遠坂桜 第103話 - 選択形式で進めるスレＩＮ型月板 まとめWiki

499 ：遠坂桜 ◆0ABGok2Fgo：2008/12/18(木) 18:52:30

　夜の港に裂帛の潮が満ちていく。
　キャスターの頬に汗が伝った。
　ランサーが滾らす闘気が膨れ上がる。
　その赤き槍が唸りと共に振るわれようとした瞬間、桜は叫んだ。
「やっちゃって下さい、ランサー、ひゅーひゅー！」
　桜としては誠心誠意、まことの声援だった。
　が、これがまずかった。
　怨嗟を篭めた、切迫した叫びならば事情は違っただろう。
　だが桜のそれは場に外れた、お調子者の軽薄な声援だったのだ。
　結果、ランサーは跳躍の機を逸していた。
　勇んで踏み出したところで小石に躓いた格好である。
　そして予期せぬ事態がもう一つ発生していた。
　桜の声に反応したのは、ランサーの闘気だけでは無かったのだ。
「その声……！？」
　通りの向こう、建物の陰に人影があった。
　少年の声を響かせたそれは、不測の闖入者を意味している。
　ランサーは逡巡した。
　闘気を殺がれた上、“処理すべき相手”が一人増えたからだ。
　生じた一瞬の隙を逃さず、キャスターが魔術を炸裂させる。
　轟音と爆風が港に弾けた。
　ランサーは問題なく身を避けている。
　しかし、それはあくまで目くらまし。
　キャスターは目論見通り、夜空高くへ舞い上がっていた。
「あは、はははは！　残念だったわね、ランサー！
　仕留められなかった貴方の負けよ！　もう奥の手を使うまでもないわ！」
「チ……！」
　風に乗り遠ざかっていくキャスター。
　その哄笑を耳に、ランサーが舌を鳴らす。
「バゼット！　指示を！」
「キャスターを追いなさい！　ここは私一人で処理します！」
　ランサーの問いに、スーツの女、バゼットは即答した。
　返答から間髪入れず、ランサーが屋根へ跳び上がる。
　その青い姿は数秒で建物の向こうに消えていった。
　桜の叫びから一分の半ば足らず。
　そうして港には三人が取り残された。
　即ち、桜、バゼット、そして間抜けな闖入者である。
「えー……と」
　物音が消え、土煙が収まったところで、桜は二つの人影を交互に見た。
　正直な話、桜は事態の変化を呑み込めていなかった。
　呆然としていたら、あれよあれよと事が進んでいってしまったのである。
　とりあえず、桜は体を旋回した。
　それで前にバゼット、後ろにトンマという按配になった。
「いつでも構わないと思っていたが……貴女を先に倒しておくべきでした」
　バゼットは言った。呪うような声だった。
　陽気な夕食へのお誘いは望むべくもない。
　桜は傷む節々を持ち上げ、身構えた。
　バゼットの戦闘能力は一度見て、知っている。
　彼女は恐らく今次最強のマスター、桜に勝ち目は無いだろう。
　だが令呪は使えない。ガードを呼び出せば、イリヤがどうなるかが判らない。
　加えて、ただ逃げるという訳にもいかなかった。
　背後の人影の接近には誰も気付かなかった。魔力を感じさせなかったからである。
　つまり、一般人だ。
　そして神秘の隠匿から考えれば、バゼットの言う処理が何なのかは想像に易い。
　桜は無理を承知で、バゼットを食い止めるつもりだった。
　勝てなくても、時間稼ぎぐらいなら出来る。
「降伏する、という気はないようですね」
　バゼットは至って冷静に、桜を見つめていた。
　キャスターに嬲られても、桜は令呪を使わなかった。
　その意味を承知しているのだろう。
　桜は奥歯を噛み締めた。
「待ってくれ」
　背後から声がした。
　見ると、少年が建物の陰から歩み出ていた。
　赤毛に童顔の仏頂面。
　それはどうやら衛宮士郎だった。

普：士郎が来た理由は？
異：「お姉さん、ステキ！」
罵：このトンマが。ご飯買って来い。?

投票結果

普：0
異：1
罵：5

連載時コメント

...

500 ：僕はね、名無しさんなんだ：2008/12/18(木) 18:57:22
罵：このトンマが。ご飯買って来い。

ごはんでバゼットのご機嫌を取ろう！

501 ：僕はね、名無しさんなんだ：2008/12/18(木) 19:05:17
罵：このトンマが。ご飯買って来い。

状況が切迫してるし、とにかくこの場から離脱させようとするんじゃないかなーと。

502 ：僕はね、名無しさんなんだ：2008/12/18(木) 19:06:37
異：「お姉さん、ステキ！」

牛丼が主食のバゼットさんに餌付けは効かん
褒め殺しのほうが効果的だ

503 ：僕はね、名無しさんなんだ：2008/12/18(木) 19:40:07
罵：このトンマが。ご飯買って来い。

つまり、ランサーをご飯に誘わせて時間を稼ぐ気ですね？ なんて策士！

504 ：僕はね、名無しさんなんだ：2008/12/18(木) 19:43:04
罵：このトンマが。ご飯買って来い。

もはや、この桜に恐れるものなどない。

505 ：僕はね、名無しさんなんだ：2008/12/18(木) 19:57:52
罵：このトンマが。ご飯買って来い。

506 ：僕はね、名無しさんなんだ：2008/12/18(木) 20:01:17
遠坂桜は「罵：このトンマが。ご飯買って来い。」に決定

今日人多いのはアンコの発売日だからかなぁ。
俺も買って来てとりあえず該当スレ見てる。

507 ：僕はね、名無しさんなんだ：2008/12/18(木) 20:02:21
お前らは桜をどうしたいんだｗｗｗ

508 ：僕はね、名無しさんなんだ：2008/12/18(木) 21:21:49
もうヒロイン成分がカケラもねぇｗ

509 ：僕はね、名無しさんなんだ：2008/12/18(木) 23:42:29
いや、この桜なら打たれ強いから
バゼットの鉄拳を食らってもポコッて音を立てて浮かぶだけで済みそうだ。
流石は餌にがっつくブタに似ているだけのコトはある･･･。

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遠坂桜 第102話
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