189 名前: 仮面ライダールート#3-4 (M8z3Z2VY) [sage] 投稿日: 2004/11/21(日) 20:53

最高速度、時速300キロを誇る、世界最速のバイク『HAYABUSA』だ。
しかも―――

「しかもコイツはただのHAYABUSAじゃなくてな。
 スピード狂のヤツが作ったのでな……時速300キロまで8秒かからんらしい」

とかいう、鬼のようなカスタム済み…………それって、完全に化け物マシンじゃないか。

「―――それで、俺に乗れと」
「おお、衛宮の坊主は話が早くて助かるな」

…………。
黒いボディ。流れるようなライン。
仮面ライダーを目指す者として、とりあえずバイク雑誌を定期購読したり、
バイク購入の為にバイトを行っている身分としては、とんでもなく欲しいのだが。

「貰っちゃって良いのか、こんなの……?」
「おお、勿論。端からそのつもりだ」
「―――でも、何で?」

俺が首を傾げると、爺さんは『は?』とか驚いたように硬直して、
それから楽しそうに笑って言った。

「衛宮の坊主、仮面ライダーになりたいんなら、この程度のマシンくらい持ってなけりゃ格好がつかんじゃないか。儂ゃ、一応お前さんの夢を応援しとるんだからな」

―――――その一言で決めた。
深く頭を下げて、礼を言う。

「………ありがとうございます」
「なに、気にするな。いつも大河が世話になっとるしな……と、コレがキーだ。
 傷を付けるな、とは言わん。無茶も無理も大いに結構。
 その代わり―――大切に扱え。意味は、わかるな?」









衛宮士郎は、物凄く恵まれているのだろう。
―――――あの火災で、ただ1人生き残った者としては、不相応なくらいに。


190 名前: 仮面ライダールート#3-5 (M8z3Z2VY) [sage] 投稿日: 2004/11/21(日) 21:18


――藤ねえ、ギルガメッシュ、美綴の三人との賑やかな食事が終わり、
俺は早々に土蔵に引っ込むことにした。
時計を見る。時間は――まだ九時前だ。
鍛錬には少し早いかもしれないが、たまには早くはじめるのも良いだろう。

少しばかり散らかった床を進み、中央の開けた場所に座りこむ。

目の前には親父が趣味で収集したのだろう石碑や、钁型の形をした石像がおかれている。

「――親父も、妙なモノを持ってくるよなあ……」

世界中を飛びまわり、変わったものを手に入れては戻ってきて嬉々と語る親父の姿を思い返し、顔に微笑が浮かんだ。
ただ何となく、義父に憧れていた俺に、
『これは仮面ライダーの修行に役立つんだ』
とか、そんな事を言っていた。

だもんだから親父が亡くなった後、仮面ライダーの修行を始めた俺は、この遺物の前で鍛錬をする事が日課になった。


「―――――さて、始めるか」


あぐらをかいて座りこみ、腹部の秘石へと意識を集中する。


「――――投影開始――――」

まずイメージするのは、焔。
《邪悪なるものあらば希望の霊石を身につけ炎のごとく邪悪を打ち倒す戦士あり》

――紅い、赤い、朱い、戦士の姿。

「――――投影開始――――」

次は、水。

《邪■なる■のあらばそ■技を無に■し流水のご■く■悪をなぎ払■戦士あり》

―蒼く、素早い、戦士の姿。


「―っ――投影、開始――」

その次は、風。

《■悪な■もの■らば■の姿を彼方■り知りて疾■のご■く邪■を射■く戦■あり》

――■く、弓を■った、戦■の姿。


「―っ―っ―投影、開、始―」

そして、大地。

《■■なるも■あらば鋼の■を身■つけ地■れの■とく■悪を■り裂く■■あり》


「あ、ぎッ―――……」

―――集中が途絶える。

―――全身の神経が、全て針金にでもなったかのような、激痛。

――今の衛宮士郎が、力を使いこなせるわけがない。だから、こんなのは―なれている。

「は、ぐ……ッ――ッ――」

―身体を丸めて、耐える。

――――躯中に浮かぶ脂汗。

「――はぁッ―はぁッ―はぁ――」

無理やり呼吸を元に戻し――ふ、と顔を上げると、そこには――――。



1.ギルガメッシュが立っていた。
2.美綴綾子が立っていた。
3.藤ねえが立っていた。

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最終更新:2006年09月24日 15:24