345 :Fate/式神の城 ◆v98fbZZkx.:2008/11/09(日) 04:47:46
→一度家に帰って、セイバーや結城さんと合流する
《後藤》が言っていたことを調べるとして、一人で動くのは最低の行動だ。
万が一、サーヴァントや例の人形に襲われたとして、魔術もろくに使えない今の俺は、間違いなく敗北するだろう。
そうそう何度も都合よく、日向のおっさんはいないのである。
最低でも、家に帰って武器の調達。可能なら結城さん、セイバーとの合流。
とりあえずの行動指針決めて、俺は自宅に向かうことにした。
一方そのころ/シーン名:おいてけぼ凛
遠坂凛は、穂群原学園の屋上にやってきていた。しかし、二月の風が身に染みる以外、屋上には人影も無い。
凛のクラスのHRが終わったとき、士郎のクラスはもぬけの殻であった。昨日、再び発生した殺人事件のせいで、部活の中止と即時帰宅が厳命されている。
しかし、帰る前に自分に一言あるか、合流するはずだと思って探してみるものの、近くに士郎の姿はなかった。
そして屋上。繰り返すが無人である。
ここに至って、凛はようやく士郎の帰宅を確信した。
確かに放課後に合流するなどとは約束していないが、いくらなんでも黙って帰宅はないだろう。
凛は、後で士郎をぶん殴ろうと決めた。
(凛、衛宮士郎が壬生谷とセイバーに合流するようだ。どうする?)
脳裏に響く、アーチャーの声。ちなみに、凛が屋上で周辺の監視を命じていた。
せめて数分早く、凛が屋上に来る前にアーチャーがそのことを告げていたら、結果は変わっていたかもしれない。
凛、アーチャーの報告にイラッときた。実体化を命じて、早く言いなさいよ、と言ってぶん殴る。
アーチャー、英霊のくせに崩れ落ちた。理不尽なのに文句の一つも言わない。わりと何を言っても無駄なのは、実体験である。
一発ぶん殴って、やけにスッキリする凛。士郎を許してやれるような気分。あれー? と不思議に思った。
/一方そのころ 了
結城小夜とセイバーは、昼、新都を歩く間に一言の会話を交わすこともなかった。
元々、双方ともに歓談好きなわけでもなく、捜査の進展が無いので、事務的なコミュニケーションすら不要であったため、その結果は当然だ。
そして、その無言の対峙は、衛宮家の居間へと帰還して一時間ほど経った現在も続いていた。
無言の中で、セイバーは、対面に座る小夜を観察していた。
まず、挙動に隙が無い。文字通り「無い」。0だ。
たとえ、セイバーが放つ神速の剣でも、小夜の不意を付いた一撃を入れることはできない。そもそも、不意が無いのだから、それは当然だ。巫女は突然の攻撃を、動じることもなく回避して、間もおかずに反撃に転じるだろう。
その状態は異常であった。いかに練達の戦士でも、これだけ完璧な警戒状態を続けられるのは、相当短い時間でしかない。その状態を、小夜は朝から、否、昨日から続けている。
はたして、目の前の少女は本当に人間なのかどうか、セイバーの疑念は深まる。
無論、剣をとって負けるつもりは毛頭ないのだが。
一方の小夜も、水面のような瞳でセイバーを見つめ、散々繰り返していた評価を確定させた。
サーヴァント・セイバーの攻撃はすべて必殺であり、実体、魔術ともに防御はほぼ完璧。その撃退、撃破は非常に困難である。
まず、小夜がまとった装束に施された防御魔術がほとんど無意味である。ただの魔術ではない。精霊や神霊に対抗するために、数千年単位で鍛えられてきた魔術が無意味なのだ。
装束に施された魔術は、凡百の死徒程度なら近付くだけで炎上させ、鋼の刃を防ぎ、普通の人間でも悪意を持って触れれば焼死体が出来上がるような、常識外れの「破邪」の概念が込められている。この魔術、肉体がない幽霊のような存在に対して、特に効果があった。
だが、目の前の英霊はどうだろうか? いかに英霊とは言え、霊体である以上は影響があるはずだが、まるでそれを感じさせない。なんと強力な耐魔力だろう。
ちなみに、今日一日小夜が歩き回った新都では、亡霊怨霊の類がまとめて消失した。向こう一年は霊障の心配はないだろう。
セイバーは強い。単純に強い。
小夜は、セイバーをおおむねそういった評価で見ている。その撃破は、「困難」であっても、「不可能」ではないと断じながら。
繰り返すが、二人は無言である。雰囲気は、常人が近付いてはいけないレベルで悪かった。
「うっわあ……」
俺は、居間の雰囲気によって、おもわず部屋の外まで後ずさった。逃げたい、すごく逃げ出したい。
静かに瞑想する結城さんと対峙して、セイバーは視線を彼女からそらさず無言。
この場が我が家の居間でなく広大な武道場ならば、それは「ピンと張り詰めた空気」とでも言えるのだが、今目の前にあるものは、どこからどう見ても「一触即発な雰囲気」であった。
「士郎、帰りましたか」
「あ、ああ……なあ、セイバー? 結城さんと何かあったのか?」
「いいえ、何も。そもそも、サヨと私の間で「なにか」があれば、今頃は新都なり深山町が無くなっています」
なにか、今ものすごい発言が飛び出した気がするのだが、ここは聞き流しておいた。
結城さんとセイバーを一緒にしたのは、とんでもないミスだったのかもしれない。この二人、相性が悪いのかもしれない。
「そ、それならいいけどさ。うん、それより、情報を手に入れたんだ」
「―――詳しい説明をお願いします」
