413 名前: 381 ◆3WmQZKDzxM [sage] 投稿日: 2006/04/10(月) 22:25:45


冬木市。

それは何処にでもある、普通の街。
これと言った争い事もなく、ましてや戦争などとは縁もゆかりも無い、ただの町。

これは此処、冬木に住む普通の少年を中心とした、誰にも語り継がれる事も無い普通の、ごく普通の御伽話 

それでは語り始めよう  
………
……

「おとーさんっ、おかーさんっ!」

それは小さな少年の声だった。
両親を探し、走り回って優に1時間は過ぎただろう。

優しく暖かい母。厳しくも頼りになる父親。
そのかけがえの無い、大好きな人が二度と帰ってこない現実。

それは神様が彼に与えた、とても残酷なクリスマスプレゼント。

少年の両親は可愛い息子へのプレゼントを買うために新都へ向かったきり帰ってくる事はなかった。

少年の元に届けられたのは玩具ではなく、両親の死と言う連絡。

其れを聞いた少年は走り出した。
目的地など無い。目指すべきはこの世からいなくなった両親の元なのだから・・・・・・

そしていつの間にか辿り着いたのは何も無い野原だった。

噴水も、ベンチも、街灯も・・・・・・何も無かった。 
だが、少年には見えた。自分と一緒に走る父を、それを微笑みながら眺める母を。
つい先程までは当たり前だった幸せ。当たり前だった幸せ。一瞬にして消えてしまった幸せ。
それが見えた。

「・・・おとーさん・・・おかーさん・・・・・・」

視界がにじんでゆく。
歯をくいしばり耐える。泣けば両親の死を認めるような気がしたから。

どうかしたのか?ふと後ろから声をかけられる。 


そこで目が覚めた。辺りはまだ暗い。
暗いのは時間が早いせいだけではないだろう。例え昼間だったとしても此処は明るくなる事は無いだろう。
当たり前だ、なにせ土蔵の中なのだから。

「・・・またやっちまった」

固い地面の上で寝たせいで痛む体を伸ばしながら呟く。
「また」と言うことは、同じ様な事が何度かあるのだろう。

「う~ん、まだ眠いな・・・」



壱.まだ時間があるので寝直す

弐.目を覚ますために軽く運動する

参.気分転換に散歩に行く

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最終更新:2006年11月08日 01:29