454 名前: 言峰士郎-18 (eYkk4Fu6) [sage] 投稿日: 2005/03/09(水) 01:47:29

 とりあえず空を見上げつつドラッグで一服。
 神父がこんなことしてて良いのか?
 勿論。これが俺のジャスティス。
「――しっかし、アサシンって何が好きなんだ?
 中近東だろ……カレーか?」
 なんか違う気がする。
 豚と牛は却下で、鶏肉も、宗教儀礼にのっとった捌き方じゃないと食っちゃいけないとかいう話を昔聞いたはずだ。その捌き方は知らないが、下手な失敗はしたくないなあ。
「……約束したもんな、うん」
 約束を破ったらイエス様に舌を抜かれてしまう。
 舌が無くなったら美味いものも食えないし、キスもできないし、何よりしゃべれないじゃないか。それは困る。
「いっそのこと、アサシンに聞くってのもありだろうけど」
 それはちょっとプライドが許さない。男の子だもの。
 という事は、肉類は却下か。今度、正しい捌き方を教えてもらうとして。
「……魚も食って良いのか自信無いしなあ……」
 溜息一つ。
 仕方が無い。今、自分が作れる料理の中で、肉も魚も使わない、アサシンも食べれるような奴で一番美味いのを作って持っていってやろう。
「――あんまり大したのは作れそうに無いけど」



 とりあえず作ったので、皿に乗せて盆に乗せて運ぶことにする。
 ――糞親父め。冷蔵庫の中身が豆腐と唐辛子と挽肉くらいしか無いってのはなんだ、一体。
 訳がわからんぞ。
 台所から中庭を抜け、礼拝堂の傍を通り――ん?
 礼拝堂の中からゴソゴソ聞こえて来るけども……。
「まあ、つもる話もあるんだろ」
 という事でお邪魔虫はデバガメせずに移動。待ってくれてるんだから、これ以上待たせちゃいけない。
 階段を上って、二階――というか屋根裏へ。
 半分物置になっていた部屋を宛がわれ、自力で整理整頓しまくって暮らせるようにした、愛すべき部屋。
 天上の一部=部屋の床=扉をノックする。


455 名前: 言峰士郎-19 (eYkk4Fu6) [sage] 投稿日: 2005/03/09(水) 01:48:17

「アサシン、ちょっと開けてくれないか? 両手がふさがってるんだ」
 しばし待つ。扉の向こうで何やらゴソゴソする物音が聞こえた後、ガタンという音がして――天上が開いた。
「お、ありがと。助かった」
 四角い空間から見えた白い髑髏に礼を述べてから、階段を登って部屋へ。
 ちょっとばかり埃臭いが――まあ、仕方ないか。
「よいしょ、っと」
 とりあえずは邪魔にならない様に椅子に盆を置いて、ひとつだけおいてある机の上を片付ける。まあ、モノを寄せて空間を作るだけだが。
「む……なんだ、代行者殿。まだ食事を取っていなかったのか?」
 その盆を見つけたアサシンが何やら良くわからない事を言っている。
「? 俺はもう晩飯は食ったぞ?」
「では夜食という事か。太るぞ、恐らく」
「まあ、遅くなったのは悪いとは思ってるけど」
 やっぱり良くわからない。怒っているのだろうか。とりあえず机の上に盆を置いて、椅子を引いて。
「アサシン、ゴメンな、遅くなって」
 まずは謝る。……って、なんでアサシンが不思議そうな顔をしてるんだ?
「代行者殿。何故に私に謝っているのか、全くわからないのだが」
「え? いや、だからほら、晩飯」
 ちょいちょい、と親指で机の上の料理を示す。
「それと……うっかり豚やら牛やら食えないってのを忘れててさ。鶏肉も手順通りに捌かないといけないんだろ?
 だから、こんなのになっちゃって……本当にゴメン」
 あ、驚いてる驚いてる。仮面つけてても目見開いてるのが何となくわかる。
 うーん。やっぱり塩オニギリ2個に沢庵に味噌汁ってのはショックだったか。
「…………代行者殿」
「あ、勿論明日は、もっと凄いのを作るぞ? 約束だもんな」
「――という事は、これは。
 私との約束を守ってくれた、と解釈して宜しいのだろうか?」
 ……何処か、搾り出すように聞こえた声だった。やっぱり気に入らなかったのか。無理も無い――というか、当たり前だよなあ。
「あー……。本当、悪い。
 なんなら今から、もう少し良いのを用意してくるよ。最近24時間営業の店とか増えたから……」
 慌てて皿を下げようとすると――はっし、と、黒い外套の裾から伸びた手が、俺の腕を押さえていた。
「いや、そういう意味ではないのだ。
 つまり。ただの名無しの暗殺者のサーヴァントである私との、とるにたらない約束を守ってくれた、という事か、と……聞いているのだ」
「? 約束なんだから『とるにたらない』な訳がないだろ。いや、用意できなかったけどさ。
 それに、アサシンはサーヴァントだけど、それ以前に、一緒に戦ってくれる相棒で、同じ神を信じてるんだから、仲間じゃないか」
 何を当たり前のことを、と。そのつもりだったのだけど――。
 何故だかアサシンは『そうか、そうか……』とヤケに嬉しそうに何度も何度も頷いている。良くわからない。
「うむ、代行者殿。ありがたく頂戴する」
「ああ。明日はもっと美味いものを作れるから、期待しておいてくれ」
 ニヤリと不敵な笑みを浮かべて親指を立てて見せる。
「うむ、期待しておくので、頑張ってくれ、代行者殿――っと。それで、なのだが……」
 嬉しそうな声とは一転。今度はやけに歯切れが悪い。
「……もし、良ければ、ではあるのだが――」
「なんだよ?」
「ハサン、と。呼んでくれないだろうか……?」

 酷く恥ずかしい――のだろうか。
 ともかく、そんな彼女に対して、俺は――

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最終更新:2006年09月24日 18:34