セイバーの発言を掘り下げて聞く勇気の無い俺は、話題を転換した。思惑があってとはいえ、情報を提供してくれた後藤の中の人に、ほんのちょっとだけ感謝する。
俺は、瞑想を止めて説明を求める結城さんにうなずくと、ようやっと腰を下ろして、後藤が操られていたことを含めて、学校の状況を説明した。
「噂を追えですか。なるほど、「敵」の狙いは口伝によって人の畏怖を煽り、己の強大さを誇示することかもしれません」
「それが、信仰の……「神」の力の拡大につながる?」
「はい。噂が根付き、人が畏れれば、枯れ尾花でも霊威を示し、供物を要求しだすでしょう」
俺が聞き返すと、結城さんはそれを肯定して説明した。
幽霊の正体見たり枯れ尾花。
人が畏れて近づかず、その正体を見なければ、枯れ尾花は本当に幽霊になってしまう。
しかも、それを止める手段が俺たちには無かった。人間に口と声がある限り、噂を排除することなどできはしない。
「私は、その《後藤》とやらの中身が気になります。噂の効力については兎も角として、探査する噂まで指定する。あるいは、「事件」の中核に近いその存在を探る方が、真相に早く近づけるかもしれません」
「だけど、アイツについてはまったく手がかりがないんだ。魔術を使って操ってたのなら、俺なんかよりも遠坂が気付くしな。……今は、《後藤》の言葉に従って、工藤美代子の噂を追うしかない」
俺の言葉に、結城さんとセイバーがうなずく。手がかりが一つの状況で、俺たちにやれることなどたかが知れているのだ。
目的地は新都。それも、人の多い繁華街を中心に探索することにした。
昼間、結城さんたちは、直接に怪異を求めて裏通りを中心に巡回したらしいので、表通りには目を向けていなかった。
俺は、二人に武器を用意してくる旨を伝え、先に玄関へと向かってもらい、土蔵へと向かった。
武器候補は三つだ。
投票結果
【木刀】 :5
【ナイフ】:3
【弓】 :1
連載時コメント
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347 :Fate/式神の城 ◆v98fbZZkx.:2008/11/09(日) 04:49:49
以上です。お久しぶりです。
投稿予告忘れたorz
348 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/11/09(日) 05:56:14
【木刀】 :射程、威力ともに護身用にはそれなりで、無難な選択。
349 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/11/09(日) 06:53:43
【木刀】 :射程、威力ともに護身用にはそれなりで、無難な選択。
まぁ、結局これが一番使いこなせそうだし。
350 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/11/09(日) 10:23:39
【弓】 :射撃はもちろんだが、弓本体が槍代わりにもなる。しかし、戦闘に使うにはためらいがある。
344
多分そう。
ただ、そのあとの数百年~、はエスタークだから4か5だね。
351 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/11/09(日) 10:35:40
【木刀】 :射程、威力ともに護身用にはそれなりで、無難な選択。
352 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/11/09(日) 11:41:56
【弓】 :射撃はもちろんだが、弓本体が槍代わりにもなる。しかし、戦闘に使うにはためらいがある。
あえて本編とは違う路線で攻めてみる。
353 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/11/09(日) 14:50:57
バイオレンスだな、凛。
【ナイフ】:切る他に投擲できる柔軟さと、隠し持てるのも強み。直接持って使う場合、射程の短さが難。
選択はこれで。
士郎にどんな使い方をさせるのかが気になる。
356 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/11/09(日) 19:13:43
【木刀】 :射程、威力ともに護身用にはそれなりで、無難な選択。
357 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/11/09(日) 23:18:06
木刀が4、弓が2、ナイフが1か。
358 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/11/10(月) 03:53:45
【弓】 :射撃はもちろんだが、弓本体が槍代わりにもなる。しかし、戦闘に使うにはためらいがある。
本編と同じような選択をしても面白くないしね
359 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/11/10(月) 08:14:45
【木刀】 :射程、威力ともに護身用にはそれなりで、無難な選択。
まぁ無難なところで
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最終更新:2008年11月11日 22:41