107 :とある魔術師と超電子箱 ◆yfIvtTVRmA:2009/11/27(金) 21:01:30 ID:iolGxMF.0
「ロード、このゲームの説明書はありませんか?」
エルメロイは「そこ」と言い、教壇の端っこに置かれたメモの束を指す。
ファミコンとスーファミと一緒に置かれていたそれらは確かに説明書だった。
何冊も重ねられたそれらから凛はいっきの説明書を見つけそれを読み始める。
(凛の手のアップで映像が停止し、ポップなタイトルが浮かび上がる)
『電子箱のうらっかわ』
ナレーター「ミス・トオサカが説明書を読んでいる間こちらをお楽しみください」
(映像のピントがぼやけ、画面の端から二人のデフォルメされた少女が出てくる)
サファイア「突然物語を中断して驚いたでしょう?」
ナレーター「ドレス姿の彼女はミス・サファイア。凛の時計塔での悪友である」
パンサー「こんにちはよろしくね!このコーナーは読者の皆さんに遠坂がプレイする
ゲームを紹介するコーナーなんだぜ」
ナレーター「こっちのブレザー着たのはミス・パンサー。高校時代の悪友である」
サファイア「肝心のゲームの内容が分からないと読者の皆様がおいてけぼりになってしまいますものね」
パンサー「以降、選択肢で『説明書を読む』を選ぶたびにこのコーナーが始まるんだぜ」
サファイア「それでは、お客様を待たせるのも悪いですしさっそく『いっき』の説明を致しましょう」
【いっきとは】
パンサー「遠坂が最初に挑戦するこのゲームは1980年代スクロールアクションの金字塔なんだぜ。
主人公は赤と緑のヒゲの濃い二人組。こいつらが敵と敵の飛ばす攻撃を避けながらコインを集めて
ステージ内を走りまわる事でステージクリアになるんだぜ。以上」
サファイア「パンサー、その説明だとマリオにしか聞こえませんわ」
パンサー「あたしは間違った事は言ってないぜ」
サファイア「はあ…今回は私が全部説明しますから、貴方はそこで見ていなさい」
パンサー「ラジャ」
サファイア「いっきというゲームは、鎌を投げて敵の忍者達を倒しながらステージを移動し
小判を全部拾う事で次のステージに進んでいくゲームですわ。
マップはゼルダの伝説と同じ見降ろし型、1ステージにつきテレビ画面数個分の広さとなっています。
このゲームにライフは無く、敵にぶつかったり飛び道具をくらった時点でワンミスとなります。
続いてストーリーについて説明します。主人公の農民は年貢を取り過ぎる殿様の元に
たった一人(もしくは二人)で攻め込むのですわ、落ちてる小判を拾いながら。
この『いっき』は日本史の教科書に書かれている一揆と随分違いますわね。でもゲームだから気にしちゃめーですわ」
パンサー「おおー、こうやって説明すりゃいいのか(パチパチパチ)」
サファイア「このゲームには小判以外にもいくつかアイテムがあります。拾うと移動力がアップする大根、
一定時間分身の術が使えて無敵になれる葉っぱ、上方向に連続攻撃ができて移動力も上がる竹やり、
そしてワンアップアイテムの巻物。ステージクリアの為には拾う必要はありませんがこれらのアイテムを
利用して攻略するのもだいごみですわね。
最期に敵の種類を紹介しましょう。このゲームには普通の敵とおじゃまキャラが存在します。
普通の敵…忍者と鉄砲隊がそれに当たりますわ。彼らや彼らの放つ弾にに触れたら即ワンミスです。
おじゃまキャラ…美人の腰元と幽霊の2種います。こいつらに触れてもミスにはなりませんが移動や攻撃を妨害してきます。
おじゃまキャラから逃げながら敵を倒し活路を開くのが勝利への道ですわね」
パンサー「おーい、遠坂の方も説明書を読み終わったみたいだぜ」
サファイア「それでは私達は引っ込みましょう、引き続き本編をどうぞ」
(カメラのピントが戻り、凛の手がはっきりと映される)
108 :
とある魔術師と超電子箱 ◆yfIvtTVRmA:2009/11/27(金) 21:03:44 ID:iolGxMF.0
(カセットにでていた忍者とヒロインらしき女性は敵だったのね、油断してたわ)
説明書を読むのは正解だった。
(それと十字のボタンにも騙される所だったわ。これは移動用のボタン、攻撃用のボタンではない)
もしあのままスタートしていたら、十字架発射と高らかに叫びながらキーを連打し再びロードの失笑を買っていたに違いない。
だが説明書を読んでいる間に流れたデモ画面でゲームの進行も予習できた凛に隙は無い(当社比)。
万全の準備の元、ついにスタートボタンを押しゲームを開始する。
テーテレテレテレテレテー、テーテレテレテレテレテー、テレテレテーテー、テレテレテーテー、テレテレテーレ!
「っ!」
説明書でもデモ画面でも学べなかった脅威が襲う。ゲーム開始時に流れる大音量の電子音。
いっきのオープンニング音は数あるファミコンゲームの中でも屈指の奇襲力を誇る。
一般人でも初見ではゲーム本編開始直前に対応するのがやっと、ましてや家電に相性最悪の凛である。
我にかえり、再びゲームに集中した時には―、完全に先手を許してしまっていた。
敵の忍者の投げる手裏剣が緑の上着を着た主人公の農民へと迫る。
最終更新:2009年12月01日 19:08