759 名前: (M8z3Z2VY) [sage] 投稿日: 2004/11/13(土) 22:58


――坂の上には。

伸びる影。
仄暗く青ざめた影絵の街に、それは、存在すら許されない異形だった。

蒼い剣士を連れて、赤いあくまが立っている。

――見なれた学園の制服。
その上に赤いコートを着。
悠然と微笑む遠坂凛。

それに付き従うように立つのは。
陣羽織に、身の丈以上はありそうな長刀を背負った。
独りの侍――。


「――ふむ、剣……か」


なにやら独り呟いているギルガメッシュ。
……深く考える必要は無い。
アレは紛れも無いサーヴァントであり、
同時に――人間なんか歯牙にもかけない程の濃密な『死』を纏っていた。


「こんばんは衛宮くん。昼も会ったけど、今日はまともに話すの、これが初めてね」

微笑みながら少女は言った。
その――何故だか浮かんでいる、にっこりとした笑顔に、背筋が寒くなる。

「――――――――」

否、背筋なんて程度じゃ済まない。
身体はおろか意識まで。
アレは、殺意の塊だ。
ただこうして話しているだけだというのに、それだけで――次の瞬間には殺されてしまう、などという想像にかられる。

そして、下手なことをすれば、その想像は現実となるのだ。

例えるのなら、首筋をカミソリでなぞられているような状態。

……だというのに。
あまりにも希望が無い為か。
恐怖も焦りも、なにも感じられない。

「―――ふむ、するとアレは……」

そんな俺とは違い、ギルガメッシュには身構えるだけの余裕がある。
……あたり前か。
コイツも、目の前の剣士と同じく、サーヴァントなのだから。

「衛宮くん、サーヴァントを現界させたまま歩きまわるなんて、余裕ね?
 それもそうか。だって、二年間も私に存在を気付かせないなんて芸当をやってのけた凄腕の魔術師で……しかも、ランサーを撃退するだけのサーヴァントを手に入れたんだから」

「な…………!」

見られていた?
違う。問題は其処じゃない。
遠坂は、なにか――とんでもない、勘違いをしている。

「ちょっ、待て、遠坂――俺は」

「もし違うとしても、聖杯戦争の事は知っているんでしょう?」

なら、アナタとワタシは敵よ。

坂の上、俺達を見下ろしながら、彼女は笑って言った。
……ますます拙い。

遠坂はやる気のようだし、会話の流れから判断すると彼女は魔術師だ。


――――魔術師ならば。

          ほぼ全員が衛宮士郎以上の力を持っている――――




「……それで、如何するのだ『マスター』?」


その緊張を破ったのは、金色のサーヴァント。


俺は――。

1.話しをするにしても何にしても、まずは泊めなければ。「闘うぞ、アーチャー」

2.駄目だ、ヤツには叶わない。「逃げるぞ、アーチャー」

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最終更新:2006年09月24日 15:03