274 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/10/25(水) 05:15:05
「衛宮、今夜のことだが、私達も一晩泊まっていって構わないかね?」
やはり実地観察は大事だ。
とはいえ、受け入れられることはあるまい。
故にここで夕食までご馳走になっていくというような形に持って行く交渉と言うことになろう。
「ああ、分かった」
……忘れていたな、彼は『良い人』であった。
人から頼まれれば嫌とは言えぬ質なのだ、多分彼は『この大人数なら何人増えても手間は変わらない』とか考えているのだろう。
とはいえ、口を出てしまった物を引っ込めるというわけにも行くまい、これはこれで受け入れるべきだろう。
さて、昼食も終わり頭に栄養素は巡っていくだろう、ここで簡単に人物を整理しよう。
……記憶力は決して悪い方ではないと自負してはいるが、さすがにこの人数を一気に把握する事は難しいのだ。
まず家主である衛宮こと衛宮士郎。
この家の家主であり、途方もない善人である。
人に好かれるような性格ではない、精々『良い人ね』で終わりなはずだが人に好かれる生活をしている。
この家にいる多くの人間が大小差はあれ、彼に惹かれているのは間違いなかろう。
遠坂嬢こと遠坂凛。
今回の妹大量増加以前よりこの家に通う状況であったらしいが、そこに至る経緯などは不明。
とはいえ、少なからず彼に好意を抱いていることは間違いないだろう。
そうでなければ何か事件が人知れずあったところでこの家に住んだり通ったりと言ったことはあるまい。
衛宮への好感度やや高し、但し公言はせずと言ったところか。
間桐嬢こと間桐桜。
現在知る限りに於いて衛宮氏の恋仲にありこの家で同棲中だという。
当然この状況は快くは思ってはおるまいが、衛宮氏が良いと言っているため文句は言えぬと言ったところか?
もしくはこの状況を楽しんでいるとか? だとすれば随分な女傑である。
あるいは決して彼が裏切らぬと確信していると言うことが考えられる……夜が強いとか。
……自分の想像で顔を赤らめてはいけない、好感度は最大としておくのが妥当だろう。
ライダー嬢はどうだろうか。
昼食の際も特に誰と何を話すでもなく事務的に食事をこなして部屋に戻ってしまった彼女である。
……彼女の立場は間桐嬢の家庭教師や侍女の類と考えられる。
当然恋仲にある間桐嬢と衛宮氏の関係を継続させたいはずで、今現在作戦を考案中と言ったところだろうか。
ふと自分の思考で気付くが彼女も2年ほど前からこの家に住んでいる。
男手が衛宮氏一人である以上ある程度はそう言った感情もあるのではなかろうか。
とはいえ自分の立場もあってなかなか言い出せない……というのも面白いな。
好感度は中程度、但し遠坂嬢と同じく公言はしていないと言うところか。
藤村教諭……
この家に通う人物の中では最古参である。
勿論教師としての立場という物もあるだろうが、彼に恋心を抱く、という状況がどうにも想像ができない。
仮にあったとすればまず最初に、こういった状況になる前に手を出している事だろう。
もしやしたらと言うこともあり得るが……
好感度は……大穴であって測定不能というところか。
続いて新たに増加したであろう妹達を含めた人物達への考察に移ろう。
275 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/10/25(水) 05:16:30
イリヤスフィール嬢はどうだろうか。
……考えるまでもない、昼食時も昼食後も抱きついて離れぬ様は見ていて清々しいほどの惚れ具合である。
衛宮は養子でイリヤ嬢は実子だという。
法律的には婚姻不可だったような気もするが、それ故に燃える恋というのも面白いかもしれぬ。
好感度は極めて高く、行動からも好意を振りまいているな。
続いて瞳嬢、本人は嬢と呼ばれることを拒否したがこの呼び方の方がしっくりする、公言はしないので許して貰うことにしよう。
……彼女に関しては彼への惚れた腫れたはなさそうだ、極めて普通の兄と妹と言ったところか。
とはいえ、数日前からのことならばそれが普通だし、彼女自身が恋をしていないということはなさそうだ。
この場にいない誰か、それは不明だが誰かに恋をしているぞとどこぞの感覚が囁いている。
恐らくここに来る前の地元、東京らしいが……向こうにその人物は居るのだろう。
これは彼についての事が落ち着いたら話を聞いてみたい物だ。
なのは嬢、フェイト嬢については考えることも余りない。
と言うよりもイリヤスフィール嬢と同様に好意を抱いているのはほぼ間違いはないと思えるな。
先程も皿洗いやその他の片付けを半ば強引に引き受けて終わらせた。
ただの尊敬という感情からはああいった行動はとるまい。
二人とも衛宮への好感度は高い、そして隠そうとして失敗している。
それはただただ微笑ましい事だと思う。
では血縁関係のない人物についてだが……
ルヴィア嬢、遠坂嬢のロンドンでの学友についてだが……
なんというのだろうか、高慢に振る舞おうとして失敗しているように思える。
『日本なんて嫌いですもの』と言っているがその割に日本茶等は受け入れている、と言うよりもその他日本文化には総じて好意的だ。
それに、べったりというわけではないが『まったく仕方ないですわね』を枕詞にして様々な面で衛宮に尽くしているように見える。
そう、アレだ、嫌いと言っているが実は好きという……なんと言ったか。
ともかくそう言った人物であるということが理解できる。
そしてバゼット氏だ。
正直衛宮との接点がいまいち見えてこない。
『この家は駆け込み寺のようなものです』とは彼女の言葉だが、だからといって見ず知らずの人物まで泊めるような……
いや、あの衛宮なら有り得るが、それだけでは無かろう。
彼女がいわゆる『隙のない女性』であることは間違いないが……
時折彼に見せる表情は、好意とは違うような気もするが悪意よりは好意に近い何かである事は間違いない。
さて、最後に男性陣だ。
遠坂嬢の親戚であり、なのは嬢、フェイト嬢の養父でもある六道氏だ。
来宅した際のあの組み手と言い相当な武術の達人であることは疑いない。
それ以上は基本的に謎のままか、とはいえ、養女二人を見る限り誠実な人物であることは間違いなさそうだが。
そしてルヴィア嬢の親戚であるカール氏か。
彼については紳士的であると言うこと以外分かることは殆どないな、男性である以上衛宮氏への興味がどうこうもありようがないし。
……しかし、彼とは間違いなく初対面であるはずなのだが、どこかで見たことがあるような気がしてならない。
冬木市の観光に来ていると言うことだが、市内で見かけたというものではないような気がするが……
ふむ……こんなところか?
しかし、これはどう考えようとハーレムに違いない、そうであるから見ていて飽きないものだが。
最終更新:2007年05月21日 01:08