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923 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2008/12/21(日) 22:26:17


 煙玉で視界を遮られた僕がまっさきに行動したのは、先ほども言った通り唯一の出入り口を
塞ぐ事であった。

 楓ちゃんの事だ。きっと、腹いっぱいになるまで食料を漁り続けるはず。

 ……何でこんな食い意地の張った子になったんだろう、と疑問に思わないわけではないが、
蒔寺楓という女の子はそういう性格をしているのだ。
 とは言え、予想の斜め上を簡単に行くのも彼女が彼女である所以である。
 物事は慎重に、慎重に対処しなければならない。

 でも、慎重に行動してもある意味、無駄な結果に終わる子なんだよな。

 僕が出来る事は常識的に考えて最良の手を取る事しかできない。二重三重の罠を張り、
どうあがいても抜け出せない態勢を整える。逃げようとすればするほど絡まる蜘蛛の糸と
言うべきか。
 所が、蒔寺楓という少女は二重三重に張った罠に気がつかずに堂々と真正面を歩き、真正面に
張った罠を物ともせずに強行突破する事が多々ある。その癖、妙な所でカンが良いので、絶妙の
バランスで結果的に罠を回避する事もある。
 すごく簡単に言うと、雀を捕まえるような籠罠に簡単に引っかかる癖に、その籠罠の中で暴れまわって
いつの間にか籠が壊れてしまうような。そんな感じの子なのだ。

 まあ、この辺りは物事を深く考える癖のある僕が勝手に思っている所でもある。
 織だったら何も考えずに直接対決に持ち込み、力で圧倒できるだろう。力勝負で勝てないから、謀略で
戦わなければいけない僕との相性の問題と言えるかもしれない。


 煙は中々晴れなかった。

 小麦粉を使った煙玉だったら嫌だなぁ。あれは掃除をするのがすごく大変だから、厨房なんかで炸裂させた
日には、丸一日厨房が使えなくなるし、食器も全部洗い直しだよなぁ。

 そんな事を考えながら、じっと晴れるのを待つ。
 煙が晴れた時、厨房には楓ちゃんの姿は見えなかった。戸棚は締めてあるし、開いている窓ガラスもない。
床が盛り上がったような様子も無いし、冷蔵庫も閉じている。
 心配していた煙玉の後についても、どこにも白いのは見えないため一安心と言った所か。後で、楓ちゃんを
捕まえてどこの煙玉を使ったのか吐かせないと、安心はできないが。生石灰とかの危険性を理解せず、平気で
使う子だし。
 そんなわけで、厨房はいつのも通り、僕が知っている厨房に戻っていた。

 テーブルの上に鎮座している、巨大な茶釜(正確には茶釜模様の風呂敷を被った何か)を除けば。

 思わず、頭を抱える。
 分福茶釜ですか。もう、無茶苦茶だな。



【選択肢】
A:茶釜を火にかけよう


下一桁の合計を3で割り、余りが0なら黒桐一人で、1なら式が、2ならギル子と共に火にかけます。
ホラーな展開にはなりませんので、ご安心を。


931 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2008/12/22(月) 18:31:11


 テーブルの上に鎮座している推定40キロちょっとの茶釜をどうするか一瞬悩んだが、これが
茶釜ならば火にかけるしか無いだろう。
 そもそも僕が厨房に来たのは、ギルガメッシュさんが湯浴みをするためのお湯を確保するためだ。
 ならば、ここに鎮座する巨大茶釜を火にかけるのは、ごく自然な行為である。

 そう自分に言い聞かせて、パンと頬を叩いて気合を入れる。
 いや、実際に持ち上げれるのかとか、変な所を触ったらどうしようとか、うかつに近づくと噛み付か
れないかな、とか色々思ったので。
 それでも、ここでじっとしていても何かが変わるわけでもない。近づいた瞬間に逃げ出すのならば、
それはそれで追跡して捕獲すれば良い話だし、このままだとギルガメッシュさんが痺れを切らして
やってきて、ますますカオスな状態になるのがオチである。その前にさっさと片付けるべきだ。

「ん? 黒桐。何やっているんだ?」

 背後から式の声が聞こえたのは、そんな時だった。


「あ、式。お湯を沸かそうと思ってね。式こそどうしたの?」

 諜報部には自習を命じていたから、今、式がここに来ても可笑しくは無いのだけれども、午前中一杯
くらいは質問攻めに合い、お昼の休憩時間は休憩時間で霧島さんたちに捕まると思っていたのでちょっと
意外な気がする。
 諜報部に自習を命じた事については、彼らはそのまま遊んで良い時間と勘違いしてそうな話でも
あるんだけど、これから式も諜報部の部員たちと一緒に行動する事が多くなるわけだし、親睦を
深めるという意味でも良い事だろうと思ったのもある。
 直接の理由は式が仮の追悼式に参加できないとなって諜報部の部室に残ると言った時点で、部員たちに
何かやれと言った所で何も出来ないだろうなぁと思ったからなんだけど。

