51 名前: 言峰士郎-28 [sage] 投稿日: 2006/03/11(土) 05:56:12

 イリヤ先輩。
 イリヤスフィール・エミヤ・アインツベルン先輩。
 単身赴任のお父さんにくっ付いて来て、そのまま定住しちゃった女の子。
 そうそう、イリヤ先輩だ。なんだか半年以上会ってなかった気がするから、すっかり忘れてた。



 この、後輩のような先輩との付き合いは、俺がこの学園に入学した時から始まった。
 つーても、アレだ。付き合いとか言っても、当時も今も一貫して『先輩』『後輩』の関係である。
 貴様と俺は同期の桜ーってなモンである。違うか、同期じゃねえもんな。
 畜生、間桐慎二と肩組んで歌うよりか、イリヤ先輩と肩組んで歌いたいもんだ。

 忘れもしないあの日。
 先輩がたが新入生を歓迎する為、ありがたーい歓迎会とやらをやってくださってた時。
 面倒臭かった俺は、とっとと抜け出して屋上行ってドラッグ吸ってたのだ。
 いやあ、良い堕落っぷりだと自分でも思うが、仕方あるまい。
 歓迎会というのは『新入生諸君』に向けられたモノであって『言峰士郎』に向けられたモノではない。
 やってくれる事には感謝するが、それにしたって希望者のみにして欲しいもんである。
 とまあ、そんな事考えながらぼんやりしていたら――――

 ――――なんか、いきなり横合いから飛び蹴りくらった。

「――――――――――――――――」
 言葉がねえ。
 なんでいきなり蹴っ飛ばされたのか。
 なんで生徒会長を名乗る先輩がこんなところにいるのか。
 それもすごいロリッ子。
 背丈なんか滅茶苦茶小さくて、この作品に登場する人物は全て18歳以上です、そのレッテルが無ければ登場できん、というぐらいのロリ。
 ていうかそのサイズの制服があったのか。サイズが尋常じゃねえ。
 もしかして本当なのか。この銀髪×ロリ×ブルマ=1200万パワーみたいな女の子は本当に先輩なのか。
 だとしたらまずい。先輩もまずいが、生徒会長という肩書きもまずい。
 アレ、絶対やばげな人数の信者がついてる。そうじゃなきゃ納得いかねえ。

 「アナタ、そんなところに立ってると危ないわよ」

 ニッコリ笑って先輩は言う。

「…………………………あ、危ないって?」

 用心しながら……いや、もう何に用心しているのか自分でも解らないけど……ともかく用心して身を起こす。
「――――――――――――――」

 じっと先輩の動きを観察する。
 ……駄目だ。あの口元に浮かんだ笑み、ありゃ『あかいあくま』と同じ代物だ。
 先輩、それで俺に何のようなんだ……と、喉を鳴らした時、不意に先輩が此方へと、その小さい脚を伸ばして近づいてきた。

「――――――――――――――――――――――――」

「――――――――――――――――――――――――」

 視線が合う。
 先輩は、見た目だけは可愛らしい極寒零度の笑顔を浮かべて。

「わたしがあなたを蹴っ飛ばすからに決まって――――――――――――」

「それ違う人の決め台詞だから――――――――――――――――――!」

 ぶんぶんと首を振る。
 先輩はわずかに眉を寄せて、「さっさと歓迎会にもどりなさーい!」と蹴っ飛ばした。
 ……って。
 もしかして先輩、俺を連れ戻しにやって来たんだろうか。



「とまあ、こんな事があった次の日に弓道部の入部届け書かされたんだがなー」
「いや、言峰のノロケ話はもう良いから」
「うむ。これでは昼飯もいらんな」
 ご馳走様、と両手をあわせるエセ坊主。しわをあわせても幸せは来ねえぞ。
 月曜あたりキリスト教のが正しいという事を教えてやる。天国に行きゃ納得するだろう。誰でも。
 ともかく、彼女とはそれ以来のお付き合いなのである。
 俺が諸事情によって弓道部を止めた後も続いてるくらい清く正しいお付き合いなのだ。
 お付き合い=不良構成という名目の校内奉仕=校内奉仕という名目による雑用手伝い、以上説明終了。
「んじゃま、そーいう理由なんで、2日連続でお断りさせて頂く。外食して帰ってきたら時間無くなるしな」
 そう言って頭を下げて、ヒャッホウと叫んで教室を飛び出した。
 いかんいかん、遅刻して『ぶっちゃけ半分忘れました』なんて言い訳はしたくないのだ。
 さて――昼飯はどうしようか。

 い.先輩を探して一緒に食う。
 ろ.いや、一足先に作業をはじめてしまおう。

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最終更新:2006年09月24日 18:49