967 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2009/05/04(月) 11:57:53 ID:Z8Ilj5eM0
「では、読者からの要望もありましたので、私によるサンドイッチ講座となります!
アシスタントはカップラーメンからパスタまで、麺類なら何でも来いの黒桐幹也氏と
日本料理の天才、一切の妥協は許さぬ両儀式さんのお二人であります!」
どんどんどんどん
ぱふ、ぱふ、ぱふー
「おい、お前ら何やってるんだ!?」
「え? ガヤと言って外側でいかにも盛り上がっているように演出する役目ですが。
ほら、ちゃんと玩具のトランペットまで持ってきたんですよ」
式の冷めた目と声にも関わらず、周りに居る部員たちは酷く興奮した面持ちで太鼓を叩き、
トランペットを鳴らす。一体どこから持ってきたんだろう?
「では、材料を。食パンはサンドイッチ用の10枚切りもしくは8枚切りのものを一袋。
個人的にはイオングループ、TOPBALUから出ているESTPRICEの食パンが
良いですね。
今は一袋88円くらいで売ってるんですよ」
「安すぎやしないか?」
「普段、ホテル食パンとかパン屋の本格的なパンを食べている人からすれば確かに味は
落ちると思いますが、ヤ○ザキとかの食パンと比べてもそんなに味が落ちるとは思わないです」
ちなみに日本のパンはもちもちした食感が特徴で、欧米の本来のパンはザクザクした食感
(フランスパンなどを想像すると良いと思う)が特徴だそうだ。
明治になって日本にパンが入ってきた時、パンを旨い旨いと言って食ったのは
西郷隆盛だけで、後は皆、不味いと一口口をつけただけ、というエピソードもある(これは
当時はビールに使うホップで膨らませていたのにも理由があるが)。
「次に、レタス、キュウリ、ハム、人参、卵、ツナ缶、マヨネーズ。豚細切れやベーコン、
ソーセージ、挽肉なんかもあると嬉しいですが、無くてもかまいせん。ある程度時間が
かかっても良いなら、ジャガイモもあると良いでしょう。
あ、辛しマヨネーズとか、たらこマヨネーズなんかもあると良いですね。これがあると
味に広がりが出ます」
ほうほう、と合いの手を入れながらメモを取る女子部員たち。
式は呆れながら、言われたとおり冷蔵庫から材料を取り出している。
「まず、ツナ缶を開け、中のスープを別の入れ物に移します。ここで丁寧に水気を
取らないと、後でサンドイッチにする際にパンがべしょべしょになってしまうので、
丁寧にやってください。
そしてレタスを水で軽く洗った後に手でちぎります。もし、事前に準備しておく事が
出来るのならば、なるべく水気の多いドレッシングに2~3時間漬けておいて、調理前に
振って余分な水気を飛ばすとなお良いでしょう」
「今回は手で千切っただけのレタスでやるんだけどね」
一応、アシスタントとして呼ばれているため、僕が水洗いしたレタスを手で千切って
ボウルの中に入れる。
「そして、2枚のパンにバター又はマヨネーズをしっかり塗り、薄く輪切りにした
キュウリを一面に貼り付けた後、レタスを載せた上でハムを『これでもか!』というくらい
入れます」
これでもか! の所をえらく強調して言う霧島さん。
「画像が無いと分かりにくいな」
「そうですね。まあ、5枚くらい入れれば十分じゃないでしょうか。なお、以前普通の
ハムではなく、生ハムで試した事があるんですが、生ハムの塩味がどうもキツイ感じでしたので、
普通のハムで十分だと思います」
「安い方が美味しいのなら、それは嬉しい事だね」
ちなみに、キャベツでも問題ないし、水に晒して生で食べれる状態にした玉ねぎを
使っても美味しい。普通の玉ねぎをそのまま使うと、辛くて駄目だが。
「最後にもう一方のパンにもキュウリを貼り付けた後でレタスをのせ、それでサンドイッチに
してしまうと、ほらもう完成です。簡単ですねぇ。5分もかかりません」
「それを10回繰り返すと50分かかるんだけどね」
ただ、サンドイッチならば材料を揃えて、作る場所さえ確保しておけば大人数で短時間に
何とか出来るのが魅力だろう。
「次はツナを使ったサンドイッチを。
パンにバター又はマヨネーズを塗るのは一緒ですが、レタスをのせた後、ツナ缶のツナを
レタスで包むようにして入れた後、サンドイッチにします。この時、一緒に細切りの人参を
加わるとさらに美味しくなりますよ。
また、味見をして物足りないなぁと思ったらツナにもマヨネーズを加えて、ツナマヨに
してしまっても良いです」
「人参は細切りにして炒めても良いよね」
人参は生で食べれるが、炒めても美味しい。人参に含まれるカロチン(今はカロテンと
言うそうだが)は油脂に溶け易いので、たくさん取りたければ炒め物などが良いとされる。
まあ、今回は生で使うんだけど。
「次はタマゴサンドかな。卵を割って小さなボウル、無ければ汁椀で良いのでそこに入れて、
よくかき混ぜた後、塩コショウを軽く振って、さらにかき混ぜる。
フライパンを中火にかけて油を小さじ1杯くらい入れた後、十分フライパンが熱くなったのを
