80 :エルメロイ物語 ◆M14FoGRRQI:2008/05/24(土) 02:41:01
「待ちぼうけー 待ちぼうけー バゼットちゃんが待ちぼうけー」
女子寮の玄関前、バゼット(中二)は今だ来ぬサラを待ち即興の歌を口ずさんでいた。
実は彼女には重大な秘密がある。ここで出会った人達には将来時計塔に入る予定だと
言っているが本当は両親からは時計塔に入ることを反対されていたのだ。
それゆえに今回の訪問は彼女にとって両親を説得しうる何らかの経験を得るための
絶好の機会だったのだが―、
「待ちぼうけー 待ちぼうけー 門の前で待ちぼうけーサラさんまちまち木の根っこー」
門の前で体育座りで待つバゼット、口ずさむ歌に少しずつイラつきが混ざり始める。
ロード・エルメロイ講演会が中止になっているのをここに来て初めて知らされるわ、
変体幽霊に付きまとわれるわ、変体幽霊のマスターも壁に埋まった変態で、
ロード・エルメロイの弟子も親戚も変態揃い。
そして、ようやく出会った比較的自分に友好的で学ぶべき事が得られそうな女性は
大幅に遅刻中。サラと別れる時、いつ女子寮に向かうかについては別に特定の時間を
約束したわけではないが、これだけ待たせたら一般社会の常識に照らし遅刻と言っても
いいだろう。
「待ちぼうけぇー 待ちぼっうけー」
だんだん声が大きくなってくる、しかし、怒りの理由は上記した事項だけではない。
いや、むしろ怒りの大きさで言えばこれから述べる事の方が比重が大きいのだ。
バゼットの目の前にある門、その門には石ゴーレム作成術の類型魔術が使用されているの
だろう。門の枠の中央、自動ドアで言えばセンサーの位置に当たる部分に存在する
エメラルド製の眼をこちらに向け、その少し下にある口からきっちり1分置きに
メッセージを飛ばしてくる。
「我、女子寮玄関にして不埒な男共からか弱き女子を守る存在ゲートキーパーなり。
そこの女装少年よ、無駄な抵抗はやめて立ち去りたまえ。
警告にそむきこれ以上近づいた場合、我、実力をもって汝を排除す」
「私女装少女です」
「否、汝が魂は男。我、騙すことあたわず」
40回目のやり取りだった。バゼットはゲートキーパーが再び警告を発するまでの間
待ちぼうけを歌い続け。一曲終わったころ、先ほどと同じ問答が繰り返される。
いつものバゼットなら「私は女じゃボケェ!」とばかりに門を破壊するのだが、
さすがに今回は起こりうる事態を把握しているので内に怒りを溜めつつも実行には
移せない。
最初の問答の直前にバゼットは偶然にもゲートキーパーの実力を垣間見てしまったのだ。
ズバリこのシーンである。
(「ぬっふふ~ん、お宝はいただきだぜ~」
「うおっうおっうおおー!女子寮―!」
「ふーじこちゃ~ん」
ブォォォォー!!!
尻から黄色い煙を噴射して、ミサイルのように女子寮の正門に突っ込んでいく三人。
そして一秒後、女子寮から発生したバリヤーによってカキンカキーンと音を立て
空の彼方へと消えていくエロルパン同盟。)
「・・・・・・・・」
切れ者を気取るわけではないが、しかし優秀であることは間違いない自分の脳みそを
フル回転させてもこの混沌とした状態から抜け出る一手はなかなか思いつかない。
とりあえず凛、いやバゼットは・・・・
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最終更新:2008年10月07日 18:03