5 名前: 仮面ライダールート#2-5 (M8z3Z2VY) [sage] 投稿日: 2004/11/17(水) 20:51

―――それで、まあ、結局。
晩飯の買い出しを兼ねて、ギルと一緒にマスター探しをする事にした。

ほてほてと街を行く。
何処からか『ぱーこー』という豆腐屋のラッパの音が聞こえ、公園で遊んでいた子供達が母親に呼ばれて、隣を駆けて行った。
夕食の買い出しに来たのだろうか、男の子がお母さんに『晩御飯はハンバーグが食べたい』とねだっている声が聞こえる。

この世は全て事も無し。

冬木の町の住人たちの殆どが、現在進行形で起こっている『何か』に気がつくことはなく日々を暮らし、そして眠りにつく。
そうなる事が、衛宮士郎の――そして多分、親父の望みだったのだろう。

「――雑種、どうした?随分と嬉しそうな顔をしているが」

「ん、あ――――…………それなら、俺は今嬉しいんだろう、うん」

ぽりぽりと、頬を掻いて答えた。
何故嬉しいのかと聞かれても――漠然としすぎていて、多分説明できないと思うから。
しいて言うとすれば――。

「護りたいモノが、そのままの形で存在するという事がわかったから――――かな」

良くわからん、とギルガメッシュが首を捻る。

「が――まあ、良いことなのだろうな」
「うん、良いことだ」

――――衛宮士郎には、殆どと言って良い程、魔術回路は存在しない。
使える魔術といえば、秘石頼りの《投影》と《変身》のみ。
一応、魔力はソコソコあるのだが、これも秘石から出てくるモノらしく、《変身》しない限り、こっちから使うことはできない。まあ、ギルガメッシュは其処から魔力を貰っているようなのだが。
だから、必然的に……魔力を探知してマスターを探す、という行為は、ギルガメッシュに任せっきりになってしまう。

「……見つかったか?」
「――――いや、我といえど探知できる距離に限りがある。少なくとも、この辺りにはいないはずだ」

で、その任せっきりにしているギルガメッシュが『いない』と言っているのだから、この周囲にはいないのだろう。
街の近辺で戦闘――大魔力同士の激突――が起これば察知できなくも無いらしいので、戦闘も起こっていないという事か。

つまり、この世は全て事も無し。

――土曜日の夕方からコッチ、殺されかけたり殺されたり召喚したり殺し合ったり変身したり気絶したり撲られたり気絶したり、と怒涛の如く流されてきた。
今までの出来事が、たった二日――二日も経っていないという事に、驚くぐらいだ。

「…………それにしても、だ。雑種――あんまりニヤニヤしていると、妙に思われるぞ?」
「俺、そんなに顔崩れてたか?」

ああ、と真顔で頷かれてしまった。
……気をつけなければ―――って、あれ?

「あそこにいるのは―――」

1.美綴じゃないか。
2.三枝さんじゃないか。

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最終更新:2006年09月24日 15:15