131 :とある魔術師と超電子箱 ◆yfIvtTVRmA:2009/12/11(金) 19:42:41 ID:O0XW9HjY0

このまま進むか一歩踏みとどまるか、凛は後者を選択した。
竹やりの説明文には武器の変化と移動力アップ敵撃破時のスコア上昇と3つもの効果が示されている。
移動力アップのみとされているダイコンよりはるかに優秀。間違いなくこのゲーム最強のアイテムである。

凛は小判を避け奥にある竹やりまで権ベを移動させる。
竹やりに触れた途端、権ベの姿が変化した。
竹やりを構えた逞しい背中、かつて自分と共に戦場を駆け抜けたパートナーを思い出させる
頼もしい姿がそこに現れた。

それはきっと幻聴だったのだろう、だが凛は確かにそれを聞いた。

(凛よ、小判を集めるのはいいが―、別にあの忍者を全滅させてもかまわんべな?)

凛はこの時勝利へのパターンに入った事を確信した。
迫って来た手裏剣を避けるために時計回りに動くと、背中を見せたまま今までの倍ほどのスピードで
華麗に右へとかわす。

(テンテテンテ テンテン テンテンテン テン)

「あ」

確信は間違いだった事に気付く。手裏剣を避けた後一旦間合いを取り落ち着こうと画面下へ下がると、
この時も権べは男らしい背中を見せたままバックステップをし、先程自分の左を通過した手裏剣に後頭部から激突した。
今までに見せた事のない権ベのフルスペックに凛の指先と頭脳が追いつかなかった故のミスだった。
呆然とする凛、だが復活した権べを見て必死に冷静な自分を手繰り寄せる。とりあえず復活後の無敵時間のうちに
最後の小判を取り1ステージをクリアする。

竹やりのムーブは見れたからもう同じミスは犯さない。寧ろ、今の内にいずれしてしまうミスをする事が出来て
ラッキーだったと自分を騙しながら2ステージに挑む。

1ステージ目と全く同じBGM、画面端から攻めてくる忍者、ここは1ステージと変わらない。
違いは二つ、一つは相棒である田吾は既に亡き者になった事、そしてMAPそのもの。
田畑と川で構成されていた1ステージに対し2ステージ目は迷路の様になった石垣で構成され、場面は夜になっていた。

MAPを慎重に進みながら凛はミスしない為の戦術をひねり出す。
MAPが壁に囲まれて動ける範囲が限られているから手裏剣をかわしにくくなるのは確実。
故に進行方向に鎌を投げながらジグザグに漸進する。これなら忍者が攻撃するよりも先に迎撃できるし
万一手裏剣が飛んできても、軌道から外れる事が出来る。

「一つ目ゲーット」

多少時間はかかったが迷路になっていた通路を無事に抜け一つ目の小判を手に入れ、呟きながら小さくガッツポーズ。
と、その時画面の端、壁の向こう側に見たことのないキャラが動くのが見えた。
左画面奥で男を誘惑する様に体をくねらせながら動き、そして下の方にスーッと消えて行ったあれは―、

「美人の腰元」
「そう、美人の腰元だミス・トオサカ」

凛の呟きにエルメロイが肯定する。「いっき」のおじゃまキャラの一人美人の腰元は最初凛がヒロインだと勘違いした
カセットのイラストで権ベに寄り添っているあのキャラである。
腰元さんは美人なので権ベをお婿さんにしようと迫って来る、美人の腰元に捕まるとしばらくの間攻撃が出来なくなる。
説明書にはそう書いてある。自分の美貌を利用して恋人ヅラで正義の味方の足を引っ張るなんて、まるで桜の様な女だと凛は思った。

とにかくおじゃまキャラには近付かないに限る、だがそうは問屋が降ろさない。
細い通路に続き二つ目の危機にしてチャンスが凛に迫っていた。
迷路風の通路を抜け広い場所に出る。目の前には壁一つない広場、少し上に行ったところには水で囲まれた掘りの様な地形があり、
その中央には小判でも竹やりでもない赤い棒状のアイテムが置いてある。それはダイコンにもはっぱにも見えない。
という事は、つまりそれは最後の候補、すなわちワンアップアイテムなのだろう。

既に2ミスしていて割と余裕が無い凛にとってまさに今欲しかったアイテムである。採りに行かない理由は無い。
だが、アイテムが置かれた掘りに向かう途中に奴が現れた。間桐桜、ではなく美人の腰元。
さっき画面下に去って行ったばかりの彼女が上から来た事に驚きを禁じえない凛。だが即座に決意せねばならない時である。
幸い辺りに忍者はまだいない。美人の腰元から逃げるならばさっき通った通路とまだ足を踏み入れていない
広場の右に伸びる道がある。

[選択肢]
イ.駄目もとでワンアップアイテムに突撃する。
ロ.通路に戻り壁を利用して美人の腰元をやり過ごす。
ハ.画面右側のMAPに一直線に逃げる。

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最終更新:2009年12月11日 23:42