390 名前: ブロードウェイを目指して ◆bvueWC.xYU [sage 高速思考展開:シオンなら、何か知ってるかもしれない] 投稿日: 2006/10/28(土) 13:32:35

「…………っ」

 理性を総動員させて体が踏み出そうとするのを堪える。
 まだだ、まだ駄目だ。アイツを完全に「殺す」ためにはもっと確実なチャンスが必要だ。
 それに、弓塚の状態がまだ手遅れだと決まったわけじゃない。ワラキアの口ぶりからするに、
 まだタタリが完全に発生するにはまだ時間がかかるはずだ。

――――私はただ見るに値する舞台を作りたいだけさ

「…………」

 ワラキアの言葉を察するに恐らくタタリが完成するのは本番当日。
 それまでに何とかしてアイツを止めないと…………。

「さて、それではそろそろ今日は行くとするかな。ただでさえ弱りかけている所を
 誰かに不意討ちでもされたらたまらないからな」
「っ」

 俺は心中で舌打ちをした。やはり不用意に飛び出さなくて正解だったようだ。


「では蛇の娘よ。よりよい『望み』を懇願するのを楽しみにしているよ」


 そう言って、ワラキアは小気味よくマントを鳴らせて影に溶けるように消えていった。

「………………」

 全身が心臓になったかのように脈打っている。俺は力一杯胸の辺りを学ランの上から握り締めた。それでも、心臓は完璧には収まってくれない。

 ワラキアが消えて弓塚の気配もいくらか大人しくなり、足音と共に俺のいる所とは反対方向へと気配が遠ざかっていく。
 今日は恐らく動きはないだろう。俺は僅かに昂ぶった心持ちで屋敷へ帰ろうと帰路に向かった。



 道中、俺はワラキアを「殺す」上で誰かに助けを求めるかどうか悩んだ。
 幸いというか何というか、稽古で毎日顔を付き合わせる今の状況というのは助けを呼ぶには非常に好都合だが、
 逆に皆に危険な目に合わせるかもしれないと思うと気が引ける。
 いや、でも…………。



 そうして俺は、


 閃きの弓:明日、シエル先輩に助けを求めよう

 黎明の月:明日、アルクェイドに相談してみよう

 紅い禁忌:帰ったら、秋葉に頼ろう

 直死の魔眼:俺一人で何とかしてみせる

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最終更新:2006年10月28日 14:02