546 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/14(木) 02:48:45

「キャスター、結局その宝具はいったい何なんだ?」
キャスターの顔が翳る。
「オーギュメント……現実に存在する物質、事象の根源にある純化された本質を変動させる、平和への願いを歪めた物」
まるで別人の声のようだった。
「そして……私の罪その物よ」
「……すまん」
どうやら触れてはいけない事を思い出させてしまったようだ。
「部屋、ありがとう、行くね……独りにしておいて」
キャスターは立ち去ってしまった。

「良くは分からないけど、トラウマに触れちゃったみたいね」
遠坂が溜息をつく。
「だが、少しだけ整理は出来ました、士郎、明日の朝にでも謝っておいてくださいね」
「そうですわね、淑女をエスコートするのは紳士の役目ですことよ」
「ああ……分かってるよ、ルヴィア、ライダー」
茶碗に残っていた茶を一気に呷る。
「今日はここまでにしよう、明日の事は……」
「夜に向こうに行って探索、それまでは自由行動で良いんじゃないでしょうか?
 詰まるところ隣町のことですし、ここまで襲撃を仕掛けてくる敵がいるとも思えませんし」
「そう、だな、そうしよう、桜……それじゃ、みんな、お休み」
虚しくテレビの音だけが茶の間に残った。


布団の中、彼女は後悔していた。
行き場のない感情を半ばぶつけるように向けてしまったことを。
「明日になったら……謝っておこう」
そんな風に考えながら、彼女は眠りに落ちた。

布団の中、彼は考えていた。
彼女の言葉が気になって仕方がなかった。
「平和への願いを歪めた物」と言う言葉。
誰もが笑顔で居られる平和。
それは誰もが夢想して、そして叶えられない代物なのかもしれない。
あの赤い弓兵ならば言うだろう。
歪まぬ願いこそ歪んでいるのだと。
「そうだ、あの赤い……男……」
休息に深くなっていく眠り、何かが訴えかける言葉を振り切り、眠りへと落ちていった。


B:かくして鈴は鳴り、衛宮邸にて戦いの幕は再び上がる
F:かくして舞台は柳洞寺へと移る
2:かくして舞台はS市杜王町へと移る

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最終更新:2006年09月15日 00:46