434 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/08/25(金) 03:48:09
衛宮邸の様子を見守る一対の影。
それはただ見守るのみ。
害意は無く、ただ懐かしき者を見る目では決して無く、興味深さもない。
レイ・ラインを通じた念話。
それはただ一言「良いのか」と告げていた。
「別に良いのよ、私にはあれと違って実感はないんだから、さあ、行きましょう、戦争へ」
数時間の間で、ただそれだけ、極めて簡素なモノであった。
朝になった。
光は薄く、日が登り切るにはまだ時間がかかるだろう。
「藤ねえ、悪いな、ちょっと出かけてくるから」
夜までに帰るという書き置きと朝食を残して。
衛宮士郎、遠坂凛、
遠坂桜(戸籍上間桐姓)、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト、ライダーの5名はS市へと向かった。
S市内まで新都駅から僅かに二駅。
一つ目の駅を過ぎたところで、僅かな違和感を感じた。
「……ライダー、気付いた?」
殆ど貸し切り状態の電車の中遠坂凛が呟くように囁いた。
「ええ、夜感じたマナの原因、恐らくこの結界ですね、マナが戦争時の冬木並に濃密になりました」
「規模も大規模と見ていいかしら?」
「結界が球形だったとすれば、触れた瞬間の丸みから考えてS市全域を覆っていると見て良いでしょう」
「全域……目的は分かる?」
「いえ、わかりません、しかし、知る限りに於いては吸収型の結界ではないようです」
「そう、まずは一安心ね、とはいえ、油断は出来る状況じゃなさそうね」
「そうですね、これだけの巨大な結界、多量の魔力と多くの準備が必要になります」
電車が減速し、到着のアナウンスが入る。
「結界か、朝とはいえ、油断せずに行こう」
その言葉に全員が頷いた。
S市、今現在恐らく、いや、少なくとも日本国内に於いて最も危険な街。
しかし、それに気付いている者は多くないだろう。
実際、町中を診る限りでは人々の間で何かが起こっているような気配は感じず、世は太平事も無しと言う言葉がよく似合っていた。
だが困った事に道に迷っていた。
「道に迷いましたわね……」
「ええ……」
「地図で調べておくべきでしたね」
「弁当とか用意しておくべきだったな」
平気な顔をしていたのはライダーくらいで、一同は疲労の色を隠せずにいた。
無理もない、到着したのは新都の始発電車であり、そして現在は12時を周り昼食時である。
イ:ちょうど良い、そこのイタリア料理店で昼食を取り店内で道を尋ねよう
ロ:イタリア料理店から出てきた三人組に話を……って、あれは陸上部の三人組ではないか?
ハ:道端で地元の学生らしい人物を発見、道を尋ねよう
投票結果
最終更新:2006年10月30日 00:54