746 名前: 371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg [sage] 投稿日: 2006/10/10(火) 01:32:34


「えーと、その、だな……」

 上手い言葉が出てこない。
 というか、俺が水銀燈について説明出来るのか?
 俺自身が水銀燈から詳しく話を聞こうと考えていた矢先だぞ?
 ちらっと隣を見てみる。

『ははは、教頭は捕まったが私はそうはいかん。
 また会おう、親愛なる名探偵くんくん!!』

『ペロリーナ男爵……!
 次こそは、必ず捕まえてみせる!!』

「ああっ……くんくん……っ!!」

 テレビの前で感極まった声を上げている姿を指して紹介しろっつってもなぁ。
 無理だろ。

 どうしたものか、俺が答えあぐねていると……。

 リーン、リーン、リーン……。

「ん?」

 アナクロニズムなベルの音が、沈黙の居間に飛び込んできた。
 我が家の昔なつかしの黒電話が鳴っているのだ。

「あ、電話……」

 応対に出ようとする桜。
 ……いや、だがしかしこれは俺にとって救いの手……!
 即座に俺は、桜を手で制した。

「桜、待った。
 電話には俺が出るよ」

「え、先輩、でも……」

「いや、いいんだ。
 それより遠坂、俺が説明しようにも上手く言えそうに無い。
 水銀燈に直接聞いたほうが話が早いだろうから、そういうことで頼む」

 みんなにもわかりやすく、ついでに俺も改めて説明が聞ける。
 いいアイデアだと思ったのだが。

「……逃げたわね」

 じろりと睨まれる。
 う、だって本当に俺じゃ説明できないんだって……!
 再び冷や汗をかいていると、ふっと遠坂の視線がやわらいだ。

「ま、しょうがないわね。
 じゃあアンタたち、ちょっとこっちへ来なさい。
 いくつか聞きたいことがあるから」

「うぃー……なーに?」

「……くんくん……」

 ひょこん、と座りなおす雛苺と、まだ夢見心地な水銀燈……なんかキャラが違くないか?

 そのまま遠坂が聞き手になって、二人への質問が始まった。
 藤ねえがいる以上、あまり魔術関連のことは突っ込めないだろうが……遠坂ならその辺は上手く捌いてくれるだろう。

 さて、俺はひとまず電話のほうを片付けないとな。
 早くしないと俺が説明を聞き逃しちまう。
 鳴りっぱなしの受話器を取り、耳元へ当てる。

「はい、もしもしー?」

 ……それにしても、もう夜の九時を回ったところだというのに、一体どこから電話がかかってきたのだろう?
 皆のほうを横目に見ながら、受話器に呼びかけてみると……。


α:「あ、エミヤんー?」……この声は、ネコさん?
β:「遅い、早く出ろよばかスパナ!」うわっ、蒔寺?
γ:「あら、坊や。丁度よかった」な、なんでキャスターが!?

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最終更新:2006年10月10日 15:57