744 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2009/05/23(土) 20:07:24 ID:jR94fORk0
「零観さん。電話をお借りします」
ギルガメッシュさんの出した条件は「境内に湧き出る水」。僕らはそれを「手水舎の水」と
受け取り、彼女も否定していない。そして、手水舎からの取水方法について、僕たちは零観さん
や式らと打ち合わせをし、ギルガメッシュさんにも了解を取っている。
それを仕方の無い事情があり、ほぼ同一とは言え、違う場所から取った水を納めるのはやはり
問題がある。後々揉めないためにも、ポリタンクに入れる水を井戸水に変更する事について
ギルガメッシュさんに説明し、了解を得ておくべきだろう。
「ああ、黒桐殿。そこに電話があるので使ってくれ」
ギルガメッシュさんに電話をかけるべく外に出ようとした僕を零観さんは止め、そこに
置いてある電話を指差した。
置いてあった電話は柳洞寺という古い建物によく似合った古めかしい黒電話だ。黒電話は
アナログ回線であるため、盗聴がしにくいという話だし、丁度良いかもしれない。
「ありがとうございます」
そう言って、僕はギルガメッシュさんから渡されていたメモを見て、彼女に電話番号をかけた。
「……あれ? 出ないな」
20コールを超えてなお誰も出ない。よくよく見てみれば、この電話番号は携帯ではなく
固定電話の番号だ。どこかで見た番号だな、と思って電話帳を見てみると冬木の教会の番号である。
教会に誰も居ないというのは考えにくいが、出ない以上、留守だと受け止めるべきだろう。
「まいったなぁ」
ギルガメッシュさんと連絡が取れない事には動きようがない。いや、OKが出る事を前提に
動いてしまうという手もあるが、その場合はOKが出なかったら全部やり直しである。
「というか、何で僕がこんな事しているんだろ?」
「何でって、これも良い訓練だよ、と言って引き受けたのは黒桐さんじゃないですか」
僕の独り言を聞きつけた霧島さんが呆れたような顔で言う。どうやら、待ちきれずに来たようだ。
「いや、それはそうなんだけどね」
再建中の諜報部がやるべき仕事は他にも沢山あるのだが、再建中であるが故にこういう雑務が
回ってくる。というよりも、僕はこういう雑務を積極的に引き受けるようにしている。
諜報部は任務に失敗して再建に追い込まれたにも関わらず、巨額の資金がつぎ込まれている
(僕の顧問就任のための準備金もそうだし)ため、他部署からの風当たりが強い。
その風当たりを幾分弱め、同時に他陣営との交流を深める事で情報を得やすくする、そんな
考えの下に引き受けたのだが、
「僕が引き受けたのは、竹の伐採や柳洞寺からの汲み出し、運搬の業務であって、調整業務まで
引き受けたつもりは無かったんだけどね。
まあ、僕に回ってきた理由は十分分かるんだけど」
基本的に今回の汲み出しについて水の所有者にあたる零観さんは反対の立場だった。それを
汲み出し方法に気をつける事で何とか許可を得たが、それをひっくり返すような話なのだから、
メディアさんが再度出るとメディアさんと零観さんとのが対立している、という風に映ってしまう。
宗教部門というか公的機関の面で事実上のトップである零観さんとこの冬木市で起きている戦いに
参加した「独立宗教法人柳洞寺」のトップであるメディアさん。この二人が対立すると柳洞寺を
大きく揺るがす。
だからこそ、ギルガメッシュさんに売ると決めた後はメディアさんは口を挟まず、こちらに
一任しているのだろうけれど。
「で、何やっているんですか? 黒桐さん」
「ああ。汲み出し方法というか汲み出し場所を変えようと思って、ギルガメッシュさんに許可を
取ろうと思ったんだけど連絡がつかなくてね。教会にはいないみたいだ」
さて、困った、と上を向いて大きく息を吐く。
連絡がつかない以上、今は行動を変えないのが一番なのだが、柄杓ですくってポリタンクに
入れる行為に式たちは不満を募らせているという事実がある。
