134 名前: ブロードウェイを目指して ◆bvueWC.xYU [sage] 投稿日: 2006/09/25(月) 23:31:27
弓塚……一体どうしたんだろう、生理か?(本作二度目)
俺は心中で首を傾げながら色々と考えを巡らす。
昨日の屋上で自分が悪い事でもしたのだろうか。それとも弓塚が何か思うところがあって俺を避けてるんだろうか、それとも…………。
他にもあれやこれやと説を出してみるが、どれも憶測の息を出ない。そうして俺が出した結論は、
「………………よし、気にしない」
諦めることだった。もし機会があったらその時は逃さず聞いておこう。
だから何も気にしない気にしない。俺は何も気にしてない…………はず。
「…………志貴、それは気にしているというんですよ」
「!! ……ってシオン! おどかすなよ」
シオンのため息混じりの呟きがあまりにも近くで、しかも真後ろから聞こえたので俺は飛び上がりながら振り向いてしまった。
「そこまで驚かせるつもりはなかったのですが……」
「いや、俺もちょっとオーバーだったかもしれないけど」
でも今の発言からするに驚かせる予定だったのね。
「でも何で俺の考えてる事が? …………って聞くだけ馬鹿か」
「えぇ、ひどく思わしくない顔をしていたものだからついエーテライトを使わせて頂きました。もちろんさっきだけで今は繋がっていませんが」
そう言って手首のブレスレットが服の生地と擦れる音を奏でる。
「志貴が考えていたことなどある程度予測はできたのですが念のためということで」
「俺ってそんなに分かりやすいかなぁ」
「えぇ、貴方が思っているよりはるかに」
わずかに頬を緩めるシオン。と、
「私としてはうれしい限りです」
「え…………何が?」
「先ほどの志貴の思案に対してです。これでやっとさつきも、と言ったとこでしょうか」
…………ん~、何かシオン一人だけで話が進んでるような。
「志貴はもう少し自分に関して考えるという事を考慮するべきです」
「う~ん……分かってるつもりなんだけどなぁ」
そう言うとシオンはあからさまなため息をついて、
「…………やれやれ、前々から思っていましたがさつきも今まで大変だったでしょうに」
眉を寄せながら軽く首を横に振る。ちくしょう、何かちょっと腹立つぞ。
っていうか何でそこで弓塚が出てくるんだ。
「おや、気を悪くさせてしまったようですね」
俺の顔を見るやパッと目を見開いてシオンは悪びれた。
「あ、いや……そんな事ないけど……」
「ふふ……言ったばかりでしょう、志貴。貴方は思った事が顔に出る、と」
とっさの言い訳をした俺に対してシオンは大人ぶった余裕の笑みを浮かべてみせた。
「では急ぎますか。少々長く話してしまって集合時間まで猶予もありませんから」
「あぁ、そうだな」
そうしてシオンに言われて俺は一緒に教室に向かった。
「では今日はシーンごとの練習に行きたいと思います! 私が指定したシーンを演ってもらうので他の人たちは待機ということになります」
机の上にノートを開いて晶ちゃんはいつも通りのはきはきとした声で指示した。
「ではまず最初は…………」
爽:一番最初、お爺さんがかぐや姫を見つけるシーンで
健:五人の貴公子がかぐや姫に求婚するシーンで
美:帝がかぐや姫に会いに行くシーンで
茶:最後、月の使者がやってくるシーンで
投票結果
最終更新:2006年09月26日 15:37