確認した後、かき混ぜた卵を入れる。このまま玉子焼き風に焼いた後、適当な大きさに
切っても良いし、このままスクランブルエッグというか、炒り卵風にしてしまっても良いよ。
ま、この辺りは好みという事で」
「今回は炒り卵風にする事にします」
にっこりと笑う霧島さん。理由は切る時間を節約するためだとか。
なお、この場合、フライパンは卵専用のフライパンではなく、一般のフライパンを使うのが
良いと思う。理由はフライパンの上で菜箸なり、フライ返しなりを使ってかき混ぜるため、
フライパンの表面を傷つけてしまうからだ。
「この炒り卵風のをパンで挟んで完成です。パンにはやっぱりバターかマヨネーズを塗って
おくのは一緒ですが、こっちはレタスで包むとレタスの量が多いようなのでレタスは少なめが
良いでしょう。味付きレタス(前述のドレッシングに漬けたレタス)だと多くても良いんですが」
個人的な意見として、卵というのはゆで卵や目玉焼きといった黄身と白身を分離しない形に
すると塩だけで割と味がしっかりするのに対し、かき混ぜてしまうと味が寝ぼけるように思う。
かと言って、塩コショウをしっかり振ると今度はそちらが勝ってしまうので難しい所なんだけど。
「あと、豚肉、ベーコン、挽肉なんかも塩コショウを振って、強火で短時間焼いた後、
クッキングペーパーか無ければ新聞紙で水分と油分を取ってパンに挟むと美味しいですよ。
油分は美味しさでもあるので、あんまり取りすぎるのも駄目なんですが」
「ここまでの共通のポイントは、水分か」
「はい。いくらパンにバターやマヨネーズを塗ってパンが水分を吸収するのを避けているとは言え、
水分が多ければべしょべしょになってしまいます。あとは油分ですね。油、特に肉から出た脂は
冷めると固まり、これがあまり美味しくないと思うんです」
式の質問というか確認に霧島さんが答える。
サンドイッチの定番であるトマトを用いていないのも、切った際に垂れる汁と食べる際の汁を
気にしての事だとか。あとはまあ、トマトは高いというのもあるんだろうが。
「さて、今まではせいぜい5分。パンに挟む作業を入れても10分で出来ます。
ここからは時間を下さい。20分。20分だけで良いです。この20分が何の時間かと言うと、
ジャガイモを茹でる時間です。
皮をむいたジャガイモを半分くらいの大きさに切り、水を大目に入れて火にかけます。
塩を適量入れた後、酒を少量入れます。この酒は煮崩れを防ぐためです」
「あれ? でも、この後、マッシュポテトというか、ポテトサラダにするんだよね?」
「幹也。自分で崩すのと自然に崩れるのじゃ大違いだぞ。自然に崩れたら、ボウルに移すのも
大変じゃないか」
言われて見ればその通りである。鍋の中で崩れ落ち、ほとんど澱粉と化したジャガイモを
ボウルに移すのは大変だ。
「実は鍋からボウルに直接移さず、布巾か何かで濾し取る形にすれば崩れてても
大丈夫なんですけどね」
「それでも、崩れない方が扱いやすいけどな」
結局の所、一手間かける事ができるかどうかで決まるようだ。
「で、本題に戻りますが、20分かけてジャガイモを茹でて、中までちゃんと火が通っているのを
確認した後、ボウルに移します。一度布巾に移して水気を取れるのなら、その方が良いですね」
「そして、マヨネーズ、炒り卵、ツナといった具材を加えて、徹底的にかき混ぜる、と」
「ちなみに、ジャガイモを潰す道具があればより簡単ですが、無ければ菜箸やフライ返し、
おたまなんかで潰しても良いですよ。ただ、泡だて器のような細い針金を用いているのは、針金が
馬鹿になるのでお勧めしません」
当然といえば、当然の話である。
「さて、ジャガイモを潰し終わった後、味見をして物足りなければ塩コショウを加えます。
なめらかさが足りないと思ったら牛乳を小さじ一杯加えて調整してみても良いですよ。
また、ジャガイモを大量に茹でて、ツナポテト、タマゴポテト、タラポテト(たらこマヨネーズを
加える)と種類を変えてみても良いでしょう。ジャガイモは腹持ちが良いし、ボリューム感も
あります。
レタスとポテトの簡単なサンドイッチでさえ、思いっきり頬張った際のあの美味しさは……」
「うん、分かったから。霧島さん、よだれはやり過ぎ。リアクション芸人じゃないんだから」
てへ、と軽く頭を叩く霧島さん。いや、そういうのが芸人ぽいんだって。
「というわけで、色んなサンドイッチがあるんですが、今日のお昼はハムサンドと各種揃えた
ポテトサンドでありました。これがまた好評で。何と言うかこう、かぶりついて食える上に、
腹いっぱい食べれるのが良かったんでしょうね。コーヒーもお替り自由でしたし」
「コーヒーはインスタントだがな」
「分かった、分かった。後でモン○フェか何かの簡易ドリップで入れてあげるから」
そんなにインスタントが許せないものなのか、と思うのだが、やはり式にとっては譲れない
一線なんだろう。
とりあえず、今日の業務が終わった後、スーパーかコンビニに行って簡易ドリップのコーヒーを
買ってこようと思った次第である。
今週の諜報部のターンはこれにて終了。柳洞寺のターンに移ります。
Y/了解した
N/黒桐と式のいちゃいちゃシーンを追加せよ!
