670 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/10/08(日) 03:24:23

「単独潜入任務<<スニーキングミッション>>?」
「そう、スニーキングミッション」
任務へ望む前に行われるブリーフィングで、彼はそんな言葉を口にした。

「今回の目標は『聖杯』と呼ばれる願望器……聖遺物の奪取及び封印。
 それだけならば通常の任務と変わりはないが、目標となる世界が特殊であることが上げられる」
画面が切り替わる。
「この世界に限らずありとあらゆる世界に『 』は存在しているが、特にこの世界は『 』の影響が特に大きな世界だ。
 この世界への過度の干渉、大規模な戦力投入は『 』と『英霊の座』を敵に回す可能性がある」
「……少数精鋭で行くのは良いとしても、力のある存在が世界に入るのならば同じなのでは?」
黒服の少女が言葉を発する。
「その通り、例えるならばこの存在は『他人が家に入られたくない』んだ、個人ならばそれが普通だけどね。
 さて、その人物に対するに、違和感なく家に入れる存在ってのはどんなのだと思う?」
「家族や、友人……ペットに使い魔……」
少女の顔に理解の色が点る。
「そう、その通り、その為の単独潜入なんだ」
再び画面が切り替わる。
「『 』は巨大な存在だが、それ故に細かなことは気付かれないと考えられる。
 幸いなことに聖杯を巡る戦い、『聖杯戦争』というものが行われていることが判明している、その詳細はこの資料を参照して」
資料が配られ、各員が目を通していく。
「これは……」
「そう、聖杯戦争は座の英霊が争う物……もう話は分かるだろう?」
「座の捏造……」
「その通り、我々が英霊として召還されれば問題なく対象世界への潜入が可能となる……な? スニーキングミッションだ」


捏造の完了、潜入の成功、作戦の開始まではそう時間はかからなかった。
時間の概念そのものが消失する空間に於いての体感時間なのであてにはならないが。

召還の瞬間、契約の対象となる人物が高々度から落下しかけている様を見て、思わず慌てた。
作戦前の資料では、召還の瞬間戦闘になるなど記載されては居なかったし、考えもしなかった。
だが、どうであろうとそれは事実だ。
即座に武装を展開、契約者の生命を防御・保護する。
続くのは精密射撃。
目標、敵契約者。
狭い路地に残る敵ならばそれほど多数の弾丸は必要ない。
「Stinger」
撃ち出される一本の光線、真っ直ぐ標的を射抜くはずのその一撃は、黒い光によって歪曲し、ビルを貫いて消え去った。
止められること、回避されることは予想していたが、歪曲される事は想定していなかった。
「今のは……軌道をねじ曲げたのか? これがこの世界……英霊の実力か……」
状況はやや有利といえる。
敵の正体は不明だがこちらはこちらで異世界からの来訪者であり、同じく正体は不明だろう。
また現在こちらの契約者は地面に降り立ち、狭い路地を抜けて路地を出ようとする敵契約者を迎え撃とうとしている。
それは逆に言えば逃げ出そうとする敵に対して追撃はしないと言える。
こちらとしても無駄な力は使わず温存しておきたい。
敵からすれば、思わぬ遊軍の出現で撤退することを考えに入れているはずで、ある意味利害は一致している。
しかし、後々大挙して攻勢に出られた場合、無駄な力を使いどころか死ぬ危険すらある。

さあ、どうする?


速攻:姿を見られた以上逃がすことは出来ない、ここで決着をつける
消耗抑制:無駄な力の消耗は避ける、契約者を連れて戦域を離脱する

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最終更新:2007年05月21日 00:47