238 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/10/24(火) 04:08:18

なのはとフェイトという少女二人組のことだ。
自己紹介の通りであるならば二人は六道氏の養女であり、更には衛宮士郎の養父であった切嗣氏の実子でもあるという。
聞けば六道氏はかつての無医村に住む医者であると言うことだが……
二人の親とどうやって知り合ったのか、そこにロマンスはあったのか、など興味は尽きぬ。

そういえば意外なところで遠坂嬢と衛宮の接点が生まれたわけだが、気になったのはそう言った部分だけではない。


二人は衛宮士郎が気になって仕方がないのだろう。
最初は見慣れぬ義兄への警戒、もしくは興味や尊敬かとも思ったのだがそうでもなさそうだ。
先程から衛宮と、抱きつくように彼から離れぬイリヤスフィール嬢の動きを一挙手一投足を見張っているようにしか見えぬ。
一応二人とも周りに気付かれぬようにちらちらとしているだけだが、こうして注目してしまえば一目瞭然だ。

やれやれ、それにしても……
上はバゼット氏のような大人の女性から下は両名のような少女に至るまでずいぶんと好かれているようだな、彼は。
これは確かに美綴嬢の弟のするようなやっかみの対象にもなろうというものだ。

いやはや、実に……面白い。
女性に好かれるような性格ではないはずだが女性に好かれる生活をしている、その有り様は端で見ていれば面白い。
そのただ中に居れば気が気でないかもしれぬがね。


ふふふと自然と笑みがこぼれる、さて、観察者として他のグループの様子も楽しむことにしよう。


「呆れたわね……そんなことで網走まで行ってきたのあなたは?」
遠坂嬢が驚いているのか呆れているのか、ともかくそんな声を絞り出している。
「おう、遠坂が市内の留置所ならこっちは網走だーと直感したから走って行ってきた!」
「ここから四日で往復とは……随分と体力があるのですね、感心しますよ」
「そうですね、その体力と根性は見習うべき物がある」
「いやー、アンタ達の武術の技には勝てんわー、今度衛宮で試すから教えてくれ!」
「はは、私の技は人に教える程の物ではありませんし、それに無闇に振るうものではありませんよ」
「う……分かってるってば、その位のことは弁えるさー」
「しかしなぁ、留置所に対抗して刑務所だ、という発想に驚くな」
「全くですわね」
「でもね、野宿で走り通すなんてこの時期感心しないわ、体冷やしたら大変でしょう?」
このグループは大人グループと言ったところか、遠坂嬢を中心に藤村教諭、六道氏、バゼット氏、カール氏、ルヴィア嬢に蒔か。
蒔の字が大人かどうかはともかく、雰囲気は柔らかい、案外蒔は大人の中に居るのが合っているのやもしれんな。

「ふわー、凄いですねー」
鏡を見ながらまるで別人を見るように由紀香が呟く。
「そうかしら? 私は貴方や桜さんみたいに料理は出来ないから二人の方が凄いと思うけど?」
由紀香が急遽作ったマリネを一口食べて瞳さんが呟く。
「でもですね、こういう、ヘアメイクって言うんですか? 出来るのは凄いと思いますよ?」
「まあ、美容師とかいいかもって思ってるから勉強してるしね」
「そうなんですかー、それじゃあ最初のお客さんかもですね!」
こちらは学生グループとでも言うのだろうか、瞳さんを中心に、由紀香と間桐嬢か。
この三人は食事を程々にとりつつも、瞳さんが二人の髪を弄る事を重視しているようだ。
そしてその髪型は実に似合っている。
印象が変わったということは余りないのだが、何とも言い難い、気品のような物が加味されていた。
……そういえば間桐嬢の髪の色が変わっているな、遠坂嬢に感化されて染めたのだろうか?
しかしそう言ったことは余り許すような藤村教諭でもなさそうだが……


ふむ、各人にますます興味が湧いてきたな。
はてさて、どうしたものか。


観察者の宿泊:「衛宮、今夜のことだが、私達も一晩泊まっていって構わないかね?」やはり実地観察は大事だ
電話が鳴って:「おや、電話か?」電話のベルが鳴った。
来訪者来たりて:「おや、来客か?」玄関のベルが鳴った。

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最終更新:2007年05月21日 01:07