154 名前:
ブロードウェイを目指して ◆bvueWC.xYU [sage] 投稿日: 2006/09/06(水) 13:30:35
「むむ……遠く天竺にあるという鉢、しかもこの世に一つしかないものを探せと言うのか…………」
琥珀さんが眉間に皺を寄せて今後の思案をしているのが最初に目に入った。
「姫と婚姻するために鉢はもちろん手に入れたい。とはいえ、このような物を探していたらいつ
他の皇子達に姫を取られるか知れたものではない。一体どうすれば……」
「いかがいたしますか。他の皇子殿たちはすでに各々の課題に向けて動いているようですが」
晶ちゃんが琥珀さんのセリフに応えるように臣下のセリフを繰る。兼任する端役の一つなんだろう。と、教室の他の一角に移すと、
「何故、主君である私の命に従わないのだ!」
気圧されるほど凛とした厳しい声が俺の耳に届く。
声の主は秋葉で、いつも以上に高飛車な雰囲気を全開にして片手を胸に当てて自らを強調していた。
「そなたらは臣下。臣下というのは命を賭してでも主君のために命を遂行するものだ。それなのになぜそなたらはそのような顔をする!!」
一人で稽古をしているはずなのだが何故だろう、目の前に何十人もの家来が跪いている気がする。
いつも遠野グループを束ねているからだろうか、こういう役は秋葉にぴったりかもしれない。
「もうよい! そなたらの忠誠心なぞそんなものか! こうなったら私直々に龍の首の珠を獲りに行く!
連れも必要ない、そなたらには暇を出す。そこでそなたらの行いをもう一度考えるがよい!」
そう言うが早いか、踵を返して大股気味に舞台からハケようとする秋葉。そうして、
「ハイ、秋葉様。そこまででよろしいかと」
翡翠が手を叩きそう告げる。どうやら翡翠が今の演技を見ていたようだった。
「そう。どうだった、翡翠? 何か気になった所はある?」
「いえ、特に何も」
「……翡翠。今は遠野の主人と侍女の関係など関係ないわ。純粋に私の演技の感想を言ってもらいたいの」
「はい、理解しております。踏まえた上でそのような点はないと申したのです」
「…………そう、ありがとう」
そんな二人の会話がどこか嬉しくて何故か頬を緩めた。と、
「遠野君っ! 一体どこに行っていたんですか!」
「あー、志貴やっと見つけたー!」
いつの間にか目の前にアルクェイドとシエル先輩が俺に迫っていた。
「いや、どこって……その、弓塚と一緒に稽古を」
「「二人きりでっ!!?」」
そういう所だけは気が合うんだな、二人とも。
「う、うん……なあ弓塚」
「そ…………そうですっ」
二人の気迫に押されないように弓塚はちょっと大袈裟に胸を張って言ってみせた。
「……………………」
しばしの沈黙の後、
「ま、どうせ相手がさっちんだしいいか」
「そうですね。それに遠野君も鈍感ですから何事もないでしょうし」
う、それを言われると傷つくな……先輩。
「では今日はコレで解散とします。明日も稽古なんでゆっくり休んでください!」
晶ちゃんの号令で今日の稽古が終わった。と同時に、
「兄さん、さっさと帰りましょう! あんな年増や外人に構ってないで!」
「いえいえ、こういう時こそ後輩と先輩の仲を深めるという意味合いで私と帰りましょう、遠野君」
「えー、志貴ー。今日はあたしと帰ろうよー」
まぁ、ある程度読めた展開だからそんなに動揺してないけど結構つらいよな。誰を選んでも誰かから恨まれるから。
俺は……、
喧:今日は疲れた。まっすぐ屋敷に帰ろう
嘩:久しぶりに先輩の家に行こうかな
両:今日はアルクェイドに付き合ってやろう
成:今日は何だか有彦とラーメンが食いたいな
敗:弓塚と今日の反省がしたい
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最終更新:2006年09月06日 18:08