749 :エルメロイ物語 ◆M14FoGRRQI:2009/04/10(金) 17:47:10 ID:Py1xfl660
今日の取材現場である所の時計塔学生プロレスリングにゴリラが帰って来たのは
ちょうど取材が終わった時であった。
「…ッ、血統における魔術師の格差ってレベルじゃねーぞこの状態!
情けないぞテメーら、そんでも時計塔プロレス団体の戦士かコラ!」
「オス、団長だってギリギリじゃないですか」
「るせー!」
片足、あるいは両足を押さえてうずくまるプロレス部員達20数名、どこかへと姿を消した赤いの、
ラマン達の墜落で破壊されたリングは魔術によってだろうか修繕されており、
汗だくになったプロレス団体の現団長が小脇にロリっ子ルヴィアを抱えてヘッドロックを極めている。
「ウホ」
「アラー、遅かったじゃない。あの赤いのは捕まえられなかったの?」
「…ウホ」
肩を竦めがっかりしたポーズで失敗を伝えるゴリラ。
「まあ駄目だったのは仕方ないわね。部長ー、どうします?」
「来週分の記事はここまでの取材で十分だろう。なあ、来週の記事のタイトルは
『時計塔プロレス団体無残!6歳児にあわや全滅、パトリシア団長またまた疑惑の勝利!?』
でどうだろう?それではプロレス団体諸君、協力に感謝する」
「時計塔プロレスの皆様、とても楽しかったですわ、また遊んでくださいね」
「二度とくんなテメーラ!」
ルヴィアを保護者(みたいなもの)の元に返した新聞部員は時計塔敷地内の図書館に来ていた。
新聞の下書きをするスペースがあり、ネタの為の資料も充実しており、
有料だが印刷機も使える。新聞部メンバーにとっては第二の部室と言ってもいい場所である。
「ウホ、ウホ」
「ナーニ、どうしたのよゴリ?」
「ご主人、部長が新聞のレイアウトを決めるまでの間本を読んでいたいのだが構わないか?」
「イイワー、下書きができるまで暇だし行って来ていいわよ」
「ウホッ」
新聞部部長及び主である部員と一旦別れ本棚の方へと行くゴリラ。
本棚の影に隠れ、部長達が見えなくなった所でニヤリと笑った。
「フッフッフッ、フがみっつ。まさかこんなに上手くいくとは思わなかったよ」
「声が大きいですよラマンさん。それにしてもあのルヴィアって
子供無茶苦茶強いみたいですね、さすが都会っこ」
「あー、うん。葛木君、君のそのなんでも都会だからで納得する所は一種の才能だね」
独り言を呟くゴリラ、いや一人ではない。その口からは二人分の声が発せられていた。
解説しよう!元々大人が着るように作られていたこのゴリラの着ぐるみはすんごく
頑張れば少年一人と病気でガリガリの30前男一人がギリギリ入れるのだ、ばばーん!
「ルヴィアって子の事は置いといて、僕に必要な論文とか医学書とか的なアレを
探そうじゃないか。それが終わったら二人で日本に帰国だ」
「ハイ、頑張りましょう!」
「声が大きいぞ葛木君」
一匹の中の二人はお互いの目的の達成の為必死に本を探した。
しかし―、
「ずぇんずぇん」
「わがんね」
二人にはどの本が役に立つ本かという事を判断する知識が決定的に欠けていた。
一応それっぽいタイトルの本はいくつか見つかったのだが、どれを読むべきか。
【君のセージ技能を見せてくれ!】
フランク:ケイネス・エルメロイ・アーチボルト著『複合魔術要素結合分離論・応用編』
トンブラ:言峰教会著・セバスチャーン訳『言峰璃正の聖杯戦争ガイドブック』
ダンジョン男:ジュネ・エーデルフェルト著『大魔術師ビンボー日記・復興までの道程』
プー:アーチボルト講座学生論文集
フライングマン:ジェロン・ヴェーダ教授著『どんとこい呪術現象』
最終更新:2009年07月22日 21:18