24 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2009/05/05(火) 20:40:48 ID:NzIWeehI0
(独立宗教法人柳洞寺の7ターン目です)
黒桐幹也/新居の建築の事でちょっとお話が
閣下、黒桐氏から建設予定の新居について提案があるそうです。
今ターン、アインツベルン第三帝国に建設を依頼した葛木氏と閣下の新居ですが、住居の設計は
その気になれば夫婦仲を引き裂くような設計も可能であり、それをイリア陣営の設計者に任す事は
不安があるのではないか、との事。
そうでなくてもアインツベルン第三帝国が新居に対し、何らかの爆弾(文字通りの爆弾から盗聴器、
盗撮器具、設計上で得に脆弱な箇所を設けるなど)を仕込んでおく事はそれなりに考えられます。
また、黒桐氏の本来の職業は伽藍の堂という設計事務所の従業員で、所長の蒼崎橙子氏は業界では
名の知れた建築士です。蒼崎氏に設計を依頼すれば、設計費用は余分にかかりますが、こちらの意向に
沿った設計をしてもらえますし、何よりも安心した夫婦生活が送れる事と思います、との事です。
本音は、経営危機というか一向に払われる様子のない給与状態を見て、紐付きの依頼で給与を押えよう
という意向のようですが、考慮する価値はありそうです。
設計を伽藍の堂に依頼しますか?
この提案を受け入れた場合の変動は以下の様になります。
「愛の新居」の設計依頼が伽藍の堂に行きます
(資源を余分に消費しますが、完成時により閣下の満足のいくものになる可能性が高くなります)
アインツベルン第三帝国の親密度 -5
断った場合の変化はありません
Y/新居は万全でならねばならぬ!
N/依頼先を疑ってはいけない!
Z/そもそも新居の設計を依頼した覚えはないのだが
(外交ターンで行く他陣営を指定してください)
557 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2009/05/17(日) 15:46:06 ID:ncqfmKRY0
それでは、新居の建設は現状で変更なしといたします。
黒桐/そうですか……。分かりました。
がっくりと肩を落とし立ち去る彼の姿に悲壮感を覚えないわけではないが、柳洞寺は今後も
アインツベルン第三帝国に建設を依頼しなければならない。そのためにはアインツベルン第三帝国に対し、
信義に劣る行為を行うわけにはいかないのだ。
しかし、黒桐氏の指摘はもっともであり、閣下は新居の「掃除」には徹底を期す事を約束された。
このイベントの結果による変動はありません。
その日、黒桐はここ数日の日課となった山門前の石段の清掃を行っていた。
ランサーは黒桐が山門前に姿を現すと同時に自分の仕事は終わったとばかりに姿を消した。
おそらくまた港に向ったのだろう。釣り道具を抱えては居なかったが、クーラーボックスは
抱えており、釣竿などは港に置いているものと思われる。
昼間の暑い時間帯には魚も疲れて飯を食う気が無くなるようで、よく釣れる時間帯は朝の
早いうちと夕方から夜にかけて。夏至は過ぎたとは言え、まだまだ日が暮れるのは遅く、
夕飯ギリギリまで粘っているようだ。そのため釣果は悪くない。
もっともランサーは釣るのは好きでも釣り上げた獲物そのものはあまり興味がないらしく、
釣果の多くは藤村組のお嬢さんが持って行き、その残りが柳洞寺にもたらされる。教会にも
持っていかなくていいのか、と思うのだが、あちらにはギルガメッシュなどが釣った分が
持ち帰られているらしく、人数もそれほど多くないので余り気味だとか。
「あっちに持って帰っても馬鹿みたいに唐辛子で味付けだぜ。魚の意味がねぇよ」
とはランサーの言い分である。どうやら、かの教会では魚もたっぷりの唐辛子で
味付けをされるようだ。
ランサーと交代し、山門の警備を兼ねて清掃を行う黒桐の表情はあまり良くない。
彼は自分が自信を持って行った提案を否決された事で、少々落ち込んでいる。
黒桐の提案を否決したキャスターは余分にお金がかかる事とすでにイリヤ陣営と契約を
結んでしまった事を黒桐に伝えたが、そのどちらも彼を納得させる事はできなかった。
新居の建設などという行為は最低でも1000万~2000万はかかる行為であり、
一方で設計図のチェックなどは多くても30万も出せば出来る事である。
そして、建築基準法の考えにある「設計」「施工」「管理」の分離を考えれば施工業者は
設計図にない物を加える事はない。仮に必要であってもだ。何故ならば「図面にない」からであり、
施工業者が行うべき事は図面通りに物を作る事である事を考えると当然と言える。
