87 名前: 371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg [sage] 投稿日: 2006/09/24(日) 23:49:48
「お久しぶり。ようやく会えたわね……雛苺」
ニヤリ、と形の良い唇を吊り上げる水銀燈。
釣られて俺も山の上を見る。
「……水、銀燈……?!」
そこには、怯えた目で水銀燈を凝視する、雛苺の姿があった。
水銀燈はふわり、と浮き上がり、俺と同じくらいの高さの目線で雛苺を見上げた。
そこに親愛の感情は見つけられない。
「今回初めて会うのが、まさか貴女だとは思わなかったわぁ。
もっとも、私たちはこれから……」
「Pourquoi!? なんで水銀燈がここに居るの!?」
恐怖で声が裏返る雛苺。
両手を口元ですくめ、気圧されたように一歩下がる。
対する水銀燈は、言葉を遮られて少し不機嫌そうに雛苺を睨んだ。
「ふん。
今日は偶然、たまたま、た・ま・た・ま、私のミーディアムが一緒にまぎれていたから、貴女の空間に辿りついただけよ。
……全く。本当は『あの子』を探していたと言うのに……」
やけに『たまたま』を強調するマイマスター。
でも……『あの子』って?
「じゃあ……やっぱり、始まってるの?」
「愚問ね。
貴女も感じたのでしょう?
7体の薔薇乙女《ローゼンメイデン》が、同じ時間に目覚めたのよ」
ばさり。
翼を広げて、右手を天に。
かざしたその手は、まるで何かを掴むように。
水銀燈は、厳かに、しかし歌うように、はっきりと宣誓した。
「そう、『アリスゲーム』が始まるのよ」
――『アリスゲーム』。
7体のドールがミーディアムと共に行なう儀式。
その言葉が指し示すものを、俺はまだ何も知らない。
だが……言い知れぬ不吉さと、脳裏をよぎる既視感。
――――聖■戦■。
■騎のサー■■ントが■術■と共■■なう■し合いの■■。
「……なにを、馬鹿な」
頭を振って、不吉なイメージを払拭する。
今はそれよりも目の前のことに集中しなければ。
「なんで……なんで、みんな邪魔をするの?
雛苺は、ただ鐘と遊びたいだけなのに……」
雛苺は、遠めに見てもわかるほど震えていた。
それは、恐怖だろうか。
悲しみだろうか。
それとも……怒りだろうか。
だが、そのいずれをも一笑に付す者が一人。
水銀燈だ。
「……お馬鹿さぁん。
薔薇乙女《ローゼンメイデン》は戦い合うのが定め。
どれだけ逃げようとも、いずれは戦わなければならないのよ。
ただ……」
水銀燈の翼から、ふわりと黒羽が舞い上がった。
これは――黒羽を自在に操り攻撃する、水銀燈の技。
「貴女が一番、近かった。だから、貴女が先に死ぬ。それだけよ」
「雛苺と鐘の……邪魔はさせないのよ!!」
対する雛苺も、水銀燈の気迫に圧されてか、ヌイグルミを多数浮かばせて対峙する。
俺は……。
α:よくわからないが、氷室を助けるために雛苺と戦う。
β;よくわからないが、水銀燈を止める。
γ:何もせずに、ただ見守るだけだった。
投票結果
最終更新:2006年09月25日 07:58