857 名前: 766 ◆6XM97QofVQ 投稿日: 2006/08/15(火) 13:22:25

 ええい、面倒だ! 学校をサボタージュ。

 うむ、不良学生ここに爆誕。
 単位は足りていることだし、学校を一回や二回休んでも進路に支障は無いだろう。

「ちょっと用事あるの思い出した。桜。すまないけど、できれば藤ねえに学校休むかも、って伝えてくれると嬉しい」
「え、学校休むんですか?」
「多分な」

 いえ、本当は決定事項なのですが、優等生の桜にこんなことを正直に話すのは心苦しいのですヨ。
 そして俺が内心でそう思っている事を知ってか知らずか、

「休みというかサボりだなそれは」

 と、俺にだけ聞こえるようにズバっと言ってくれる美綴。

「的確なツッコミをありがとう美綴。そしてこのまま見逃してくれるとありがたい」
「それじゃあ貸し一つ、ということにしておこう。藤村先生にも部活の相談ついでにあたしから言っといてやるから。——借りはいつか返せよ?」
「ありがとな、恩に着る」

 桜には聞こえないようにボソボソと小声で会話する。流石は姉御肌の美綴嬢。いや、太っ腹というべきか。
 またいつか機会があれば恩返しをしておこう。
 …………なにやら桜に睨まれているような気がするので、そそくさと退散することにする。

「それじゃあ桜、夕飯楽しみにしてる」
「あ、はい!」

 桜に手を振って弓道場を出る。

 さて、とりあえずは家に戻ると———

「あれ、慎二?」

 ———する前に、入り口で慎二と鉢合わせた。
 弓道場の入り口に背を向ける形で立っていた慎二が、俺の声に反応して素早く振り向く。

「なんだ、衛宮か……って。おい、なんで衛宮なんかが弓道場から出てくるのさ」

 苛立った様子の慎二。まあ、副部長の慎二からすれば、もう部外者であるはずの俺に対してそう言いたくもなるだろう。
 ———はて、そう言えば何で俺は弓道場に来たんだっけ?

「……いや、部活の様子を見に来ただけだ。多分、深い意味はない」
「はあ? 多分ってなんだよ。というか、部を辞めた人間に心配されるほど僕の部は落ちぶれちゃいない。大きなお世話だね」

 ふんっと鼻を鳴らして慎二は威張り散らしている。
 鼻を鳴らす時に首を振る癖があるのか、鼻を鳴らす度に慎二の特徴的なワカメヘアーが波に揺れるワカメのようにわさわさ揺れる。

 ……今日は相当不機嫌のようだ。こういう時の慎二を相手にするのは骨が折れる。
 でもちょうどいい機会だし、最近疎遠気味な交友関係を修繕するために、いっちょ誘ってみるとしますか。

「なあ、慎二。これから学校サボるんだけど、一緒にどうだ?」
「お堅い衛宮がサボるなんて珍しいじゃないか……どんな風の吹き回しだよ?」

 初めは訝しげな顔で俺を見ていた慎二だが、途中で興味を失くしたのかまた苛立った表情に戻ってしまう。

「———ふん、でも相変わらず間が悪いよね。今は忙しくて衛宮の相手なんてしてられないんだ。サボるなら一人でサボっててよ」

 確かに慎二が言った通り、俺が学校をサボろうとするなんてことは珍しい部類に入るだろう。
 しかし、慎二がマジメに授業を受けるつもりでいるのも珍しいと思う。
 サボり癖のある慎二が部活に来ているか心配だったが、やはり弓道部の副部長。ちゃんとマジメに来ていたらしい。重畳重畳。

「——そっか、邪魔して悪かったな」
「ああその通りだね。謝るぐらいから最初から来ないで欲しいよ」

 相変わらず嫌味ったらしい口調でそう言うと、慎二はさっさと弓道場の中へと入ってしまった。
 ここ最近機嫌の悪かった慎二だが、何か今日は特別機嫌が悪かったような気がする。
 ……俺と鉢合わせる前に、何かあったのだろうか……?
 まあ、慎二は時折俺たちには分からないことで苛立ったりしていることがある。今回もその類だと思えばいいだろう。


 それじゃあ、今から———

 深.どこかで時間を潰そう(夜までスキップ)
 山.鍛錬をしよう。家に帰ることにした。
 町.何やら危険の香りがするゼ。新都へ向かう。

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最終更新:2006年09月14日 16:59