467 :遠坂桜 ◆0ABGok2Fgo:2008/12/06(土) 21:16:55


 血の匂いが桜の口の中で広がっていた。
 手足は鉛のように重く、脳に響く痛みがリズムよく拍動する。
 執拗な攻撃だった。
 逃げれぬよう、殺さぬよう、痛むよう、キャスターは魔術を操っていた。
 宣言通り、桜で遊んでいるのだ。
 まるで人形を振り回して、怒りをぶつける子供のように。
 ならば一通りの遊びを終えた後に来るものは、決まっていた。
「もう踊るのも飽きたでしょう?
 次は、この時代の魔術師がどのぐらい丈夫なのか、見せてちょうだい」
 キャスターの口が動く。
 八つ当たりがひと段落したのなら、玩具は壊れても構わない。
 ごん、という衝撃と共に、桜の全身に途方もない重さが乗せられた。
 膝が折れ、地面に押し付けられる。
 如何に『強化』した肉体とはいえ、いつまでも耐えられはしない。
 声にならない呻きが喉から漏れた。
 桜は精一杯の力でキャスターを睨みつけた。
「何か言いたいことがあるなら、言って御覧なさい」
 重さが更に増す。
 全身がぎしぎしと音をたてる。
 いつ、どうやって、命が潰れるのか。
 それを測るように、垣間見えるキャスターの瞳が細くなっていく。
 諦念が桜の脳裏を掠める。
 瞬間、殺気が辺りに充満した。
 何だ。
 そう思ったときには、青い影がキャスターに襲い掛かっていた。
 赤い槍。
 禍々しい穂先がキャスターへと伸びる。
「な……!」
 キャスターに退く時間はない。
 刃がキャスターの肩を掠め、ローブを切り裂いた。
 空にありながら、青い影は至近距離で再び槍を振るう。
 だがキャスターとてサーヴァント。
 一撃目を外した奇襲で、二撃目を甘受することはない。
 虚空に出現したガラスのような膜が、槍の穂先を受け止める。
「下がりなさい、この無礼者!」
 キャスターの背後に複数の魔法陣が一斉に浮かび上がる。
 しかし光が放たれるより早く、槍の柄が回り込み、キャスターの脇腹を打った。
 守りの死角を衝かれ、キャスターが毬のように叩き落される。
「……は、あっ……!」
 圧迫から解き放たれ、桜は崩れ落ちた。
 脳が熱かった。
 ぐらぐらする意識に耐え、懸命に前を見た。
 一度、二度と、キャスターに襲い掛かる。
 それだけで、赤い槍の担い手は容易くキャスターを追い詰めていた。
「く……!」
 キャスターが歪な短剣を取り出す。
 接近戦に勝ち目がない中で手にしたそれは、恐らく奥の手だったのだろう。
 だが直後、閃光がキャスターを肩口から切り裂いていた。
 ずるり、とキャスターの右肩が胴体から崩れ落ちる。
「……首は外しましたか、失敗ですね」
 いつの間にか、桜の後方にスーツを着た女が立っていた。
 焼け爛れた手袋を放り投げ、槍兵へと視線を向ける。
「いいですか、ランサー。陣地から出てきたキャスターを逃がす手はありません。
 それに、私はラックに反応があれば介入すると言ってあった筈です」
「へーへー、別に文句は言ってねえよ」
 女がむっとした顔でランサーを睨む。
 ランサーはぽりぽりと首を掻き、キャスターに向き直った。
 キャスターの顔は憎悪に歪んでいた。
 さっきまでの余裕は消え失せている。
「……買い被っていたわ、ランサー。奇襲の挙句、二人がかりだなんて」
「ハ、何言ってやがる。てめえが決闘をするガラか」
 二体のサーヴァントの間から殺気が消える。
 嵐の前の静けさ。
 桜はキャスターの口に小さな笑みを見た。
 ランサーの体が、深く沈んだ。


止:ランサーを止める。
放:止めない。
声:「やっちゃって下さい、ランサー、ひゅーひゅー」
援:「かっこいいー。お姉さん、その球くれませんか?」


投票結果


止:0
放:1
声:5
援:4


連載時コメント

+ ...
469 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/06(土) 22:17:31
放:止めない。

下二つは脱力しすぎるw

470 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/06(土) 22:33:08
声:「やっちゃって下さい、ランサー、ひゅーひゅー」

応援しつつケツの鑑賞に移ってくださいw

471 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/06(土) 22:38:27
恋の始まりも:生協事務所
声:「やっちゃって下さい、ランサー、ひゅーひゅー」

つまり、ダメットさんとランサーの鑑賞会ですね、わかります

472 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/06(土) 23:13:08
援:「かっこいいー。お姉さん、その球くれませんか?」

473 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/07(日) 00:26:56
やべー、凄い迷うw
援:「かっこいいー。お姉さん、その球くれませんか?」

474 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/07(日) 00:40:24
援:「かっこいいー。お姉さん、その球くれませんか?」

ダメットのほうがからかうのは楽しそうだ。
この桜は実に自由に生きてるなw

475 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/07(日) 01:26:50
声:「やっちゃって下さい、ランサー、ひゅーひゅー」

476 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/07(日) 01:27:35

流石だな。

477 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/07(日) 01:38:00
援:「かっこいいー。お姉さん、その球くれませんか?」
ランサーもいいがやっぱりダメットでw

478 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/07(日) 01:41:18
声:「やっちゃって下さい、ランサー、ひゅーひゅー」
うかつにバゼットさんに近づくと撲殺されそうだからこっちw

479 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/07(日) 01:51:46
声:「やっちゃって下さい、ランサー、ひゅーひゅー」

桜のフリーダムぶりに正直嫉妬w

480 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/07(日) 06:25:10
援:「かっこいいー。お姉さん、その球くれませんか?」

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最終更新:2008年12月07日 23:11