「もうすぐ昼だからな。お茶を用意すると言って逃げてきた」

 そう言うと、式は疲れきった顔で椅子に座る。それでも、背筋はぴんと張っており、着慣れないはずの
あの衣装を着ていても少しも気品を損ねていないのは流石だと思う。

「しかし、何で女子高生ってのは、あんなに体力のある生き物なんだ?
 しつこいくらいに同じ事を繰り返し聞いてくるし、胸は触るし。あれは違う生き物だろ」
「そういう式だって、現役の女子高生だよ」

 そう僕が言うと、オレはああいう生き物とは違う、とため息をつきながら式は答えた。
 相変わらずゴシックテイストな衣装を着たままでつくため息は、思わず息を飲ませるくらい魅力的で、
思わず抱きしめたくなる。
 ここに居るのは茶釜を除けば僕と式だけだし、茶釜の前で朝の続きをするのも良いかな、と思った
んだけど、やはり恥ずかしいだろうと思って自重した。
 代わりに、先ほどギルガメッシュさんの魅力に負けそうになった自分を恥じる意味も込めて、
不審がられない程度に式を眺めた。

 いつもの和服が隠す魅力だとすると、このゴシックテイストな衣装は見せる魅力だと思う。
 式の好みに合わせと言うか、肌の露出という面ではこちらの衣装もそれほど無いのだけれど、
体のラインがはっきりと分かる分、強烈だ。
 背中の黒い羽とか、黒い羽をモチーフにしたカチューシャといった小物が映えているのも良い。

 そういう小物を用意して式に着せている辺り、メディアさんの本格志向というか、衣装に対する
こだわりを感じる事ができる。ただの趣味ではないそれ以上の何かをメディアさんは持っている
みたいだ。
 でも、この冬木大戦(仮称)が起こるまではごく普通の一般主婦になっていたそうだから、暇つぶしに
覚えたという可能性もありそうだけど。


「どうした? お湯を沸かすんじゃなかったのか?」
「え? ああ、うん。その通りなんだけどね」

 式の言葉に僕は少し慌てながら、テーブルの上に鎮座している巨大な茶釜を指差す。
 心なしか茶釜が震えているような気がするが、気のせいという事にしておこう。

「何だ? アレは」
「何って茶釜だよ。さっき楓ちゃんが来ね」
「良い。皆まで言うな」

 僕の発言を手で遮り、式も頭を抱える。さらに茶釜が震えている気がするが、きっと気のせいだろう。

「じゃ、あの茶釜を火にくべるか」
「いや、火にくべるのは流石にまずいかと」

 火にかけるならともかく、くべると言うのは流石に物騒すぎる物言いである。一体、いつから式は
こんな物騒な子になったんだろうか。
 ……目が覚めてからだから、きっと橙子さんの影響だな。

「空焚きはまずいが、あの茶釜には水を入れる口がないぞ。シンクに水を貯めて、力いっぱいそこに
沈めるのなら水は入るだろうが、やってみるか?」

 僕が言うと冗談で済むんだけど、式が言うと本気でやりかねないのを知っているのだろう。
 茶釜はまるで沸いた薬缶のように激しく震えだしている。

「楓、三秒だけ時間をくれてやる。今すぐ出て行け。二度目は無い」
「し、式の姐御、さいなら!」

 風呂敷をぱっと脱ぎ捨てると楓ちゃんは脱兎の如く逃げ出した。



【選択肢】
1:「雑種、まだ『ぶふぉ!』」
  だが、突如現れたギルガメッシュさんと衝突し、逃げ損ねた。
2:「ふぎゃ!」
  しかし、出入り口の所に足をとられ、逃げ損ねた。
0:「まったくあの馬鹿は」
  「はは」(マキジ、逃走成功)

A:運命の女神に任せてみる(下一桁の合計を3割った余りをそのまま0~2に)。


940 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2008/12/22(月) 21:40:47


「雑種、まだ」
「ぶふぉ!」

「「あ」」

 風呂敷を脱ぎ捨てて脱兎の如く逃げ出した楓ちゃんだったけど、タイミングが悪かった。
 厨房への唯一の出入り口であるドアをくぐろうとした瞬間、目の前にギルガメッシュさんが
現れたのだ。
 しかも、ギルガメッシュさんもかかっていたのれんをめくった瞬間だっただけに、目の前に
現れた楓ちゃんを避けきれずに正面衝突。
 二人は物凄い音を立てて、ひっくり返る羽目になった、というわけである。

「えーと、ギルガメッシュさん、楓ちゃん。大丈夫……ぶっ!」

 は、鼻血が。

「どうした? 幹也」
「し、式。これは違うんだ。う、浮気とかそういうのじゃなくて」

 ぼたぼたと零れ落ちる鼻血を必死で抑えているせいで、もごもごとしか言えていないが、
誓っても良い。あんな光景を見せられて変にならない男性は居ない。

「だからどうしたって……。ほう、そういう事か」
「だから違うんだよ、式! 僕が好きなのは式だけだから」
「コクトー。オレ、お前の一般論嫌いだ」

 どこから取り出したのか式はナイフを構え、視線を強化している。
 まずい、あれは本気だ。

「だから僕の話を」
「五月蝿い! 他の女を見るような目なら、今ここで殺してやる!」
「君が言うと洒落にならないんだって!」

 片手で鼻を抑えながら、式が振るうナイフを必死で回避する。
 怒りの余り大振りになっているので、運動神経のあまり良くない僕でも回避できるが、
本気で死の線を狙っているから洒落にならない。