早いうちに連絡を取りたいのだが。
「うーん、ギルガメッシュさんが居そうな所だと、わくわくざぶーんか港ですかね」
「ざぶーんはともかく港?」
「はい。この前、ランサーさんに頼みに行った時、ギルガメッシュさんも港に居たんですよ」
僕の素朴な疑問に霧島さんはそう答える。放っておくと、その時の釣りの面白さから藤村女史との
対決まで伝えそうな勢いであるため、適当に遮るが、港というのは予想外だった。
「港だと」
「誰かを走らせるか、港湾関係者に電話するかのどっちかですかね。ギルガメッシュさんは
ここのアイドル的存在ですから、港湾にかけても大丈夫だと思いますよ」
今、霧島さんはかなり重要な事を言ったのが本人はそれに気付いていない模様である。
まあ、それは後に回して、今はどうするか、だ。
【選択肢】
α:わくわくざぶーんに電話をかける
β:冬木港湾組合に電話をかける
γ:【 】が港に向う(幕僚+2、ランサー、霧島さん、部長から選択。複数名選択可能)
なお、忘れていたのでターン開始ステータスに下記を追記。
人材:ランサー 不満度30(概ね満足している)
966 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2009/05/30(土) 13:02:37 ID:NEqwLaVg0
「とりあえず、ざぶーんに電話しようか」
「そうですね」
正直、関係あるかどうか分からない港湾組合には電話しにくいものである。
伽藍の堂で飛び込み営業に近い仕事をしていたとは言え、あれは「蒼崎橙子」という建築家、
人形製作者の名があったし、何より橙子さんの意思に基づいていた。
それに対し、今回の場合は「港にうちの子供が行ってるみたいなんだけど、居ますか?」という
電話をそこの漁業協同組合にかけるようなものである。違うのはその子供が漁協の関係者で、
少しばかり漁協に融通を聞いてもらえる可能性がある、といった程度だ。
どちらにしても、まずはざぶーんに電話して、そこに居なければ港、それでも居なければ、
ランサーさんか誰かに探してもらうしか無いだろう。
『へい。こちらわくわくざぶーん』
「独立宗教法人柳洞寺の黒桐と言います。お世話になっております」
本来であれば所属部署を加えるべきであるのだが、僕の所属先は諜報部であり、普通は大っぴら
に言う部署ではない。かと言って、嘘の所属先を名乗るわけにもいかないので、こういう名乗り方に
なる。
『うん? 黒桐さん?』
「はい。先日、オーナーのギルガメッシュさんから依頼された件について、早急に確認したい事が
ありまして電話させて頂いたのですが」
『オーナーってのは良く分からないんだが、ギルガメッシュってのはギル子ちゃんの事か?』
「……おそらくそうだと思いますが」
電話口でのこの反応に何となく違和感を覚えたが、ギルガメッシュなどという名前がそうそう
あるとは思えないので、僕はそう答えた。
『ちょっと待ってな』
そう言うと電話口に出た人は「おーい、ギル子ちゃんは今日来る予定あったけ?」と大声で
尋ねていた。勿論、僕に尋ねたわけではなく、部屋に居た誰かに尋ねたのであろうが、ちょっと
冷や汗が出る。
幾らなんでも、オーナーをギル子ちゃん扱いってのはちょっと変だ。
間違って電話したのではないのか、という疑問がわく。が、直ぐに打ち消した。先ほど、電話口で
間違いなく「わくわくざぶーん」と答えていたのを思い出したからだ。
『あー、もしもし』
「はい」
『ギル子ちゃん、今日は来る予定ないって。どうする? 一応、来た時で良かったら伝えておくけど』
「いえ。何とか連絡を取ってみます。どうもありがとうございました」
そう言って、僕は電話をゆっくりと切る。
「居ませんでしたか」
「うん。わくわくざぶーんには居ないみたいだね」
どうにも違和感は消えないのだが、別に異世界に繋がったわけでもないだろう、と自分に
言い聞かせ、なるべく普通の表情を装って僕は霧島さんに答えた。
実は最後の一桁を掛け間違え、受付ではなく保安所に繋がっていたのが後日判明するのだが、
