962 名前: 言峰士郎-25 [sage] 投稿日: 2006/03/09(木) 22:01:45
「――うし、決めた」
そう呟いて飛び起きる。まだ少し腹が痛むが、まあ、なんだ。
十字架に貼り付けられて槍叩きこまれるよかマシだ。
「代行者殿?」
すぐ傍で此方を見上げて来る小柄な影。
心配してくれるのは非常にありがたい。ありがたいんだが。
「悪いけど、俺、学校行くわ。
つーかぶっちゃけ、アレ。あの糞野郎に殴られた程度で学校休む、ってェのは負けた気がする」
いや、実際負けたんだけどさ。
「いや、代行者殿。それよりも――あの『黒い泥』の方が……ッ」
「あー」
気の抜けた声をあげて、ボリボリと頭を引っ掻く。
「まあ、誰がやったかは見当ついてるし」
つーか、この近辺でんな怪しげな代物持ってそうな奴って限られてるしなー。
あの糞親父、義理とはいえ息子にワケワカラン代物飲ませるな、ってぇの。
つか、普通あの状況なら『親父も殺されたんじゃ!』とか思うはずなのに、
ぜんぜん思ってないあたり俺超外道ー。イエー、コンゴトモヨロシクー。
ハンガーにかけてた学生服に手早く袖を通しながら、チラリと視線をハサンに向けた。
「ま、大丈夫だよ。どーせ今日は半ドンだし。
まっさか学校にマスターなんざいるわけないしなー。あ、いや、いるにはいるが」
そもそもアレはマスターとか以前に要注意対象である。あかいあくまめ。
「だから、大丈夫だって」
「――それで、代行者殿。なにか仰りたいことは?」
「えーっと……。
いや、すみません、ごめんなさい」
そりゃまあ、あんな会話の後で学校に結界――まだ未発動っぽい――を見つけちまったら、
こんな台詞くらいしか出てこない。
隣りで霊体化してるハサンに『謝るためなら死ねる!』勢いで謝ってみる。
ちなみに結界を見た時の第一声は『ついにやっちまったのか、凛!』であった。
聞かれてたら殴ッ血KILLられて14へ進んでしまうに違いない!
俺は信心深いのだ。死んだらバルハラに行きたい。異教徒だけどなー。
「まあ、どーにかしなきゃならんよなあ、この結界」
つってもま、
言峰士郎が使える魔術は『強化』くらいのもんだ。
ぶっちゃけ自分一人じゃ、結界をどーこーするのは難しい。
「一応知識としてはあるんだが……」
対処法知ってても実力伴ってない時点でダメダメだ。オーマイゴッド!
あの糞親父が親父やってんだから、せめてちょっと凄い力くらいくれたって良いじゃないか。
実は固有結界が使えるとか、空から女の子が降って来るとか、一緒に帰ると噂されるから嫌とか。
そーいや、うちのガッコにも伝説の樹ってぇのはあるんだろうか。
「それで、どうするのだ、代行者殿?」
「まあ、あとで凛にでも連絡しときゃ良いだろ。俺にどうこうしてくれってェのが無茶だ」
つーか基本、人の理から外れた異端や外道どもをブチ殺すのに、
連中と同じように人の理から外れた方法とっちゃ意味が無いのである。
人間なのだから、両手両足武器に脳味噌。こいつで戦って、こいつで勝とうぜ。
教会の代行者ってェのは、そんな連中が多い――らしい。
まあ、人の理から外れなくても、人の規格から外れちゃった人も多いが。
あと異端ぶち殺すためなら何でもOK!なチョースゲー人もいるっぽい。
閑話休題。
「んじゃま、遅刻しそうだし、とっとと行きますか」
そう言って歩き出す俺in校門前。今までの会話も全てin校門前。
つまり校門の前で突っ立って(傍から見れば)独り言をぶつぶつ呟いてるわけだが無問題。
ああ、言峰士郎だからな。言峰士郎じゃあ、仕方ないな。どうなんだそれは。
さて、今日はどうしようか。
1.正々堂々、普通に入る。
2.防具を用意してみようか。
3.窓から突入するんだ、スネーク!
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最終更新:2006年09月24日 18:45