551 名前: ブロードウェイを目指して ◆bvueWC.xYU [sage] 投稿日: 2006/10/05(木) 03:01:53

「さぁ、今日もいつものように竹を切ろうかねぇ」

 有彦が重そうな腰に手を当てて斧を持っているかのように構えて見えない竹林の中に立っている。昨日ずっとシエル先輩と熱心に作りこんでいただけあって随分と「らしい」感じが出ている。

「婆さんも待っている事だし……」

 有彦が熱演する中で俺は視線を僅かに客席に向け、シオンの隣に座って熱心に演技を見る弓塚を盗み見た。弓塚はさして昨日と変わっている風はなく、台本と演技を見比べている。

「おぉっ、何という事か。竹の中にこんな可愛らしい子が…………」

 俺は目を瞑って軽く頭を振った。さっきは弓塚の機嫌がいまいちだったんだろう。シオンの言ってた事も気になるがそんな気にするもんでもないさ。
 第一、たった挨拶一つがうまくいかなかっただけで何だっていうんだ。そんなので俺と弓塚の関係が……………………。

「早速婆さんにこの子を見せてやろうかのぉ……」

 あれ、



 俺と弓塚って、どんな関係なんだ?

「ハイ、そこまでで結構です!」

 晶ちゃんが台本で机を叩いた事でさきほどより緩くなった空気が少しずつ広がっていく。

「それでは私の感想は置いといて他の皆さんから何か一言もらいましょう。それじゃあまず……お兄さん、何かありますか?」
「え? お、俺?」

 突然話を振られて見事にどもる俺。ちゃんと話を聞いてなかったもんだから話を組み立てようにも言葉が出てこない。

「そ、そうだな……えっとぉ…………よかった、と思う」
「…………お兄さん、ちゃんと見てましたか?」

 俺の言動を見てじと、と恨めしい目を向ける晶ちゃん。うぅ、いつも可愛らしい子にこんな目をされるととても悲しいです。

「ごめん、ちょっと考え事しちゃって…………」
「駄目ですよ、お兄さん。そういう事はぱっぱと解決しとかないと」

 何気にばっさり斬られた感があるのは俺だけだろうか、地味に耳が痛いです。

「それじゃあどんどんやっていきましょう。次は…………」



 そうしてその日の稽古時間はあっという間に終わり、皆の帰り支度も終えて後は帰るだけとなった。

「さぁ兄さん、今日は寄り道などせずに帰りましょう」
「そうですよー志貴さん、最近はちょっと物騒ですし」
「志貴様、明日も早いことですし……」

 屋敷組の三人が矢継ぎ早に俺との下校を促す。だが俺は、

「ちょっと待ってて三人とも。すぐに戻ってくるから」
「あっ、兄さん!?」

 返事も待たないで俺は教室のドアを開け放つ。そして階段を降りようとしている彼女を呼び止めた。

「弓塚!」
「………………遠野君?」

 一瞬きょとんとした顔をしたのも束の間、弓塚はきっと口を引き締めて俺を蔑むような目で、

「何?」

 これだ。俺を突き放すような目。一体どうしたんだろうか、稽古前は気にしないと決めたがやっぱりどうしても気になる。

「弓塚……」

 冷たい空気を受けながら俺はぐっと拳を握った。
 そして……


GO!GO!7188:今日の態度について切り出す

ACIDMAN:やっぱり聞かずに別れの挨拶を交わす

東京事変:一緒に帰ろうと誘う

筋肉少女隊:何の前触れもなく真祖ビームが目の前ギリギリの所でかすめてきやがった…………!

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最終更新:2006年10月05日 12:15