5 名前: 言峰士郎-26 [sage] 投稿日: 2006/03/10(金) 02:10:29

 ほほう、窓からと来たか。素敵だ。なんて素敵なアイデアなんだ。
 よし、想像してみよう。

 窓から颯爽と登場する俺。
 呆気にとられるエセ坊主。
 素敵!抱いて!と叫ぶ女生徒諸君。
 そして教師に説教受けて処罰される俺。

 『窓から登校』のもたらすものは つまるところ このようなもの。
 それとも、俺は…進級を引き替えにされても、
 このようなものが御覧になりたいと仰せられるか?

「当然。特に上から三つ目の結果が素敵すぎる」
 いや、こんなこと考えてる時点で俺も駄目駄目だろうとは思うんだが。
 やってみたいと思ったらやらねばなるまいて。
「しかしなあ……目撃者を持て余すぞ、コレは」
 さすがに脚立なりを昇っているダンボールってェのは目立ちすぎる。
 一瞬で蜂の巣だぜ、大佐!
 《安心しろ、スネーク!校舎の裏側に回れば良いのだ!》
 了解だ、大佐!
「んじゃ、ハサン。なんかあったら呼ぶから、それまで自由にしてて良いぞー」
「なッ……代行者殿……ッ!」
 そう言うと、俺は颯爽と学生服を翻して駆け出す。
 呼びとめようと声はあげるけれど、主の行動を妨げないその忠臣っぷりに涙がちょちょぎれそうだ。
 すまん、ハサン。男にはやらねばならん時があるのだ。命にも賭け時ってのがあるように。



「ファイト――――いっぱーっつ!」
 タウリン二千ミリグラム配合、ラッパのマークの正露丸。いや違うが。
 以前イリヤ先輩に付き合って校舎の窓拭きだとか、裏の林の枝きりなんかの時に使った脚立を引っ張り出し、一人校舎裏に辿りついた俺。
 ちなみにこの脚立、何故だか知らんが糞重い上に馬鹿みたいに頑丈な代物である。
 俺の入学する二年くらい前までは木製のハシゴを使ってたらしいんだが、そいつがぶッ壊れて落ちて怪我した生徒がいて、ソイツァヤバイってんで鉄製のメッサ頑丈なのを用意したんだとか。
 良い迷惑だ。怪我で済んだんだからグダグダ騒ぐ必要も無いだろうに。もっとも、死んだら騒げないが。
「よいせっと……」
 ガシャンッと脚立をセット。これで一気に教室の窓へダイブだ。
 景気付けに学生服の内側から引っ張り出したドラッグを一本。ライターで火をつけて、甘ったるい息を肺に詰め込む。
 根元まで吸い終わる事なく、そいつを校舎の壁に押しつけて火を消した。
「さあて、とっとと昇りますか」
 ガン、ガン、ガンッと脚をかけて、手早く教室の窓へと近付いて――――……。

 い.「――――言峰くん、何をやってるのかしら?」
 ろ.「――――シロウ? 何をやっているの?」

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最終更新:2006年09月24日 18:47