432 名前: 371 投稿日: 2006/08/08(火) 00:50:44
……ほう、衣服の中身ですか。
それはもちろん衣服に隠された人形の発条の穴が目当て、
などという当たり障りの無いオチではなく、
もっと人形の本質に迫る中身が目当てなのですね。
「……フン、答えは得た」
人形を前にして、口がひとりでに動いた。
しかし、目の前に発条があるのにそれをスルーしてまで中を覗くという、
その仄暗い欲求はどこからやってくるのか。
いや、でも発条を巻こうにも何処に穴があるかわからないしね。
穴を探すためにも一度じっくり見てみないことには。
……どこかから電波で『志村、背中背中ー!』という声を受信したような
気がするが、そんな別世界からの干渉は俺の心の遥か遠き理想郷で
一切遮断させていただくことにする。
そんなこんなで理論武装を終えると、俺の手は人形の服の裾を軽く摘み、
それをそろそろと持ち上げ始めた。
「……おおっ」
人形師は見えない部分も手を抜いていなかった。
さすが匠の逸品、と言えるフリルの奥に、ゆったりとした純白の半ズボン。
ええとこれは確かドロワーズ、という女性下着だったっけ?
ぱっと見、かぼちゃズボンの女の子を連想させるそれは、
現代の女性下着とはまた違った可愛さを持っている。
また、抜けるような白い肌からはじまって黒で終わるまで、
見事な色彩感覚で彩られた外側とは対照的に、
中着のほうは意外と言うべきか、純白一色である。
だがそれが違和感があるかといえば、全くそんなことは無かったりする。
「————凄い」
ほう、とため息を付きそうな口元を抑える。
見事だ。
この作品には一切妥協は存在しない。
つい興が乗って、今度は背中側を覗いてみることにする。
衣服の背中側は、大きく開いていて翼を邪魔しないような造りになっているらしい。
「へぇ、この羽根は背中から直接伸びてるのか。
それで服がこういう造りなんだな」
よく見ると翼の付け根に穴が開いている。
これが発条を差し込む部分なのか。
「……納得。やっぱり発条で動くんだ」
俺は一つ頷くと、次に……
α:人形の発条を巻き始めた。
β:……下着の更に中身はどうなのかにゃ?
「人形の穴」でなにかやましい想像をした人は、
先生怒らないから出てきなさい。
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最終更新:2006年09月15日 06:06