「安心しろ、コクトー。お前が居ないなら、もう生きていく意味なんて無いからな。
オレもすぐに後を追ってやる」
「そ、その言葉は今じゃなくて、別の機会に、別の場所で聞きたいかな」

 その言葉自体は嬉しいんだけど、殺気立った式にナイフで命を狙われている今言われても、
恐怖が先にたつ。

「お願いだから僕の話を」
「五月蝿い!」

「喧しいわね! 痴話喧嘩もいい加減にしなさい!」


 何故か当然かは別にして、清楚なブラウス一枚だけで厨房に入ってきて楓ちゃんと衝突して
ひっくり返ったギルガメッシュさんのアレをモロに見て鼻血を出した僕に対する式の制裁は、
メディアさんの介入により一時停止となった。

 僕だって健康的な男性だし、不意打ちで見てしまえば鼻血が出るのは避けられないじゃないか!

 と強く叫びたいのだが、今朝に続いて再び正座で拘束されているため、何も言えなかったりする。
 今度は式も逃げ出せなかったので式は隣で正座をしているし、ギルガメッシュさんは端に
動かした上でバスタオルをかけて寝かせられている。
 頭を強く打ったみたいだけど、大丈夫かな?
 なお、逃走に失敗した楓ちゃんは晒し者にされるべく、テーブルの上で縛り付けられていた。

 ……無事に終わるんだろうか?



【選択肢】いや、この調子だとギル子からの資源援助の話はさらに後になりそうなので。

A:メディア閣下によるお説教+ギル子着せ替え編及びマキジ取り扱い会議へ
B:いい加減冗長気味なので、マキジの取り扱いを決めて翌週に移る。


66 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2008/12/28(日) 21:39:28


「良いこと! 柳洞寺は貴方達がいちゃくつための公園でもなければ、馬鹿ップルのための
ラブホテルでも無いのよ!
 朝、あれだけ注意したというのに性懲りもなく繰り返して。いい加減に反省しなさい!」

 朝も思ったんだけど、拘束されて正座させられている状態で、これ以上どうやって反省の色を
見せれば良いのだろうか。
 それに、今回はいちゃついていたのではなく、命の危険を覚える状況だったのだ。
 というか、本気で恐怖を感じていたんですが。

「ふん、羨ましいだけの癖に」
「何ですって!」

 だというのに、僕を恐怖に陥れた式はメディアさんをさらに怒らせるような事を平気で言う。
 式も僕と同じく、正座の上で両手を後ろに縛られた状態でいて、何でそんなに強気に出れるのか
不思議で仕方ない。

 睨み付けるメディアさんに対し、式もまた睨み返す。

「羨ましいなら、羨ましいと言えば良いんだ」

 不貞腐れたように見える表情だが、僕はその表情の式を見て、何となく式もメディアさんが羨ましい
んじゃないのか、と思った。

「夫婦だったら色んな事が出来るだろうが。それを伝えれば良いんだ。そのための夫婦だろ」

 血で繋がる家族の中で、唯一意思で繋がる夫婦。
 それは今朝の諜報部の部室前で葛木氏の汗を拭いていたメディアさんを見て、僕が思った事なんだけど、
夫婦というものは、やはり特別なものではないのだろうか。
 恋人の上位に存在する、と言うと語弊があるが、夫婦というのはやっぱり特別な存在なんだと思う。
 傍目にはかなり恥ずかしい事でも「夫婦だから当然だろ」と言われれば、当事者同士にお任せします、
という空気になるというか。


「そんな恥ずかしい事、言えますか!」

 が、顔を真っ赤にしてメディアさんは否定した。
 うん、初々しい。それでこそメディアさんだ。 

「ふん。結局恥ずかしいだけか」
「貴方みたいな、恥じらいの無い馬鹿っぷるに言われたくないわ!」
「誰が馬鹿っぷるなんだ!」
「貴方達よ!」

 結局、この呆れる以外にない子供のケンカは、風呂が沸いた事を伝えに来た葛木氏によってようやく
終了になる。
 今朝も葛木氏によって終了になった事を思うと、メディアさんを止められるのは葛木氏しか居ない
という事を如実に表していると言える。
 先ほどの葛木氏に叱責されたメディアさんの異常なまでのうろたえぶりと言い、ここに柳洞寺の特徴と
問題が縮小されているな、と思ったわけであるが、正座させられている横で大声で怒鳴りあう光景、葛木氏が
来た瞬間に猫を被るメディアさんとここぞとばかりに追及する式。そして、それを受けて怒りをこらえる
メディアさんという光景を見るのも精神的に厳しかったとだけ言っておこう。
 さて、未だ気絶しているギルガメッシュさんだけでなく、式も一緒に風呂場に連れて行かれたんだけど、
一体どうなる事やら。


イベント:かしまし娘たちの入浴

このシーンは既に見てしまいました。『かしまし娘たちの入浴』をスキップします。



【選択肢】ついでなので式にも衣装を着せる
A:ならば、俺は【    】を推薦するぜ!


