722 :???? ◆6l0Hq6/z.w:2009/04/06(月) 19:27:37 ID:1mHjakm.0
勝手知ったる他人の家、とはよく言ったもので。
俺にとってこの家は……その、なんだ。
第一の自宅である教会よりはマシな家だと信じたいところであるが。
「いや……やっぱりそれはないか」
呟いて頭を抱える。
この家があの教会と似たり寄ったりな理由はいくつもあるが。
あの教会に満面の笑顔で囚人をいびる看守みたいな神父がいるのなら、
この家には毎日のようにメルトダウンを起こす原子炉みたいな危険ブツが鎮座ましましていやがるか。
「まあ、どっちも退屈しないのはいいんだけどな」
後ろ向きに前を見上げて階段に足をかける。
時刻は午前七時。
この時間、この家の主が自力で起きるには早すぎる。
なにしろアイツときたら、放っておけば二度寝が昼夜逆転に繋がりかねない……というか何度かあったが。
ようするにアイツは朝に弱いヤツなので、誰かが貧乏クジを引いてやらなければいけないヤツなのである。
「……ここいら辺に俺が死んだらアイツの所為だって書いておいた方がいいかな……」
洒落にならない冗談を打ち切って目の前の扉をコンコンと叩く。
「起きろ遠坂、起きないと寝込みを襲うぞ。
ああもちろん性的な意味じゃなくって、きっちりと引導を渡してやるって意味だからよろしくな」
言って、手の甲が痛くなるまでノックしても反応なし。
ならば俺も覚悟を決めるしかない。
いい機会である。今度こそ遠坂にはヒトの痛みを知ってもらうコトにしようなんまいだぶなんまいだぶ。
「はいはい遠坂さん遠坂さん朝ですよお迎えですよというか今朝は自力で起きるって大言壮言をどこに置き忘れてきたんだおまえは」
一息で言い放って扉を開けると、そこには────
「───、は?」
と、ここで俺の頭がおかしくなったんじゃないコトを確認したいんだが。
はたして俺は何を見てしまったのであろうか……?
最終更新:2009年07月22日 21:10