドール店の噂。
γ:バイト先での薔薇の指輪を嵌めた人物の目撃。


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最終更新:2008年08月19日 03:48