786 名前: 766 ◆6XM97QofVQ 投稿日: 2006/08/14(月) 18:28:38
天然人工精霊憑きの杖、だったような……?
……ダメだ、思い出しちゃいけない。
ど忘れしていたんじゃない、思い出さないようにしていたんだった——!!
なにせあれは一生もののトラウマだ。
あの記憶に触れたら、多分SAN値が低下して発狂してもおかしくない。
なにしろあの時の騒ぎといったら尋常じゃなかった。
虎が組の人を巻き込んでの町内爆裂大騒動、通称『冬木〜虎の乱〜』を巻き起こした元凶の事件なのだ。
一次被害が極小(被害者・俺と藤ねえ)なのに対し、二次被害である冬木〜虎の乱〜が冬木市の半分。
河を境にした深山町側全域に及ぶというキチ○イ沙汰だったのである。
未だにご町内の皆様の心には深い傷を残しているらしく、一度話題に上ればその場の全員が沈黙すること請け合いらしい。
さて、その一次被害とはなんだったかというとくぁwせdrftgyふじこlp;@:ふんぐるい むぐるうな くとぅるー
「————はっ!」
布団を跳ね除けて飛び起きる。
そこは自室。何度見渡しても、そこは見間違えようのない我が寝床である。
「……ふぅ」
溜め息を吐いて、なんとか乱れた呼吸と激しい動悸を整える。
……悪夢を見た気がする。いや、絶対に見た。
なにやら広い荒野に浮かぶ巨大なファンシーステッキだとか、悪夢の魔法少女(?)カレイド・タイガーだとか。
手を広げてみる。当然のことながらそこにあるのは五本の指。
決して何も掴めそうもないのに物を掴める丸っこい某ネコ型ロボットハンドではない。
まして、身体がぬいぐるみ・使い魔仕様であったりすることなんて断じてない。
……記憶の深遠に更なる悪夢が眠っている気がするが、それこそ真実パンドラボックスだ。絶対に触れてはいけない。
頭を振って、邪悪な考えを取り除く。
背中は汗でびっしょりと濡れており、肌に張り付いたシャツが気持ち悪い。
寝汗、というには異常な量だ。脂汗とか冷や汗とかに近いような気がする。
「……シャワーでも浴びてこよう」
背後でカタカタ振動している、鎖で雁字搦めになっている箱のことはあえて無視する。
なにやら夢の影響で覚醒してしまったらしい。
共感魔術って使えたっけ、俺?
とりあえず鍵が外れていたり鎖が緩んでいない事だけは確かめて、俺は土蔵から足を一歩踏み出した。
途端に、嗅覚が朝食の匂いを察知する。
「あれ、桜もう来てるのか」
縁側から居間を超えて台所を覗いてみる。
最近では俺を起こすことを楽しみにしているらしい後輩は、朝っぱらから精が出ているご様子。
ちらっと見た感じでは、俺が今更手伝わなくてもすぐに終わってしまうように思えた。
さて、それじゃあどうしようか———
最終更新:2006年09月14日 16:54