282 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/09(土) 02:59:39

ともあれ、シベリアトラの脅威は当面去ったと考えて良いだろう。
藤ねえの所に駆け寄る。

首、手首、脇下の動脈、確認……無傷。
続いて太股の動脈、脊椎、アキレス腱も確認する。
……爪や牙による怪我の類は無さそうだし、頭を打ったりとかも無さそうだ、この調子なら神経の断裂の類も無いだろう。
だが、擦り傷は幾つもあり、手当とまでは行かなくとも消毒などは必要そうだった。
「ともあれ、致命傷の類はなかったか、良かった……」
一息ついて。
傷を確かめる時に藤ねえの服を思い切り脱がせていた事に気付いた。

「……ッ!」
服を戻す。
一度咳払いをした。
気絶したままである意味良かった、と思う。

「あー、桜、遠坂、風呂を沸かして藤ねえを入れてやってくれ、傷口を洗う必要もあるし、男がやったら問題があるだろう」
うん、その通りだ、昔はともかく、今はとっても問題だ。
うん、今のは別にやましい気持ちじゃないですヨ?
だからそう言う目で見ないで、みんな。
「……ライダーはそのシベリアトラを宥めていてくれ、ルヴィアは夕飯を頼む」
「じゃ、私は何をしよう?」
「キャスターは……ルヴィアについてって台所から肉を取ってきてくれるか? それをライダーと一緒にその虎にあげてくれ」
焼けてないけど焼けてるステーキ(火を通した後中から取り出す)という超がつく贅沢な物に挑戦してみたかったのだが、仕方ない。
「分かりました、士郎はどうするのです?」
ライダーが虎に乗ったまま縁側に虎を連れて行く、本当に見事な物だと思う。
「うん、俺は布団と浴衣を用意しておくよ、藤ねえの部屋は風呂場のすぐ隣の部屋に用意しておくから、頼むな」
「はい、わかりました」


布団を敷き、ついでに人数分の浴衣を用意する。
それでも流石に風呂を用意し、気絶した人を全裸にし、かつ溺れさせないように風呂に入れると言うのには時間がかかるだろう。
ついでなのでキャスターの部屋も用意しておこう、和室は沢山残っているが、確か洋間も一つ残っていたはずだ。
キャスターにどちらが良いか聞いておこう。
「キャスター、お前の部屋なんだが、洋室と和室どっちが良い?」
「どっちでも良いですよー、あはは、やっぱりかわいいー、ライダーさん、ちょっと替わってー」
虎とじゃれている。
虎も嫌がることなくむしろ嬉しそうだった。
「じゃあ、居間の近くの部屋に用意しよう、その方が準備が楽だし」

キャスターの部屋となる部屋も簡単に掃除を行い、布団を敷く。
そんな事をしていると、三人が風呂から出てきたようだ。
「藤ねえの調子は?」
「ん、さっき気付いたけどさすがにフラフラね……」
藤ねえは二人の間で浴衣に着替えた姿でこちらを見ているが、かなり目が虚ろだ。
何かを話す気力も無さそうだったが、ともあれ部屋はすぐ近くにある。
寝かせる事を最優先にしよう。
「分かった、二人もご苦労さん、順番で風呂に入ってくれ、藤ねえは俺が部屋に運んでおくから。
 ああ、それと風呂の事、他の三人にも伝えておいてくれると助かる」
「分かりました、それじゃまた後で」

「よっ、と」
布団に藤ねえを慎重に、掛け布団をかける。
用意しておいた冷茶を急須から茶碗に入れる。
「飲める? 藤ねえ」
「ごめんね、士郎」
不意に、そんな事を口にした。
「藤ねえ?」
「ん、勝手に家を荒らしちゃったし、庭も凄く散らかっちゃったし、お風呂にも入れて貰っちゃったし、その……怪我とか」
さっきの時の事を気付いていたのだろうか、藤ねえの顔が赤い。
「と、とりあえず、一杯飲むんだ、藤ねえ、水分補給という事で、な?」
二人の顔が赤い。
「ん、ありがとね、士郎」
少しだけ体を起こして、茶を飲む。
「と、とりあえず怪我とかは無いみたいだから、一回寝ておくと良いと思う、うん」
「ん、ありがとね、士郎、おやすみ〜」

目を瞑ると、すぐに寝息、熟睡したようだ。
余程疲労していたのだろう。
無理もない、生身で本物のシベリアトラを相手にしていたのだから。
とりあえず藤ねえが無事でなにより、これからどうしようか。


ふ:キャスターと少し話をしよう、色々聞いておく事もあるし
じ:桜と話をしよう、昼間の料理の事もあるし
む:遠坂と相談したい事がある、今夜のうちにしてしまおう
ら:ルヴィアは今日の戦いが初めてだったはずだ、大丈夫か確認しよう
た:ライダーと話をしよう、何だかんだ言っても今日の怪我は軽い物ではなかったはずだ
い:シベリアトラの様子を見ておこう、また暴れたら大変だ
が:……藤ねえが心配だ、もう少し一緒にいよう

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最終更新:2006年09月11日 20:31