先着5名。ただし、あんまり無茶な衣装は勘弁してください。あと、衣装によっては後のイベントに
影響するのでよろしく(セイバーリリィの鎧を纏ったギル子のステータスは決まった)。

こんな投票でした

+ ...
67 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/28(日) 21:46:14
A:ならば、俺は【長襦袢一枚のみ】を推薦するぜ!

スキップされたw


68 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/28(日) 21:48:01
A:ならば、俺は【黒セイバー】を推薦するぜ!

ギルのセイバーリリィと並んで、二人はプリセイバー!
本家セイバーが来るとなおベネ(良し)


69 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/28(日) 22:09:53
A:ならば、俺は【魔法少女風コスチューム】を推薦するぜ!

空の境界でカレイド杖の餌食になるのは誰だろうw


70 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/28(日) 23:17:30
A:ならば、俺は【和服】を推薦するぜ!

着慣れた服を着ている時が一番綺麗だよ


71 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/28(日) 23:23:10
A:ならば、俺は【白装束】を推薦するぜ!

今日が遠坂凛の命日だ!


72 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2008/12/30(火) 17:16:05


「さあ、まずは湯上り式の姿を見て頂戴!」
「メディアさん、ノリノリですね」

 テンションの上がるメディアさんに対し、僕のテンションは下がりっぱなしである。
 それもそのはず、葛木氏に言われていそいそと風呂場に向うメディアさんは式の拘束は
解いたものの、僕は拘束されたまま置いておかれたので、無理な体勢のままひたすら式たちが
上がってくるのを待っていたのである。
 今はというと、拘束は解かれているもののレフ板を持たされており……うん、アシスタント
代わりだな。メディアさんが持っているのはデジカメだというのに、何でそこまで気合を入れて
いるのか。
 なお、メディアさんはいつものローブ姿であるが、湯上りである。段々、節操なしになっている
自分が正直怖い。

「はははっ、黒桐殿。こういうイベントは楽しんだ方が勝ちですぞ」

 憂鬱な顔をしている僕の隣には照明をもった零観さんが居て、こちらは完全に楽しんでいる。
 照明係の地位は他の修行僧との勝負の末に勝ち取ったと言っていたので、まさに世も末である。

 それで良いのか柳洞寺!

 と言いたいのだが、零観さんはそういう人だからなぁ。柳洞寺の将来は、一成君がどう
成長するかにかかっている気がしてならない。彼が上手い具合にフォローしてくれる事を祈ると
しよう。


「さあ、ご入場!」

 そうメディアさんが言うと、やはり開閉係りの地位を勝ち取った修行僧により、襖がパンと
開かれた。
 そして、そこに居たのは……長襦袢一枚だけの姿と思しき式であった。

「………………」
「ど、どうだ?」
「メディアさん、式になんて格好をさせるんです!」

 湯上りで少し濡れた髪、ほっこりしている式の表情、真っ白な長襦袢の下のほんのり桜色に
染まった式の肌。
 どれも完璧であるが、式のこういう光景は僕が独占したいのであって、大勢の人に見せたくは無い。

「はいはい。嬉しいなら嬉しい、綺麗なら綺麗と言えば良いのよ。でしょ? お嬢ちゃん」
「幹也の根性なし」
「し、式。僕が悪いの!?」
「五月蝿い。根性なしが!」

 理不尽だ、と言いたいが「ふん」と拗ねて横を向いた式も可愛いので強く言えなかったりする。
 とりあえず、目の毒というか他人に見せたくなかったので僕の着ていた上着を脱いで式にかける。
前だけでも隠せれば良いだろう。


「次はギルガメッシュね」
「見よ、我の姿を!」

 メディアさんがそういうと、パンと襖が開け放たれてギルガメッシュさんが登場する。横に居た
修行僧が開いた襖の直撃を受けて倒れたのだが、ギルガメッシュさんは気にしていない。
 勿論、僕ももう気にしない事にする。

「……白装束?」
「うむ、巫女が着る服だ。今もなお絶大な信仰を誇る我には相応しい装束であろう」

 そう言うとギルガメッシュさんは腰に手を当て胸を張る。胸を張った瞬間、またぷるんと
揺れて……僕は式に思いっきり頬を抓(つね)られた。

「い、痛い。痛いってば」
「五月蝿い」

 いや、式。だから、僕も男なんだって。

 真っ白な襦袢に僕の黒いドレスシャツを纏い、恥ずかしげにもじもじする式はとても魅力的なの
なんだけど、同じような白い衣装でも恥じらいというのをどこかに忘れたように動き回る
ギルガメッシュさんは、別の魅力があるのは否定できない。
 だからそこまで抓るのは止して欲しいんだけど。


