190 名前: 言峰士郎 ◆kceYkk4Fu6 [sage] 投稿日: 2006/09/27(水) 00:44:20
「おいコブレッティ……お前の態度にゃあ、問題があるぞ」
言峰士郎0-3『怒りのデストロイハードアクション!』
「おいお嬢ちゃん……お前の態度にゃあ、問題があるぞ」
「ええ、でもほんの少しですね」
人を駄犬呼ばわりして何を抜かすかというお話だこん畜生ッ。
お店の兄ちゃんに困った顔で見られつつも、ここで退くわけにはいくまい。
俺は精一杯の誠意を込めて、子供も泣き出す笑顔を浮かべる。
「はっはっは、ほんの少しじゃあ仕方ないな。
とりあえずアレだ、うん、表出ようぜ、表。
こう、なんだ、拳と拳で卵をどちらが買うか相談しようじゃないか」
「……がっかり。
女性に対して、そんな口調だなんて、貴方。
それじゃあますます、話し合いなんてする気がなくなっちゃうじゃない。
それと、ここはもう表です」
「OK、良い切り替えしだ、お嬢ちゃん。
まあ、とりあえず歯ぁ食いしばれ?」
「ああ、なんて事でしょう。
こんな男の人に拳で迫られたら、か弱い私に勝ち目はありませんね。
恐怖のあまり警察に駆け込んでしまいそう」
……こめかみがピクピクしてきますよ、奥さん。
怯えたように周囲を見回す少女。
口元がつりあがっているのは何故かと、小一時間ばかり問いたい。
問い詰めたい。というか、何だ。
「…………くすっ」
その勝ち誇ったような笑みはッ!
拳を思い切り握り締めるが、どーにもこうにも、打開策が浮かばない。
……って、そうか。
拳で、って……コイツがあったっけ。
「OK,それじゃあこうしよう。
拳――じゃんけんってのは、どうだ?」
「ふふっ……良いでしょう。どのような結果になっても文句は無し、でお互いよろしいかしら?」
「良いぜ、別に。俺が勝つからな」
拳を握って、構える。
対する彼女、ゆらゆらと不敵に笑ったまま。
「最初は」
「ぐー!」
「じゃんけん……ッ!」
拳を出すとき、指を握り締めないのがコツだ。
動体視力と反射神経により、相手の手を把握した後、指を緩める。
これによってグー、チョキ、パー、全ての戦術に即時対応。
千差万別、如何なる状況においても相打ちに持ち込める秘儀である……ッ。
後だしとかいう突っ込みは却下。ばれなきゃイカサマじゃねーのである。
この勝負、とったあ……ッ!!
「――メリ・メ・タンゲレ」
「って、げ、えぇ……ッ!?」
――って。
なに俺を縛ってるんですか、あなたーッ!!??
「……ゲット」
「って、なにげに嬉しそうに卵買ってるしー!!
さっさとコレ、解けーッ」
「あら、どのような結果になっても文句は無い、のではなかったかしら?」
……衛宮士郎、3R15分 完全敗北
191 名前: 言峰士郎 ◆kceYkk4Fu6 [sage] 投稿日: 2006/09/27(水) 00:45:10
「……やれやれ……酷い目にあった」
結局あの後、少女に負けた悔しさからより安い卵を求めて東へ西へ。
…………さすがに50円以下の卵は発見できず、俺は一人寂しく家路へとついた。
空には星。何処か遠くから聞こえてくる犬の遠吠え。くそ、背中が煤けてるぜ。
「まったく……いっくら可愛いっても、あんな女ならなあ」
溜息を一つ。
嫌な相手と戦う羽目になっちまった……。
橋の上をとぼとぼと進む。
……こんな日は、歌でも歌うに限る。
「デニーロ! でれっでっでれっでっでーんっ。
あっれーは誰だ 誰だ 誰だ!
あっれーはデニロ デニロマーン デニーロマーン!」
幸い、周囲には誰もいない。歌うなら今のうちだ。
ヤケ? 自暴自棄? なにソレ、食べれるの?
「イケメン風の顔さげーてー 怖い演技を する男ー!
デニーロチョップはデニーロ力! デニーロ銃はマフィア全滅!
デニーロイヤーはぱららぱららぱらぱらら~(あの曲)
恐怖の演技 身ーに付ーけたー
子供も 泣き出すー デニロマーン デニーロマーン」
とまあ、そんな歌を歌ってたもんだから……。
――ジャッジメンタイムッ!
「静かな夜に騒ぐヴァカタレはどいつだあッ!」:………………それに気付くことができなかった
「理想の神父像NO1,言峰綺礼主演!」:さて、さっさと家に帰って飯を食おう
投票結果
最終更新:2006年09月27日 04:19