415 名前: 仮面ライダールート#5-7 (M8z3Z2VY) [sage] 投稿日: 2004/11/24(水) 01:01
「―――――そうか」
そう言って、目の前に立つライダーは頷いた。
「ならば来い、仮面ライダー……!!」
「――行くぞ、エミヤシロウ……!!」
「うおぉおおおおおおおおおおっ!!!!!」
杖を放り投げ、駆ける。
何時の間にか姿は元の赤色に戻っていた。
それでも、駆ける。
―――ライダーが、腰を落とす。
その構えは、知っている。小さい頃から、何度もやったポーズだ。
だから、
「受けて立ってやる」
呟き、全ての力を一点に篭める。
―――右足に。
「ライダァァァァァァッ!!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
中空で、脚部がぶつかり合う。
――――既に完成したソレに比べて、俺の一撃のなんと貧弱なことか。
だが負けない。
負けられない。
コイツにだけは、絶対に、
「負ぁぁぁぁけぇぇるかああああああ―――ッ!!」
――――――――――――決着――――――――――
「―――――…………行け、衛宮士郎」
「――――ライダー」
「……ふん。俺はもう、ライダーではない。
仮面ライダーなんかでは、ないのだろう……?」
「―――――」
地に倒れてなお、その男は不遜に笑っていた。
勝ったのは、衛宮士郎。
仮面ライダーに『憧れている』衛宮士郎。
仮面ライダーに『なってしまった』自分を見下ろして、
「――――ああ」
その存在を『否定』する。
「…………そうか」
小さく頷いて、
「なら、お前が私に時間を掛けることはない。
疾れ、衛宮士郎。
この建物の地下に、美綴綾子と、『悪』がいる」
「衛宮士郎、お前が『仮面ライダー』なのであれば、
それを見事倒してみせろ」
――――俺は、ソイツに背中を向けて、歩き出した。
「衛宮士郎、お前が『仮面ライダー』なのであれば、
俺にはできなかったことをやってみせろ」
『取り戻せ』 『助けて見せろ』
そんな声が聞こえた気がした。
「―――疾れ、衛宮士郎」
そして、そう言い残して。
仮面ライダー『だった』男は、血に染まったバンダナを見詰めて、
消え去った。
418 名前: 仮面ライダールート#5-8 (M8z3Z2VY) [sage] 投稿日: 2004/11/24(水) 01:18
――――目前に広がるは、赤い燐光。
黒く濁ったタールの海。
――――そして――――
中空に穿たれた『孔』と、黒き神父。
そして、神父に捕らわれた少女。
「――――言、峰………!!」
―――頭に上りきったと想っていた血、それが一瞬にして末端まで全て沸騰した。
駆けて来た脚を止め敵を凝視する。
「よく来たな、衛宮士郎。
―――いや、仮面ライダーと呼ぶべきか?」
皮肉げに口元を歪め、ヤツは両手を広げて俺を出迎える。
「……人質は開放しよう。
行け、娘……!」
「衛宮―――!!」
駆け寄って来る美綴。
彼女を背後に庇い、立つ。
「――なんだって、あたしなんかを助けに来るんだよ、お前は!」
「……なんかじゃないと思ったからなんだが」
―――教会の地下。
ここが、決着の場所。今回の所為杯戦争における、召喚の祭壇。
1歩前に踏み出す。
言峰までは十メートルほど。
これ以上先へ行けば、闘いが始まる。
ヤツの魔術は、恐らく遠距離。
対して此方は撲るのみ。
超変身もありだが―――それをやる程の時間があるかどうか。
「さあ来い、衛宮士郎。
――――私の目的は、冬木の街の崩壊だ。
最終決戦に相応しい、貴様の言う『悪の親玉』だよ、私は」
「―――――ああ」
つま先に意識を集中し、
「―――遠慮無く、行かせてもらう…!!」
全力で地面を蹴った。
ヤツまでは十メートル。このまま一気に間合いを詰めて―ーー
「―――――」
真横に叩き飛ばされた。
「あ……ぐッ!!」
腹に叩きこまれたのは、池から伸びてきた黒い泥だった。
鞭のようにしなり、俺を迎撃し、そのまま大地へと溶けた。
否、大地を溶かして消えた。
この身が持ったのは、秘石のお陰でしかない。
「言い忘れていたが、お前は既に私の射程に入っている。
―――せいぜい、派手に踊れ」
「――――っ!」
容赦無く伸びて来る黒い泥。
体勢を立て直すこともできず、俺は無様に叩き潰された。
それでも、俺は――――
1.立ちあがる。
2.立ちあがろうとしたが無理だった。
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最終更新:2006年09月24日 15:41