「所で、白装束はともかく、ツインテールと黒のニーソックスは何故なんです?」
「ああ。それはあのお嬢ちゃんの所を模しているのよ。ほら、切腹の時に白い衣装を着るでしょ。
あれよ」
「ギルガメッシュさんで遠坂陣営のトップの死に装束を模したわけですか」
「む、そうなのか。この衣装は肌触りも良く、動きやすいから気に入ったのだが」
「お前なら、その格好でも遠坂に攻め込んで滅ぼせるだろ」

 ツインテールと黒のニーソックスで遠坂凛を模し、それを死装束を模した白装束で
ギルガメッシュさんに着せるというメディアさんの考えは外交的にはどうだろう、と思うのだが、
ギルガメッシュさんが気に入っているみたいなので良しとしよう。
 というか、式。ギルガメッシュさんに対して「お前」という言い方はないと思うんだけど。
 風呂場で何かあったのかな。

「どうだ? 黒桐」
「似合ってますよ」

 式の居る横で感想を求められれると正直困るのだが、似合っているのは事実なので僕は素直に答えた。
隣に居る式が露骨に膨れた顔を見せたのだが、かと言って似合っていないと嘘をつくわけにもいかないし。
 それに、これは(きっと)メディアさんがコーディネートしたものだから、ケチをつけると
メディアさんのセンスも否定する事になる。
 実際、長襦袢も含めてメディアさんのセンスは良いと思うし。


「では、次の衣装を着てくる! 雑種よ、期待して待っておれ!」
「はい。式の姿もギルガメッシュさんのお姿も楽しみです。式、暴れまわったら駄目だよ」

 どうも衣装を着るのが気に入ったのか、ギルガメッシュさんは気合を入れて僕に宣言する。
 二人の着飾った姿を見るのは嘘偽り無く楽しいし、楽しみだ。
 ただ、あんまり過激な衣装は勘弁して欲しいというだけで。

「それでは、待っている間に来週の基本方針か現状の確認の話しでもしますか。女性の着替えは
長いものと相場が決まっていますので」

 この場所には僕が居て、零観さんがいて、特別審査員席という札のかかった座布団に正座した
ままの葛木氏がいる。
 トップであるメディアさんは二人の着替えのために一緒に奥に行ってしまったが、柳洞寺の重要幕僚が
二人もここに居るのだから、時間を無駄にする事はない。
 僕はそう思った。


【選択肢】
A:来週の基本方針について話し合う
B:現状の柳洞寺について確認する
C:現状の衣装大会について確認する


85 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2009/01/01(木) 08:02:28


「では、現状の確認を行おう」

 葛木氏のその一言で僕たちは現状の確認を行う事に決まった。
 メディアさんが着せ替えショーをやっている最中も、まったく動じる事も口を開く事もなく
座布団に正座をしたままだった葛木氏の発言だけに、僕も零観さんも反対する気はない。

「だが、その前にそこで聞き耳を立てている蒔寺を始末しよう」
「げ! 先生、気付いていたのか!」

 葛木氏が物騒な発言と共に楓ちゃんの方を見ると、今まで寝たふりをしていた楓ちゃんが
ばたばたと暴れだす。

「……あの、流石にその発言はどうかと」
「はっはっはっ、流石は葛木殿。どんな時でも手は抜きませんな。
 しかし、彼女は葛木殿の教え子でもありますし、ここは一つ穏便に」
「いや、遠坂陣営に所属する者が敵対する陣営に忍び込んだ以上、失敗すればどうなるかは
蒔寺でも分かるはず。当然、その覚悟も出来ているだろう」
「出来てねー! アタシはそんな覚悟、今まで一度だってした事が無いぞ!!」

 ぐるぐる巻きにされた状態でなお暴れまわる楓ちゃん。まあ、始末するとか言われると
暴れるのは当然だと思うんだけど、軽率な行動の結果なので何もいえない。
 それ以前に、盗み食いをするために侵入するという時点でどうかと思うのだが。

「安心しろ。一撃で仕留めよう」
「全然安心できねー!」

 その後、このまま始末するよりは身代金なり強制労働なりで使い道があると説得した事により、
葛木氏はその拳を収めた。
 葛木氏が本当に楓ちゃんを始末する気だったのか、それともこのままだと暴れそうな楓ちゃんに
釘を刺したのかは分からない。が、とりあえずアイマスク+ヘッドホンで合意できたのはお互いに
良いことだと思う。

「アタシはちっとも良くないぞ! これじゃ、一発屋の芸人じゃないかー」

 ああ、ダースベーダーの曲と共に連れて行かれるやつね。
 出演者のうち、かなりの人が未だにあの曲が流れるとドキっとして、挙動不審になるという。
 うん、気持ちは分からなくもない。


「じゃ、僕がここに来るまでの流れを簡単に説明し、そして今週に起きた事とやった事を
表記します。間違っていたら訂正をお願いしますね」

 暴れる楓ちゃんに「本当にこのまま始末しても良いの?」と軽く脅しをかけた後でアイマスクと
ヘッドホンをつけ、こちらの話が分からないのを確認した上で、僕たちは現状の確認を行う事にした。
 僕の言葉に二人は軽く頷く。葛木氏は変わらぬ真剣な表情で、零観さんは相変わらずの人の
良さそうな笑みだが、意味するものは同じだ。

