872 名前: 仮面ライダールート#1-4 (M8z3Z2VY) [sage] 投稿日: 2004/11/15(月) 20:25
「――――ここは、退いてくれないか?」
俺は、そんな事を遠坂に告げた。
「…………何で?」
「何でって……俺は、遠坂と戦いたくないからな。でもだからって死にたくないし、負けたくない。やらなきゃいけない事があるから」
「――――やらなきゃいけない事?」
聞いてきたのは、ギルガメッシュ。
ああ、と頷いて見せる。
俺には、叶えて欲しい願いなんて存在しない。
否、願いはあるにはある。だが――それは、衛宮士郎自身の手で叶えなければならないモノだ。
故に聖杯に対して興味は無い。
だが――――。
「この戦いに巻きこまれたヒトを助ける。マスターも、サーヴァントも、関係無い人も、その全てを――助ける」
――――為に、この身全てを捧げる。
全員を助けるのが不可能だという事を、理解してしまっている自分が、酷く悔しい。
そんな俺を、信じられないような眼で数秒見た後――――。
「…………わかったわ、今日は退いてあげる」
そう言って、サーヴァントを連れて立ち去っていく少女。
それを見届けた後、衛宮士郎の全身から、力が抜けた。
「――む……どうした、雑種?」
遠くに聞こえるのは、ギルガメッシュの声。
意識が消えていく。
情けないことに、赤い戦士への《変身》に成功したのは――これが、初めてだ。
白い姿の時とは、消耗の度合いが違う。
「ちっ……まったく、手間をかけさせる」
こんな力を制御して。
ずっと闘い続けていくのだから。
やはり。
仮面ライダーというのは―――――――
最終更新:2006年09月24日 15:08