また、キャスターは黒桐に契約を結んだと言ったが、黒桐はそれがまだ本式のものでない事を
調べて知っていたし、だからこそ提案したのである。
黒桐が食い下がらなかったのは、キャスターの意志が固い事に加え、その提案が自分の
本業の利益に繋がる事だった事、そして何より黒桐は「柳洞寺諜報部の外部顧問」であり
「独立宗教法人柳洞寺の参謀」ではない事である。
要するに、その提案は黒桐の肩書きを逸脱するものであり、自己への利益誘導との指摘を
免れないものであったため、引き下がったのである。
ただ、それでも黒桐は自身の提案が柳洞寺の利益となると思っていたし、受け入れられると
思っていた。それゆえに、否決された事で、自分自身の価値まで否定されたような気が
していたのである。
「む、黒桐ではないか」
「あ、ギルガメッシュさん。おはようございます」
しかし、下を向きながら石段を清掃していても、他人がくればその顔を見せないようにするのが
黒桐幹也という男である。顔を上げた先にいた人物がギルガメッシュ陣営のトップとあればなおの事。
現在の友好国とは言え、いや友好国であるからこそ警戒を怠ってはいけないからだ。
「散歩ですか?」
「いや、ランサーに用事があって来たのだが」
そのギルガメッシュの姿は体操服の上にスパッツという、いかにも運動のための格好であり、
意外か当然かは別にして胸の部分に縫われたゼッケンには大きく「ぎる子」と書かれている。
もっとも、彼女の豊かな母性故に文字は大きく歪んでおり読みにくい。読めないことはないのだが。
またスパッツも動きやすい事は動きやすいのだろうが、太ももの部分が異常にむちむちした
感じに見え、どうも無理やりきついサイズを履いている、という気がしないでもない。これは
言峰神父、あるいはカレン・オルテシアの趣味だろう。
「ランサーさんならクーラーボックスを持って出かけましたが」
「港か。まあ、後で寄るとしよう」
ランサーの不在を聞いたギルガメッシュはそう黒桐に返す。その口調はさほど怒っているようには
見えず、寧ろ機嫌の良いように聞こえた。
「それはそうと、ここまで歩いてきたので喉が渇いた。茶を所望する」
「すいません、まだ来客可能な時間ではないので客間に通すわけには」
ギルガメッシュのいつも通りの言葉に黒桐は簡単に返答する。彼は彼女が決して悪い人間ではない
事を知っているし、どちらかと言えば単に子供であるだけだ、と思っている。
ただ、単純に大人になるよう教育すべきかと言うと、それはそれで彼女の魅力を失ってしまうようで
難しい。魅力を損なわぬように、それでいて上手に常識を教え込むのが彼女の周りの人間の責務である、
そう思っている。
「黒桐、我に茶も出せぬというのか」
「山門でお茶を入れても良いんですが、良いお茶葉があったかどうか。寧ろ、手水舎の水の方が
美味しいと思いますよ」
「雑種! 我を愚弄する気か!」
ただの水を飲め、と言われたと思ったのだろう。ギルガメッシュは顔を真っ赤にして怒り出す。
「喉が渇いた時に、こう冷たい水を一気にくっと飲む。柳洞寺の水は宮水に負けず劣らぬ名水ですから、
これがまた旨い。ただの水がこんなに旨いものなのか、と思わせる味です。喉を通る時のくっという
感覚がまた良い物でして、これはしっかりと歩いたり労働した後で無いと味わえない。熱さで火照った
体に水分が行き渡り、全身に満ちる感覚が……ってこれ以上の説明はいらないみたいですね」
黒桐の袖を引っ張り、早く連れて行け、と催促するギルガメッシュの顔は、まさにお預けを
命じられた犬のようであった。
「ふむ。確かに旨いな」
「恐縮です」
こんな事もあろうかと、というわけではないだろうが、黒桐が懐から取り出した竹筒に入れた
水をギルガメッシュは美味しそうにごくごくと飲む。
手水舎に置いてある柄杓は心身を清めるために置いてあるものなので、柄杓に直接口をつけて
飲むのはご法度である。しかし、彼女がそんな事を守るわけがないのを分かっていた黒桐は柄杓で
水を掬い、竹筒を簡単に洗った上で水を入れてギルガメッシュに渡した。
ギルガメッシュは一気に水を飲み干した後、ぷはーとビールを一気飲みした後のように息をつき
「黒桐、お替りだ」
と竹筒を突き出す。
「この一杯で終わりですよ。冷たい水を飲みすぎるとお腹を壊しますから」
分かっておる。
そう答えたギルガメッシュを見て、黒桐は再び竹筒に水を入れる。
「しかし、旨いな。これは売り物になるのではないのか?」
「水ですからねぇ。それに、柳洞寺でこうやって飲むと美味しいですが、普通に持ち運びを行うと
やっぱりぬるくなりますから」