「まず、冬木大戦(仮)のきっかけと経緯……は置いておくとして、柳洞寺は大戦の勃発と共に
後藤君を軍師として雇い入れ、彼に戦闘指揮以外の全権を委任したわけですね」
「うむ。彼は中々どころかかなり優秀なのだが少々政策がふらつき気味なのが心配の種でな。
まあ、そこはキャスター殿や私らでカバーすべき所だろう」

 後藤君という人は何かに影響されやすい人らしく、時代劇を見た次の日はござる調、刑事物を
見た次の日は「ボス、○○です」という感じの人だ。
 だからと言って自分の無い無能な人でもなく、「自分というものは持っているが、それ以上に
現状で最大限楽しむ事を優先する」という人のようだ。
 そういう面では諜報部の部員たちに近い存在かもしれない。後藤君も高校生だし。楽しみすぎて
自爆するようなちょっとどころかかなり困った面の持ち主でもあるが。

「その後の柳洞寺は、商店街や穂群原学園との関係を強化しつつ、資金不足を解消するために
様々なイベントに参加し、柳洞寺に対し一方的な敵視政策を止めぬ遠坂陣営に対抗するために
諜報部を設立。内政では間桐陣営との接近を図る、という所でしょうか」
「外交はどうかなぁ。むしろ、強欲な外交方針を採った柳洞寺が間桐陣営に引き釣り込まれた、
というのが適切な気がするが」
「零観殿の指摘通りだ。後藤の方針は『言うだけなら損は無い』だ。
 合意できても見返りが大きい分、こちらの持ち出しも大きくなる」
「そう言えば、そうでしたね」

 柳洞寺の過去の外交交渉を見ると、外交方針に「強欲」と着かないか不安になるくらい強気の
外交方針を貫いている。
 最終的には前の条件で合意する事があるとは言え、

『どこまで譲歩できるか教えろ!』

と言わんばかりの外交方針は正直怖さすらある。まあ、そんな外交方針の一方でセイバー陣営に対し
資金援助を行っているのだから、硬軟合わせた方針であると言えると思うが。

「とは言え、セイバー陣営の外交情報を常時開示させているのは流石と言えます。これにより、
セイバー陣営は常に『柳洞寺に外交情報を公開している』事に意識を払いながら外交を展開せざるを
得ません。
 それでいて、セイバー陣営との親密度は現時点で信頼されているレベルですから、上手い外交を
行っていると言えるでしょう」

 外交情報とは言え「常時開示」という行為はセイバー陣営の未来の外交を縛るものである。
親密度の上下だけで全てが語れるわけではないが、セイバー陣営がどの陣営を重視し、どの陣営と
敵対しているのかは簡単に分かる。
 現状のセイバー陣営は遠坂陣営と親密な関係にあり、柳洞寺と間桐陣営を信頼し、イリヤ陣営を
警戒し、ギルガメッシュ陣営と敵対している。この数値が大きく動いた時、それは何かが起きる
前触れになるだろう。


「そう言えば、後藤君は今どこに?」
「間桐邸だ」
「今週は間桐陣営ですか」

 外交というのはどうしても偏るものだが、柳洞寺の外交を見ると、中立組織では穂群原学園、
他勢力ではセイバー陣営に偏っている。
 穂群原学園は葛木氏の勤め先であるし、一成君や諜報部員の所属する学園でもある。また、
間桐、セイバー、遠坂の3陣営も学園に所属する幕僚がいるため、学園と親密である事は圧力を
かけるにせよ優遇するにせよ、メリットが大きい。
 他勢力については、これまでセイバー陣営との関係を密にしてきたのだが、遠坂陣営と
敵対していた最中に「弓道部の部費削減」というカードを手に入れ、例の「強欲」外交の結果、
これと取り消しと引き換えに戦闘技術(騎乗)、部隊の編成方式、 資源40と破格の提供を
受けている。
 ただ、同時に間桐陣営と対遠坂で共同戦線を張る事が決定しているため、渡りに船と考えるか
間桐と遠坂の戦いに柳洞寺が巻き込まれたと見るか難しい所だけど。

「うむ。間桐陣営から『今こそ遠坂陣営を攻めるべきです』という要望があってな」
「いや、まずいでしょう!」

 確かに遠坂陣営の戦力が大幅に低下した今は、攻めるのには良い機会かもしれない。
 だが、相手も死に物狂いで抵抗してくるだろうし、火事場泥棒の印象を与えるのはまずい。
自業自得な面があるとは言え、アーチャーさんが消滅している以上、騎士道精神溢れるセイバー陣営の
介入を招く可能性もある。
 それ以前に、現在の柳洞寺の戦力ではとても攻められないのであるが。

「後藤君が間桐の代表を説得しているが、果たして説得できるかなぁ。出来ねば、条約違反か無理を
承知での出兵となるが」

 そう口では気楽に言う零観さんであるが、心情的にはかなり不安なのだろう。ただ、それを表情に
見せないだけで。
 外交とは一国のみで行えるものではないのが難しい所だ。


