703 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/10/09(月) 04:09:50

「……よし」
考えている時間はあまりない。
確実に倒せるという保証もないし、力の無駄遣いは避けるべきだろう。
弱出力で弾幕を展開、目眩ましにして契約者を確保、目眩ましの中で中出力の一撃を射出し可能な限りの速度で戦域を離脱する。
この一撃、瞬時の仮定が事実としたら撃破可能であると言う予備攻撃に近い一撃だ。

無論言うまでもないことだが、その一撃は防御された。


掴んだまま数キロ離れた港に着陸する。
コンテナや荷揚げされた品物が未整理のまま放置され、明かりもない夜闇の中では視認は不可能だろう。
「大丈夫ですか?」
工事現場から港まで数キロ、飛んでしまえば大した距離ではなかった、
だが飛んでしまったが故に普通の人間には負担はかなり大きかったはずだ。
「君は一体誰なんだ? そしてさっきの……そうだ、さっきのは『殺人』だった!」
多少混乱し、呼吸は乱れているようだが、そんな事を叫んだ、どうやら彼の意志は強いようだった。
「申し訳ないけれど、君は巻き込まれたんだ、この町を舞台とする『聖杯戦争』と呼ばれる儀式に」
多少端折った部分もあるが概要だけは説明を完了する。
「……だから、僕は君に戦って貰おうとかは考えていない、いつも通りの生活を送ってくれれば良いんだ」
「あのね……儀式とかそんな事は良いんだ、でもね、この町で殺人が行われているなら、僕はそれを止めたい」
強い意志が宿る、頼もしさを感じる瞳だった。
「分かった……なら君には僕のサポートをして貰う事になると思う、それが聖杯戦争の基本だからね……
 そう、自己紹介がまだだったね、僕は……キャスター、さっき説明したサーヴァントの一つです」
本名を名乗る事はしなかった。
「僕は広瀬康一、よろしく、キャスター君」
握手を交わす。
「とりあえず今日は拠点、君の家に戻ろう、それから、この辺りの詳しい地図などが見たい、作戦を練るのに必要だからね」
「その位なら家にあるよ、でも突然人連れて行ったらみんな何て言うかな……」
キャスターの、杖を持った戦闘モードの格好を冷静に見てみれば、好意的に見ても新興宗教か何かにしか見えない。
「その点は大丈夫です、召還されている間の僕は食事などは必要ありませんし、姿を隠す事も可能です」
そう言って実際に姿を消す。
話した事は召還の際にすり込まれた情報そのままで、真実かどうかの確認はしていないが、嘘をすり込む必然性はあるまい。
「ね? 見えないでしょう?」
「う、うん……」
「細かい事は帰りながら……いや、帰ってからの方が良いか、概要は説明しましたけどその他話す事は色々ありますから」
「あー、うん、それじゃあそれ以外の事でも話しながら帰ろうか……」
こうして彼等は改めて帰途につく。


その同時刻
食事:衛宮邸ではバゼットを交えて夕食を楽しんでいた
召還:遠坂邸では召還の儀式が行われていた
戦闘:杜王町別荘地帯では戦闘が行われていた

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最終更新:2007年05月21日 00:48