うーむ、と腕を組んでギルガメッシュは少し考え込む。
実際、水を商売にするのは難しい。大量供給の問題や衛生面での問題もさる事ながら「所詮は水」
という意識の問題もある。勿論、逆に言えば「所詮は水」であるために仕事の最中に飲んでも
差し支えないと考えられ、売り上げを伸ばしている面もあるのだが(これはお茶も同様)。
「まあ、良い。また後で考える事にしよう」
そう言うとギルガメッシュは竹筒と黒桐に返す。ただ竹筒を返すだけだというのに、自信満々に
渡すその様は、まるで何かの褒美を黒桐に授けているように見える。
「どうも」
黒桐はそれを否定せず、恭しく受け取る。
それは正に、女王陛下と陛下から叙勲を受ける騎士という姿を具現化させたもののように思えた。
まあ、だからこそ、その二人を強烈に睨みつけていた存在があり、その睨みつけていた存在に
黒桐幹也が気付いた時、彼はまったくいつも通りの笑顔を見せ、またギルガメッシュもそれを
まったく気にした素振りを見せず、邪気を払ってしまったのだが。
彼女がギルガメッシュを強く意識したのはこの時。落ち込んでいた黒桐が自分以外の存在で
立ち直ったこの瞬間である。
独立宗教法人柳洞寺、第7ターンを終了します。
第7ターンで起きたイベント(内政、外交など省略されたイベントも含む)、現在の国力(幕僚、不満度、
兵員、資源、親密度)を見ますか? この選択終了後に第8ターンを開始します。
【選択肢】
Y:見る
N:このまま第8ターンを開始して問題ない
565 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2009/05/17(日) 18:00:55 ID:ncqfmKRY0
では、第7ターンで起きたイベント(内政、外交など省略されたイベントも含む)、現在の国力
(幕僚、不満度、兵員、資源、親密度)を閲覧いたします。
第7ターン(開始時点)
本拠地:柳洞寺(要塞:山門を保有しています)
他の拠点:無し
資源:210
主力:竜牙兵(重装)(3:3:0:5)単位:100
竜牙兵(弓) (2:3:1:5)単位:100
士気:変動無し
不満度:この項目は存在しません。
人材:キャスター 不満度40(それほど不満を感じていない)
人材:葛木宗一郎 不満度10(大変満足している)
人材:佐々木小次郎 不満度50(それほど不満を感じていない)(行動不能:後3ターン)
人材:柳洞一成 不満度30(概ね満足している)(行動不能:後2ターン)
人材:柳洞零観 不満度10(大変満足している)(行動不能:後2ターン)
諜報部限定
人材:黒桐幹也(柳洞寺に2ターン完全拘束)
人材:両儀式 (柳洞寺に2ターン完全拘束)
研究開始/竜牙兵列車砲弾作戦の研究(実施、資源-20)
ドクトルアンバーの訪問/薬の購入(ヤクルトを購入、資源-10)
竜牙兵(単位:100)を作成(資源-30)
中立組織:穂群原学園から学園祭の招待状が届く。
結果、独立宗教法人柳洞寺として参加を決定。また、何らかの出展を行う事を決定する。
中立組織:深山町商店街に対し学園祭に必要な資材について提供を求める。
結果、商店街の各店舗の広告の付与と引き換えに資材の提供を約束。柳洞寺もこれを了承する。
他勢力:アインツベルン第三帝国に対し、閣下と葛木氏の愛の新居の建設を依頼。
結果、資源40を払い、3ターン後に愛の新居が完成する事を確約。
アインツベルン第三帝国との親密度+15
資源-40
ギルガメッシュ陣営のランサーが逗留を開始
蒔寺楓を保護する形となったギルガメッシュ陣営に対し、遠坂陣営からの襲撃のおそれについて
手紙で報告
第二種警戒態勢は継続
中立組織に「港」が加わる
独立組織「がくがく動物ランド」と交戦。
ランサーは『刺し穿つ死棘の槍』を使用(資源-20)。こちらの兵力に損害なく勝利を収める
がくがく動物ランド:降伏使者
Y-2/条件付
A:柳洞寺が求めない限り、二度と敵対しない事を誓約する代わりに降伏を認める
B:定期的に肉、卵、皮などの提供と引き換えに降伏を認める
で降伏を勧告し、降伏する。
黒桐幹也、新居について伽藍の堂に設計を依頼するよう提案する
結果、必要なしとの判断により否決。
第6ターン(終了時)
本拠地:柳洞寺(要塞:山門を保有しています)
他の拠点:無し
資源:90
主力:竜牙兵(重装)(3:3:0:5)単位:100
竜牙兵(弓) (2:3:1:5)単位:100
竜牙兵 (2:2:1:4)単位:100
士気:変動無し
不満度:この項目は存在しません。
人材:キャスター 不満度40(それほど不満を感じていない)