「つまり現状は」
「遠坂陣営と全面戦争をしにくくなっています。幕僚の一人が消滅し、もう一人の幕僚がここで
拘束されているわけですから、遠坂陣営の弱体化は計り知れません。
 しかし、急速に弱体化したが故に、セイバー陣営の介入を招く可能性が高くなっているのも事実です。
セイバー陣営からすると、ここで遠坂陣営に滅亡されると単独でギルガメッシュ陣営を戦わないと
いけませんから、滅亡は避けたいはず。
 それに、遠坂陣営も滅亡寸前となれば、セイバー陣営の保護下に走る可能性もあります」
「追い詰めすぎないように、か」
「そうなりますね」 

 こちらが悪くないのに馬鹿げた話、と切って捨てるのは簡単だが、そうもいかないのが現実である。

「黒桐殿。今、ここにギルガメッシュ殿が居て、キャスターと意気投合しているな」
「はい。付け加えるなら、僕は従者としてギルガメッシュさんを接待し、かなり気にいられた模様です」

 もう一つの状況に気がついたのだろう。葛木氏の確認に僕は補足を入れる。

「それはセイバー殿から見れば」
「そうです。柳洞寺がギルガメッシュ陣営と組んだ確固たる証拠に見えるでしょう」

 ギルガメッシュさんはそれが分かっていたのだろうか。いや、分かっていなくてもそれが出来る王を
僕たちは優れた王と呼んでいるんだろう。
 近い将来、ギルガメッシュさんとセイバーさんの対決が再開した時、柳洞寺はどうなるのだろう。
 どちらかの陣営に就くのか中立を維持するのか。はっきりしているのは、純粋で無邪気に見える
ギルガメッシュさんによって、この火種が投げ込まれたという事である。

 ……ついでに、アイマスクとヘッドホンをつけてノリノリに体を動かしている楓ちゃんも事態を
さらにややこしくした一人なのだが。
 どっちも自覚がないのが実に問題だよなぁ。



(本編からすると突然ですが)イベントが発生しました。

ギルガメッシュ(女性):雑種どもにお年玉をくれてやる!

ゲームの時間は分かりませんが、今日は元日。元日と言う事で、ギルガメッシュ(女性)から
後藤君にお年玉があるそうです。


【選択肢】もらいますか?
A:当然もらう
B:お返しが大変なので遠慮する


94 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2009/01/01(木) 16:41:15


ギルガメッシュ(女性):ならば雑種ども、好きなのを選べ!


選択によって、下記のイベントが発生いたします。


ギルガメッシュ(女性):魔女、暫く世話になるぞ(ギル子亡命)

 7ターン開始直後にギルガメッシュ(女性)が柳洞寺に亡命してきます。
 元々、ギル子ファンである作者が黒桐本編に本格的にギル子を出したいという願望のルートです。


ランサー:まあ、そういう事らしいんでよろしく(ランサーのレンタル)

 7ターン開始直後にランサーが訪れ、暫く逗留します。柳洞寺の幕僚不足を補えるお年玉です。


式:あのなぁ。オレは三助じゃないんだぞ(お風呂でいちゃいちゃ)

 IFルート。式とギル子と黒桐君のお風呂シーン。本編には多分関係ない。


虎:何でなのよー!(ポニ虎を先送りにする)

 いや、悪戦苦闘中なので(苦笑)


【選択肢】あけましておめでとうございます。今年もよろしく。

A:ギル子亡命
B:ランサーレンタル
C:お風呂でいちゃいちゃ
D:ポニ虎は可愛いが難しい


163 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2009/01/03(土) 21:26:38


ギルガメッシュ(女性):雑種ども! 我よりランサーが良いというのか! だが、確かに亡命などというのは
           ケチな話だ。我の財産全てを持って黒桐を婿にしようではないか。

  黒桐:いや、それはそれで困るのですが。
ランサー:おう、坊主ら。まあ、そういう事らしいんでよろしく


ギルガメッシュさんが暴れていますが、とりあえず何と無かった模様です。


このイベントによる影響は以下の通りとなります。

7ターン開始直後にランサーが訪れ、暫く逗留します。


「宗一郎様、お待たせしました!」
「いや、大丈夫だ」

 僕らが現状について確認をし、現在の柳洞寺が思った以上に微妙な立場に置かれているのを確認し
終わった頃、メディアさんが再び襖を開けて登場した。

「待たせたな、雑種!」

 待たせたな、と言いつつ、実のところ待ちきれなかったみたいで、メディアさんの登場から一呼吸置いて、
ギルガメッシュさんが登場する。同時にギルガメッシュさんの後ろに隠れるように式がいるのだが、流石の
式もギルガメッシュさんの後では、目立たない。というか、ギルガメッシュさん、目立ち過ぎです。

「見よ、我の姿を!」

 そう言って胸を張るギルガメッシュさんの姿は、黒いリボンを除けば白一色で染め上げられた姿であった。
 白銀の胸当て(ドレス付き)、白銀の篭手、白銀のブーツ、そしてポニーテールにした髪に黒いリボン。
金髪の髪に黒いリボンはどうかなと思っていたが、これが予想以上に似合う。何よりも、白銀の甲冑が
ギルガメッシュさんの神々しさをより一層引き立てている。