この時の僕がその事を知る由もない。また、猫アルクの襲撃によって客足の落ちたざぶーんの
状態を改善すべく、ギルガメッシュさんが色んなイベントをやろうとしていた事もその時に知る。
色んなドレスを着て受付からボイラー室まで顔を出し、アイデアを聞くギルガメッシュさんの
姿はわくわくざぶーんに働く皆に活気を与え、ちょっとしたアイドルになっていたようだ。
「となると、港だけど」
「ランサーさんに行ってもらいましょう。ランサーさんに携帯を持たせて、ギルガメッシュさんが
居ても居なくても港から電話してもらうのはどうでしょう? 勿論、港にギルガメッシュさんが
居ればギルガメッシュさんに出てもらえば良いですし」
「それが良さそうだね」
ランサーさんは今、竹を切っているがそれは僕が代わりにやれば良い事だし、港に行ってもらう
のは十分可能だと思う。
問題は、ランサーさんはかなり自由な人で加えて場所が場所なだけに、連絡はしたとしても
そのまま釣り仲間に誘われて釣りを始めてしまう可能性がある事だろうか。まだまだ作業は
残っているので一時的に抜けられるのはともかく、出かけたまま帰ってこないのは困る。
誰か付けても良いんだけど、しっかり手綱を握れる人間なんてそう居ないからなぁ。
【選択肢】
α:ランサーさん単独で港に行ってもらう
β:ランサーさんと【 】で港に行ってもらう(幕僚+2、霧島さん、部長から選択)
γ:ランサーさんではなく、【 】に港に行ってもらう(幕僚+2、霧島さん、部長から選択)
214 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2009/06/08(月) 03:28:09 ID:dJ4tu4es0
「というわけで、お願いできますか?」
「まあ、お安い御用と言えば御用だけどよ」
あんまり乗り気はしねぇなぁと言いたげな表情を見せ、ランサーさんは大きな欠伸をする。
誰か監視というか、同行者をつける事で彼の行動を縛れるかもと思ったが、よくよく考えれば
誰をつけても縛れそうにないとの結論に至り、結局ランサーさん一人で港に行ってもらう事にした。
まあ、今日中に作業を終えたいとは思っているが、今日中に終わらせなければいけないという事は
無いのだ。部員たちにも良い気分転換になっており、明日も続くくらいならば不満は出ないだろう。
これが一週間ずっととなると別だろうが。
「ちょっと待ってな」
そう言うとランサーさんは竹を数本纏めて担ぎ、一時置き場兼枝打ち所となっている裏の
駐車場に向う。竹を運んでいるのは諜報部男子部員も一緒だが、やはりランサーさんほど大量に
運んでいる者はいない。というか、一体どれだけ伐採する気なんだろう? 景観を崩さない程度に
してくれると良いんだけど。
「確か依頼のあった竹は、ポリタンク40個分の水を入れれる分ですよね?」
「おうよ」
ランサーさんは簡単に答える。
「それにしては多すぎやしませんか?」
「伐採許可はもらったぞ」
それはそうだと思う。
何だかんだと言いながら、ランサーさんの傍若無人ぶりは柳洞寺とギルガメッシュ陣営の関係を
破綻させないギリギリの所で維持されている。怒りたいが、正式に抗議の声を上げるには弱すぎる
という話だ。
それに加え、竹は成長が早く、また生命力が強いので定期的に伐採しなければ、あっという間に
山が竹林で覆われ、荒れてしまう。荒れた山林は地盤が緩くなり、ちょっとの大雨で簡単にがけ崩れ、
地すべりを起こしたりもするし、何より見苦しい。
柳洞寺も定期的に伐採しているが、やはり昨今の人手不足の影響もあって中々手が回らない部分も
出て着ている。佐々木さんが気まぐれというか、気分転換で竹を相手に居合い抜きをするのが
許されているのも、とりあえず目に付く所だけでも小まめにやっておいたほうが良いという理由が
あったりもする。
その二つの事を考えても、ランサーさんは零観さんが伐採許可を出した範囲、あるいは範囲を
超えても黙認できる程度で行っているのだろう、という事は十分に理解できる。……理解できるのだが