人材:葛木宗一郎 不満度10(大変満足している)
人材:佐々木小次郎 不満度50(それほど不満を感じていない)(行動不能:後3ターン)
人材:柳洞一成 不満度30(概ね満足している)(行動不能:後2ターン)
人材:柳洞零観 不満度10(大変満足している)(行動不能:後2ターン)
諜報部限定
人材:黒桐幹也(柳洞寺に2ターン完全拘束)
人材:両儀式 (柳洞寺に2ターン完全拘束)
現在の外交状況(終了時点)
各勢力との関係は以下の通りです。
勢力:大ブリテン衛宮邸連合
親密度:60(信頼しています)
勢力:冬木市土地管理者陸上部同盟
親密度:10(敵視しています)
勢力:マキリ民主主義弓道部連盟
親密度:60(信頼しています)
勢力:古代アルスター我様激辛麻婆帝国
親密度:50(理解を示しています)
勢力:アインツベルン第三帝国
親密度:55(理解を示しています)
各中立組織との関係は以下の通りです。
中立組織:穂群原学園
親密度:90(良好な関係を築いています)
中立組織:深山町商店街
親密度:90(良好な関係を築いています)
中立組織:コペンハーゲン
親密度:70(信頼しています)
中立組織:藤村組
親密度:50(理解を示しています)
中立組織:ス○ス銀行・深山支店
親密度:0(無関心)
中立組織:冬木港湾組合
親密度:0(無関心)
締結済みの条約
勢力:古代アルスター我様激辛麻婆帝国
休戦条約(後3ターン)
勢力:マキリ民主主義弓道部連盟
冬木土地管理組合陸上部連合に対する共同戦線
独立宗教法人柳洞寺の8ターン目です。
収入が発生しました
穂群原学園からの給料 +23(人材:葛木宗一郎から発生)
土地からの魔力供給 +15(拠点:柳洞寺から発生)
入観料 +10(拠点:柳洞寺から発生)
活動費 -5(第二種警戒態勢に伴うもの)
兵の維持費用が発生しました。
竜牙兵(単位:300)-14
この結果、資源+20が得られました(資源は一の位切捨てです)
現在の状況
本拠地:柳洞寺(要塞:山門を保有しています)
他の拠点:無し
資源:110
主力:竜牙兵(重装)(3:3:0:5)単位:100
竜牙兵(弓) (2:3:1:5)単位:100
竜牙兵 (2:2:1:4)単位:100
士気:変動無し
不満度:この項目は存在しません。
人材:キャスター 不満度40(それほど不満を感じていない)
人材:葛木宗一郎 不満度10(大変満足している)
人材:佐々木小次郎 不満度50(それほど不満を感じていない)(行動不能:後2ターン)
人材:柳洞一成 不満度30(概ね満足している)(行動不能:後1ターン)
人材:柳洞零観 不満度10(大変満足している)(行動不能:後1ターン)
諜報部限定
人材:黒桐幹也(柳洞寺に1ターン完全拘束)
人材:両儀式 (柳洞寺に1ターン完全拘束)
研究または再編中の項目
竜牙兵の武装強化案Ⅰ(後3ターン)
竜牙兵列車砲弾作戦の研究(後1ターン)
文化祭の開催まで後2ターン
愛の新居の完成まで後2ターン
2個のイベントが発生しました
ギルガメッシュ(女性)/魔女、水と竹を売れ!
閣下、ギルガメッシュ(女性)が柳洞寺の境内に湧き出る水と敷地内の竹を購入したいと
申し出ています。念の為確認してみましたが、水利権そのものや竹のある土地を購入したいという
話ではなく、ポリタンク40個分の水と竹筒に出来る竹を求めています。何に使うのかは
分かりませんが、かの英雄(女)王の事ですから、きっと結果オーラーイになる事に違いありません。
ギルガメッシュ(女性)の要請を受け入れますか?
受け入れた場合の結果は以下の通りとなります
資源+20
古代アルスター我様激辛麻婆帝国の親密度+10
柳洞零観の不満度+10
受け入れなかった場合の結果は以下の通りとなります
古代アルスター我様激辛麻婆帝国の親密度-10
ランサーが古代アルスター我様激辛麻婆帝国に帰還します
(選択肢1)ギルガメッシュ(女性)の要請を受け入れますか?
Y/断る理由はない
N/柳洞寺の水も竹も神聖なもので、売却する事はできない
間桐慎二/亡命の申請
マキリ民主主義弓道部連盟の幕僚、間桐慎二が我が国に亡命を求めています。
本人曰く『一日オニギリ1個で地獄のような強制労働をさせられてたから逃げた』そうです。
マキリ民主主義弓道部連盟からも引渡しの要求が来ています。
引渡しに応じた場合の変動は以下の様になります。
勢力:マキリ民主主義弓道部連盟の親密度+10
引渡しに応じなかった場合の変動は以下の様になります。
勢力:マキリ民主主義弓道部連盟の親密度-10
人材:間桐慎二が自勢力に加わります。
(選択2)引渡しに応じますか?
