495 名前: 言峰士郎-20 (eYkk4Fu6) [age] 投稿日: 2005/03/19(土) 02:30:18
「良いけど、一つ条件がある」
「条件? ふむ……代行者殿は、私の願いを聞いてくれたのだ。
ならば、今度は私が代行者殿の望みを聞く番。どうか、遠慮なく言ってくれ」
ちょこん、とアサシン――ハサンは正座して、此方を見上げて来る。
む……。
いや、まあ、そんなに大した条件でもないのに、そんな畏まられても照れるのだけれど。
「とりあえず、だな」
「うむ」
「その仮面」
「コレか?」
ぺたぺたと小さな手で白い髑髏の面を触っているハサン。
彼女を見ながら、俺は深く息を吸いこんで、告げる。
「俺といる時だけでも良いからさ、外せない?」
「――――――――――」
瞬間、空気が固まった。
「――――――――――」
というか、ハサンだけが固まってる。
俺、そんなに変なことを言っただろうか?
「――だ、だだだだだだだだだだいこうしゃどのぉぉっ?!」
「お、帰ってきた」
「そ、それはつまりなんというかそのわ、わたしのうつくしくもなんともないこんな顔を見ていたいと解釈して宜しいのであろうか!?」
?
不思議なことを言って来るハサンだな。
「そのつもりで言ったんだけど? あ、いや、別にハサンの顔が可愛くないとか言ってるわけじゃないぞ。むしろ逆だと思うし」
「―――――ッ!」
仮面暗殺者七転八倒の図。何やらやけに喜んでいるらしいことはわかるが、ハッキリ言って怖い。というか音が下に響くぞ、この教会、安普請だから。
しかし、良くわからないことが一つ。
「――なあ、ハサン。なんだってその……喜んでる――のかわからないけど――んだ?」
「?」
ピタリ、とハサンが動きを止めた。のそのそと起き上がる。
「……代行者殿」
「うん?」
「一つ聞きたい事があるのだが……代行者殿は、何故に私の顔を見たいと?」
「? 当たり前じゃないか。人と話すときはきちんと顔を見せなきゃダメだからな。
常識というかマナーだぞ、コレ」
「――――――――――」
あ、今度は何か知らないけど落ちこんでいる。浮き沈みの激しい奴だな、ハサンは。
「まあ、良いけどさ」
慰めようにも落ちこんでる理由がわからないから慰められない。
ので、俺は仕方なく視線を窓の外に向けて―――――。
1.隻腕の女性を抱えて走る、蒼き槍兵を見た。
2.神父服を着た男が――女性の腕を切り落とす瞬間を見た。
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最終更新:2006年09月24日 18:35