やはり多すぎるような気はするのだ。
まあ、ランサーさんとしては同じ金を払うのならより多くの竹を得たいであろうし、柳洞寺としても
景観を壊さない範囲であればより広い範囲を伐採して欲しいのだろうが。
「おう、じゃ港に行ってギル子のやつを見つければ良いんだな」
「はい。居なければ居ないで、連絡をお願いします」
枝打ちは僕がやりますので、と付け加えるとランサーさんはお前さんの仕事はそれじゃないだろ、
と言って、にやっと笑うと携帯をひったくり颯爽と駆け出した。
ぽかんとしていた僕がその言葉の意味を理解したのはその5分後。式がナイフを片手に現状の説明を
求めてきたその時である。
*******************************************
「か、辛い!」
さて、黒桐幹也がそうやって走り回っていた頃、古代アルスター我様激辛麻婆帝国のトップである
ギルガメッシュが何をやっていたかというと、彼女は港でカキ氷を食べていた。
山のような、というかカキ氷という概念を根底から崩されるような盛り方、ふんわりではなく寧ろ
ぎちぎちに押し固めたようなカキ氷は見るものに「何を考えているんだ?」と思わせるが、この場合は
これで正解なのである。
伝説のカキ氷、辛口マンゴー。基本のシロップはマンゴーだが、それにチリソースを加えて辛口に
仕上げている。味は言うまでも無い。なお、某店では冬でも売ってる一品である。
「か、辛いぞ、これは!」
「そうか? 甘さの中にある辛さが中々良い味だと思うが」
「ええ。この駄犬が作った割には美味しいと思うわ。もっとも、駄犬がやった事は氷を削っただけ
だけど」
その辛さゆえか、叫んだ後、置いてあるオレンジジュースをがぶ飲みするギルガメッシュに対して、
二人は涼しい顔でカキ氷を食べている。神父服を着た男は何故かレンゲを手にしているが、シスター服
の方はスプーンを用いている。ただし、先割れスプーンであるので、そうでないと割れないくらい
ガチガチに氷を固めてあるのかもしれない。
神父服を着た男の名は言峰綺礼、シスター服を着た少女の名はカレン・オルテシア。
同じ組織に所属しながら互いに主導権を巡って争うという、同床異夢を具現化したような関係の
二人であったが、ギルガメッシュが女性となった事でその関係は一変している。
彼、そして彼女は、何よりも他人が嫌がる事が大好きで、かつ無知な者を引っ掛けてそれに気付いた
際の表情がたまらなく好きだという、非常に困った人たちである。その二人は、今、ギルガメッシュという
面白い玩具を見つけた事で「お互いの邪魔をしない事」を条件に停戦を結んでいる。
どちらも、相手がそんな約束を守るとは毛の先ほども信じてはいないが、古代アルスター我様激辛麻婆帝国の
主導権より、ギルガメッシュで遊ぶ事の方が面白いという点では一致している。その遊びに巻きこまれる
ランサーにとってはたまったものではないが、ランサーはランサーで
「……釣りが楽しめれば良い」と諦めている。元々、彼は快楽主義者なのだ。
そんなわけで、冬木の教会ではカレンがオルガンを弾き、ギルガメッシュが賛美歌を歌う姿や、
言峰がレンゲを手に取り、嫌がるギルガメッシュに無理やりセロリを食べさせる姿が目撃されている。
それを微笑ましいと捉えるかどうかは人によるが、これまでの殺伐とした雰囲気よりも良いと
感じている者が多いのもまた事実である。
ちなみに、本日のギルガメッシュの衣装はTシャツに半ズボンというボーイッシュな格好である。
ただし、半ズボンをサスペンダーで吊っているため……まあ、そういうわけである。付け加えるの
ならば、今日は下着を着けているのだが、白いTシャツがぴったりと肌に貼り付いているため、
白い下着の線が露骨に見える。
先ほどからちらちらと漁協の人たちが横目で見ていたり「お嬢ちゃん、これいるか」と食べ物や
ジュースを持ってきてくれるのは、そんな理由もあるのだろう。
「その駄犬がどちらを意味しているのかはあえて聞かないが……。