Y/マキリ民主主義弓道部連盟に即刻連絡せよ
N/来る者は拒まないのが我が国の姿勢だ
579 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2009/05/18(月) 19:16:46 ID:sttI.Eco0
諜報部一同/設置ありがとうございます
閣下、申し訳ありません。もう一件イベントがありました。
諜報部からクーラーが無事に設置され、シュレッダーも確かに受け取ったとの連絡が
あったのを忘れていました。この2点、特にクーラーの設置はまだまだ暑い日が続く事を考えると、
諜報部に対する何よりの褒章であると言えるでしょう。
部員を代表し、部長から今後の活躍と変わらぬ忠誠を誓う手紙が届いております。
このイベントの結果による変動は以下の様になります。
柳洞寺諜報部の部室にクーラーとシュレッダーが設置されました。
柳洞寺諜報部の不満度が軽減されます。
ギルガメッシュ(女性)/良い判断だ。
少々不安があるのは事実であるが、柳洞寺にとって古代アルスター我様激辛麻婆帝国は
友好勢力の一つであり、今後も友好を深めなければいけない所の一つである。
彼女が欲し、またこちらが無理なく提供できるものであれば提供するもの当然であろう。
このイベントの結果による変動は以下の通りとなります。
資源+20
古代アルスター我様激辛麻婆帝国の親密度+10
柳洞零観の不満度+10
間桐慎二/亡命受け入れ拒否
我々が指定した連絡先に嬉々として向かった彼が目にしたのは、
退路を断ちながら自分を包囲する弓道部員達と非情な現実であった。
ワカメ:「裏切ったな! 僕の気持ちを裏切ったな!」
後藤:「ワカメ。君は良いワカメだったが、君の所の代表がいけないのだよ」
ワカメ:「というか、何で僕の名前欄がワカメなんだよ!」
両側から抱え上げられて連行されていく彼の姿を遠目で見送る。
裏切りを敢行した彼の身にこれから何が起きようとも我々の知る所ではない。
このイベントの結果による変動は以下の通りになります。
勢力:マキリ民主主義弓道部連盟の親密度+10
「柳洞寺の水は神聖なものなのだがなぁ。竹はともかく、水はあまり商売に使って
欲しくないのだが」
「柳洞寺という名前を出さないように頼んでみますか?」
どこかで誰かの亡命未遂事件があった気持ちの良い晴れ晴れとするような天気のした
とある日の朝、ギルガメッシュさんからの「水と竹を寄越せ」という要請に対し、
メディアさんが了承したため、僕と零観さんはギルガメッシュさんに渡す分の水と竹の調達に
動いていた。
ちなみにランサーさんはすでに竹の切り出しに借り出されていて、式はギルガメッシュさんが
新たに持ち込んだポリタンクに水をひっきりなしに注ぎ込んでいる。
最初にギルガメッシュさんが持ち込んだ40個のポリタンクのうち、10個はどうやら
以前に灯油を入れていたようで灯油臭くて使い物にならず、「不良品を掴まされた!」と
憤ったギルガメッシュさんが購入したフリーマーケットを宝具で吹き飛ばそうとして総出で
止めたり、残り30個についても危ないのでは、という意見が出てギルガメッシュさんの
持っている最新装置で解析を行うという話になったり、
「そんな事をするより、素直に買いなおした方が良いんじゃね?」
という楓ちゃんの真っ当な意見があったりした。
さらに付け加えると
「ならば、給水車を手配すれば良い」
という関係者を真っ青にさせるギルガメッシュさんの発言があり、それを誠心誠意お願いして
止めさせたりもしたのである(給水車は最低でも2トンからであり、20L用ポリタンクに
すると100個分に相当。また、ギルガメッシュさんが要求した水は彼女が飲んだ手水舎の水で
あったため、給水車のポンプで一気に吸い上げてしまうと手水舎の水が無くなってしまう可能性が
あった)。
結局、ポリタンクは新たに飲料水用のを買いなおし、手水舎の水を柄杓ですくって入れるという
方法を取る事で関係者の合意を得た。
「幹也。本当にこれで続けるのか?」
ポリタンク班、両儀式指揮官の元の諜報部女子部員による水汲みは1つ目が終わった時点で、
誰もが不満を露にしていた。
「いや、言いたい事は分かるんだけどね」
手水舎の水はちょろちょろとしか流れない。
これは当たり前と言えば当たり前で、普通は両手と口をゆすぐくらいにしか使わないのだから、
勢いよく流れ出た所で、そのまま排水路に向うだけである。ちょろちょろとしか流れない代わりに
大きな桶のようなものを設けて(通常、これを水盤と呼ぶ)そこに水を貯めておけば、それで
十分である。
しかし、20L用ポリタンクにその水を入れようと思えば、かなり骨が折れる。いや、礼儀とか
色んなものを無視してポリタンクをそのまま手水舎の水盤の中に沈めてしまって、それを
引き上げれば一気に水は入るのだが、流石の零観さんもそれはいかん、と言って許可が
下りなかった。
まあ、関係者一同そうだろうなぁ、という顔だったし、提案した本人も許可されても
困りますよ、と言った表情だったが。罰当たりも過ぎる、というのは同じ思いだったようだ。