「…………ど、どうだ? 幹也」

 一方の式は全身を黒い鎧で覆っている。ブーツから剣まで黒一色。黒くないのは式の髪と顔だけという
有様だが、それでいてちょっとおどおどした式は可愛い。
 白銀で自信満々のギルガメッシュさんと、黒色で少し自信なさげの式という組み合わせは思った以上に
インパクトがある。というか、うん。こういう姿の式も良いものだ。
 ただ、式はいつも着物姿だから今みたいな甲冑は苦手で、動きにくそうだけど。

「似合ってますよ、二人とも。ギルガメッシュさんは神々しいし、式は可愛いよ」

 僕の言葉に、当然だと胸を張るギルガメッシュさんに対し、式はほっとした表情を見せる。
 式の場合、慣れない姿だから不安だったんだろう。というか、何で甲冑姿なんだろうか? 確かに
ギルガメッシュさんとのコンビは見ていて楽しいというか、綺麗というか、そんな感じなんだけど。

「式の姐御、強そうだなぁ。ギル子とどっちが強いんだ?」

 僕たちの話し合いが終わったためアイマスクとヘッドホンから解放された楓ちゃんは、二人を見て
そんな事を言った。

「知らぬのか、雑種。我は最強なのだぞ」
「少なくとも交わすのは難しそうだ。いつもの服の方が動きやすい」

 楓ちゃんの発言で交戦に至るかと思ったが、どうやら式は今の格好が御気に召さないようだ。
 着物も案外重たいものだし、動きにくさという面でもいつもの着物も戦闘には向いていないと思う
のだけれども、式にとっては今の甲冑姿の方が動きにくいらしい。

「まあ、甲冑はちょっと大きすぎたかしら。貴方は装甲で耐えるよりも機動力で引っ掻き回す方だからね。
 今度は、もっと動きやすいのを探しておくわね」
「……いい。オレはいつもの着物で十分だ」
「あら。あのゴスロリ衣装も可愛いのに」

 そう言ってにっこり笑うメディアさんに対し、式はげんなりとした表情を見せる。
 まあ、気持ちは分からなくも無い。


「それでは、最後の衣装よ!」
「うむ、我に任せよ!」
「……好きにしてくれ」

 力強く宣言するメディアさん、自分こそ主役と譲らないギルガメッシュさん、けだるそうな式。 
 三者三様と言いつつも、気合を入れて元気一杯の二人に比べて諦めている式が気になる。

「式、疲れた?」
「なんでこう、女ってのは着せ替えが好きなんだ」

 そう言うと式は、はーとため息をつく。
 こらこら。前にも言ったけど、ため息を一つつくと幸せが一つ逃げるんだよ。

「式も着物や刀なら何時間鑑賞したり、身に着けてみたりしても飽きないでしょ。それと一緒だよ」
「着物なんて、着たらどれも一緒だ」
「お、式の姐御も着れれば良い派か。だよなー。ポリエステルの着物は偽物なんて言う奴もいるけど、
着物なんだから着れれば良いのに」
「素材による肌触りや好みの差はあるが、拘る所ではないな。寧ろ、作りが雑な方が気になる。手を
抜けば一発で分かるぞ」
「そうそう。この前、大島紬の偽物を見つけたんだけど、丁寧に泥染めしてあって。
 あれって勿体無いよな。大島紬にしてなければ高値で買い取れたのに、してあるから偽物になって
買い叩いたんだけど」

 式の意見に楓ちゃんが頷く。
 こういう所が流石は名家のお嬢様たちと思う所だ。というか、話が弾んでいる辺り、式も人の事は
言えないと思うよ。きっと着物なら、何着でも平気で着こなせるんじゃないかな。

「ほらほら。そこで喋ってないでこっちに来なさい。これで最後だから。そこのお嬢ちゃんも来なさい。
良いのを着せてあげるから」
「お、アタシの眼は厳しいぜ!」

 いつの間にか後ろ手に縛られていたロープを外した楓ちゃんは、メディアさんに言われて自ら進んで
着替えの部屋に行く。その後ろから、諦めたように式もついていき、こちらはまあご愁傷さまと言った
所である。
 うん、やっぱり楓ちゃんは大物過ぎるくらい大物だ。葛木氏に始末させられかけた事なんて、
これっぽちも気にしていないんだろう。


 そして、10分後、

「見よ、雑種。我の姿を!」

 現れたのは、メディアさんのローブを着込んだギルガメッシュさんと

「そ、宗一郎様。どうでしょうか?」

 白無垢姿のメディアさん。

「旦那! 式の姐御の着物だぜ!」

 式の着物を着てノリノリの楓ちゃんと

「は、恥ずかしいだろ。この格好は」

 魔法少女風の衣装を着てステッキまで持った式の姿であった。


 さて、ここに今や懐かしいインスタントカメラがあるんだが、誰を撮ろうかな。


【選択肢】誰を撮りますか
A:ギル子
B:キャスター
C:マキジ
D:式

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最終更新:2009年03月22日 21:57