まあ、私がした事は確かに氷を削った事だけだが、わざわざ昭和区までシロップを買いに行かせた
ランサーを労っても良いとは思うがね」
氷を削っている手は休めず、アングラーは露骨にため息をついた。
彼が氷を削っているのはギルガメッシュの命によるもので、早朝、いきなり
「カキ氷が食べたい」と叫んだギルガメッシュの要求はともかく「ならば、シロップが必要ね」と、
ランサーを強制的に柳洞寺から帰宅させて、すぐさま尾張国は昭和区にある伝説のカフェに
シロップを取りに行かせた辺りは鬼であると思う。
しかも「一時間で帰宅しなさい」と言われて本当にやらされ、その上でランサーの目の前で
「やっぱり辛口マンゴーは山で冬に食べないと駄目ね」などと言われては本当に立場が無い。
彼が柳洞寺で狂ったように竹を切っていたのは、その鬱憤晴らしという面があるかもしれない。
なお、東京の浅草には同名の喫茶店があるが、こちらはまっとうな喫茶店であるので
お間違えないよう。
「普通の人間にやったらあれは泣くぞ」
「まあ、駄犬が私に使われて喜ぶ所か泣くなんて。ようやく主に仕えるという事が
分かってきたのかしら」
「……その考え方自体を改めるべきだと思うが。ほら、ギルガメッシュ。口元を拭くから動くな」
「うむ」
冷や汗を流しならも、アングラーは甲斐甲斐しくギルガメッシュの口元をナプキンで拭く。
シャツまでオレンジジュースが垂れなかった事は幸いであろう。垂れていたら大変な事に
なっている。
「しかし、こうやって暑い中、氷を食べるもの良い事だ。いや、こんな暑い日こそ、体中を熱くする
熱い料理を食うべきか」
「我は食わぬぞ!」
ギルガメッシュの叫びは一般人の多くの意見を表していたが、残念な事にここでは多数ではなかった。
アングラーは彼女と意見を同じくするものであったが、カレンは言峰と意見を同じくする者であった。
そして、アングラーの立場はギルガメッシュのサーヴァントであるが、ギルガメッシュは言峰の
サーヴァントであり、同時にカレンのサーヴァントでもあった。
ランサーが港に辿りついた際、ギルガメッシュが電話の受け答えもできないくらい衰弱していた
理由、そして恐らく必死にギルガメッシュを守ろうとしたのだろう、水性ペンで至る所に落書きを
されたアングラーが全てを諦めたような表情で海を眺めていたのはそんな理由であった。
*******************************************
『で、どうするよ? ボウズ』
「ぎ、ギルガメッシュさんを電話に出す事は……」
『さっきから、『うー』とか『あー』とかしか言わねぇが、それでも良いなら代わるぞ』
そんな状態で電話に出されても困ります、と言いたかったが、そんな事はランサーさんも十分に
分かっているだろう。
「今、ランサーさんはどこに?」
『港からちょっと行った辺りだな』
恐らく港からギルガメッシュさんを連れて逃げ出してきたのだろう。その割にはランサーさんの声は
特に代わりの無いものであり、悲壮感溢れるといった状況ではないようだ。
「コクトー。話すだけ時間の無駄だ。連れてこい」
「いや式さん。話が出来ない状態みたいですから、無理につれてくるよりもどこかで安静にしてもらった
方が良いですよ」
後ろからはそんな声も聞こえてくる。
宥め、賺(すか)し、ランサーさんから連絡があるまで何とか手水舎の柄杓で汲み入れていたが、
堪忍袋の尾が切れ掛かった式は今にも飛び掛らんばかりに僕を睨みつけている。
一方、交代で水を掬いいれていたり、枝打ちをしていたりしていた霧島さんの方はそこまで
追い詰められていないようで、「まあ、明日でも良いんじゃないんですか」という感じだ。
【選択肢】
α:柳洞寺に連れて来て貰う
β:どこかで安静にしていてもらう
γ:とりあえず、ギルガメッシュさんに代わってもらう
α、β共に下一桁の合計を3で割った数字の余りが1なら、移動に失敗してランサー・ギルガメッシュ
さんが言峰とカレンに捕獲されます。
最終更新:2009年06月13日 21:00