445 名前: 371 投稿日: 2006/08/08(火) 21:45:20
なんと。更にその中身と来ましたか。
果たして、何がそこまで俺を駆り立てるんだろうか。
もはや先ほどまでとは違う意味で、藤ねえに見つかったら即アウトな雰囲気。
いや、この場合、遠坂に見つかってもアウトと言うか。
「むしろ即デッドエンドだよなぁ」
たやすく幻視できる。
遠坂の左手が光って唸って俺を倒せと輝き叫んでるのが。
しかし、今の俺はどうしてもこの人形の更なる中身、
噛み砕いていえば裸の人形が見たくなっている……!
おかしい、俺は人形にされかけたことはあっても、
人形で遊ぶ趣味は無かったはずなんだが。
それもこれもこの人形が見事すぎるから、なのだろうか。
見るものを狂わせる魔性の人形、とか。
「しかしどう脱がしたものかなコレ。
チョーカーやヘッドドレスは最初に外しておくとして」
ショック!
頭でああだこうだ考えているうちに、
身体は既にどうやって脱がすかの試行錯誤に走っているとは!
「か、身体が勝手に!」
太正時代からのお約束を口走りながらも、俺の手は止まらない。
あ、でも別にそれが不満ってわけじゃなくて、いいぞ俺の身体もっとやれ。
そうして、身体チョーカーやヘッドドレス、ブーツなどといった小物類は
割と容易に取り外すことが出来た。
次はいよいよ衣服に取り掛かります。
「見た感じ、ワンピース風なわけだから……こう、下から上にたくし上げて……」
するすると捲り上げられていくスカート。
だが、腰の辺りまでスカートをたくし上げたところで、
背中の羽がつっかえて上手くいかない。
「あ、これじゃ駄目か……じゃあ肩のところから……」
そうして試行錯誤することしばし。
446 名前: 371 投稿日: 2006/08/08(火) 21:47:49
「…………」
深い黒と清楚な白。
見飽きない造型は時間の感覚を麻痺させる。
文句の付け所がない至高のアンティーク。
コレクションを楽しむ蒐集家や創作に励む造型師の憧れになりそうな見目麗しい人形は、しかし。
今まさに、スカートをたくしあげて肩をはだけさせたあられもない姿を見せていた……!
「あ、ちゃんとあるんだ、お腹」
残念なことに、人形は上半身と下半身がしっかりくっついていました。
ナニが残念なのか自分でもよくわからないのですが。
素肌部分は言うに及ばず真っ白で、その艶やかさは陶磁器のよう。
それともう一つ、大きく目に付いたのが各関節の球体。
大きく曲げられる間接は流石にまかないきれなかったのか、
球体間接そのままの形で作られていた。
なるほど、長袖とブーツで上手く隠してあるわけだ。
「しかし、これは……流石に」
拙い。
自分でやったこととはいえ、どこをどう見ても犯罪の雰囲気だ。
流石に最後の理性が下着を脱がすことは拒否しているので、
人形は今キャミソールとドロワーズを纏っているが、
捲れあがったスカートとあらわになった肩の醸し出す色気は
人形のものとは思えないほど生々しい。
もういいだろう。
もうかなり堪能したと思う。
事前準備は十分だ。
「さて、そろそろいい加減に……」
本命中の本命を、試してみよう。
俺は手早く人形に服を着せなおすと、
トランクの中で忘れ去られていた発条を手にとった。
この発条こそ本命、この人形の真価を知るための鍵になるのだと、
俺はなんとなく悟っていた。
それを背中に開いていた穴に差込み、ゆっくりと回転させる。
キリキリキリ、キリキリキリ。
十数回、発条を巻いて、ゆっくりと抜き取る。
土蔵の冷たい床の上に、そっと人形を横たえた。
「お」
カタリ、と一度、小さく震えた。
続けてカタ、カタ、カタカタカタ、と人形の身体が振動していく。
そして、次の瞬間。
人形の瞳が、ゆっくりと開いていった。
「おお……!」
感嘆の声を上げる俺。
人形の瞳はそんな俺に焦点を合わせると、
次第にある一つの感情を示し始めた。
人形の瞳、それは……。
α:烈火のごとく怒っていた。
β:激しい蔑みを示していた。
γ:……えっと、殺気?
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最終更新:2006年09月03日 17:22