「幹也。もう一度言うが、本当にこれを続けるのか?」
「いや、僕に言われても困るんだけど」
ポリタンクの口には大きな漏斗を差し込んであるし、柄杓ですくって入れるとは言え大人数で
やれば……と思ったのだが、想像以上に効率が悪い。1つ入れ終わった時点で、あと39個も
同じ事をやらないといけないのか、と思ってウンザリしているのが見て分かる。
それに、着物姿の美女とジャージ姿の女子高生数人とが柄杓ですくう様は、はっきり言って
目立つ。中には何かのイベントと勘違いしているのかパシパシとデジカメで撮影する
大きなお友達や、「おやまあ、何かの行事で使われるのですか?」と話しかけてくるご年配の方も
いて、非常にやりにくい。
大きいお友達は霧島さんが「撮影料だ」と言って問答無用で殴り飛ばしているが、さすがに
悪意のない年配の方々には何もできない。
「よー、兄ちゃん。このべっぴんさんは兄ちゃんのコレ(小指)かい?」
「コレですか?」
「そうそう、コレ。いやいや、若いって良いねぇ」
「……黒桐、コイツ殴っていいぞ」
「いやいや、式。式が美人だって褒めてくれているんだってば」
訂正。悪意とからかいが混じった年配にも、やはり乱暴はできない。
「で、どうする?」
「とりあえず、零観さんに相談してくるよ。ひょっとすると大型の柄杓があるかもしれないし。
あと、霧島さん。あんまり手ひどくやらないでね。一応、彼らも柳洞寺のお客さんだから」
わかってまーす、と分かったのか分かってないのかよく分からない返事を返す霧島さんの
声を背に、「お嬢さん、そんな乱暴な言葉遣いはいけませんよ。貴方みたいなきちんとした
人が、きちんとした言葉遣いで教えないと」と親切な貴婦人に捕まって困っている式を後目に、
僕は零観さんの所に向かったのである。
「と、言われてもなぁ」
このままでは埒があきません。そう告げた僕に零観さんは腕組みをして悩む。
「はっきり言って、あのままだと日が暮れてしまいます。教会かそれともわくわくざぶーんか
知りませんが、多分軽トラくらいは借りているでしょうし、早い事渡して終わせた方が良いのは
間違いないと思うのですが」
僕の言葉に零観さんはまた、うーんと考える。
破戒僧というか、肉も食うし酒も飲む坊主の零観さんであるが、それはあくまでも個人に
関する事柄で、組織に関する決まりごとには厳しい。
竹は最近の情勢の御多分に漏れず、柳洞寺の敷地内でもかなり勢力を拡大しており、
丁度良い提供相手が出来た、と思っているようだが、元から水は宮水に匹敵すると言われた
名水であり、商売に使われれるのに抵抗があるようだ。
おまけにギルガメッシュさんは言葉には出していないものの手水舎の水を欲しており、
あそこは柳洞寺の不浄と浄を司る門のような場所である。人目にもつくし、それだけに
噂話にもなりやすい。
『Laきゃ☆すた』の一件もあるし、零観さんが慎重になるのも分かるというものである。
「黒桐殿。柳洞寺には井戸があるのはご存知かな?」
「井戸ですか? ひょっとして、ここで煮炊きする水もそこから汲み上げているのでしょうか?」
蛇口から出てくると気がつかないものだが、かつては井戸水を汲み上げて家の水道管に
直結させ、生活全般に使うという事があった。
高度経済成長と共に井戸水(つまり地下水)の汚染も進み、飲用に適さなくなって上水道から
水道を引かざるを得なくなったケースがほとんどであるが、ごくまれに未だに井戸水を
使っているケースもある。
無論、保健所の検査を得ないと不法であるが、手水舎の手水とて保健所の検査でNGとなれば
水道水に切り替えないといけないのである。手水舎の手水の水源は地下水であるのだから、
柳洞寺の水の全てを地下水で賄っていても不思議はない。
「いや、柳洞寺の中では水道水を引いている。先々代と当時の市長が賭けをやって……とまあ、
曰くつきの話があるのだが、それはさておき、裏に井戸があってそこの水を風呂に使ったり
しているのだが、水源は手水と同じ地下水。水質に問題が無い事も保証しよう」
「そしてそちらなら、バケツで汲み出しても問題ないという事ですね」
僕の言葉に零観さんは、うむと答える。
水源が同じなら成分に差が出る事はまずありえない。そして、ギルガメッシュさんの要求は
「柳洞寺の境内に湧き出る水」である。井戸のある場所は境内と言える場所のようだし、
井戸なんだから湧き出ているのは間違い所である。そして、バケツで汲みだして良いのだから、
今より遥かに早いペースで入れる事ができる。
「問題はギルガメッシュさんが認めるかどうかなんだよなぁ」
ギルガメッシュさんが何を考えているのかは分からないが、彼女が欲しているのは手水舎の
水ときっとあの竹筒だろう。事実上同一の物とは言え、神聖な手水舎の水と風呂に使う水では
イメージするものは天と地ほどの差がある。柳洞寺が風呂の水に使っているのは「清め」の
ためだろうが。
【選択肢】
α:要求に違反はしていない。井戸の水を使う
β:ギルガメッシュ(女性)に連絡を取り、本件の話をする
γ:諦めて手水舎の水を入れる
ペナルティ等の判定はこの次の選択肢で。
最終更新:2009年05月20日 06:51