723 名前: 381 ◆3WmQZKDzxM [sage] 投稿日: 2006/04/25(火) 20:39:16

ライダーが大活躍の体育も終わり、放課後をむかえ、帰りの用意をする。
ふと、ライダーを見ると周りには男女問わず人が集まっていた。
恐らくライダーと一緒に帰ろうとか、遊びに行こうと誘っているのだろう。しかし、ライダーに声をかけた者の表情は芳しくない。
恐らくは断られたのだろう。
ぼぅ、とその様子を眺めているとライダーを囲んでいた人だかりが割れてゆく。
その原因は、ライダーが士郎に向かっている事のようだ。
士郎の目の前にライダーが立つとその唇からはとんでもない言葉がつむがれる。
「士郎、一緒にかえりませんか?
家は同じなのですから。」
ぴしりっ、空気が氷つく。
先まではあれ程そうぞうしかった連中が静かになった。
まずい、と士郎は目の前の連中が復活する前に教室をとびだした。
「いくぞ、ライダー!」
そう呼び掛け振り向かずに走り出す。
廊下を全速力で駆け抜け、階段を数段飛びで駆け降りる。
そこで教室からであろう、雄叫びが聴こえるが止まることはしない。
急いで靴を履き替え、校門まで一気に走り抜けるとそこにはセイバー達が居た。
「シロウ、皆で帰りましょう。」
「なに言ってんだ、真っ直ぐ帰るなんて何処の優等生だよ。
おい、坊主。新都に行こうぜ。案内してくれよ、な?」
などと士郎を誘惑するランサーを、ライダーが荷物の整理があるからとたしなめた。
「アーチャーは遠坂さんの家に世話になるのでしょう?
荷物はどうすのですか??」
「一度彼女の家に行く。その後、着替などの必要なものだけは取りに行くとしよう。それ以外は後日でいいだろう。
だから皆は先に行って構わん。私は凛を待つとしよう」
「そうですか。それでは行きましょう。」

歩きなれた道を初めて会った奴らとあるく。
何時もなら退屈な道も新鮮であろう。
前の学校は何処だったのか、好きな奴は居るのかと他愛の無い話をしながら、歩いていると、士郎が
「そういや、遠坂って俺が校門に着いた時に帰っていったよな?」
などとのたまう。
「あのアーチャー(馬鹿)は気付いてなかったみたいだけど」
などと顔を綻ばせながら言う。
それを聞いたランサーは大爆笑。
「何故、教えなかったのですか?」
と責める様子もなく問うセイバー。
それに士郎は当たり前の如くこう答えた。
「初対面で殴る様な奴にに、わざわざ教える程、俺はお人好しじゃない。」

724 名前: 381 ◆3WmQZKDzxM [sage] 投稿日: 2006/04/25(火) 21:33:24

「士郎。あまり喧嘩はしないでください。
士郎の身を預かる者としてあまり喜ばしいとは言えませんから。」
「わ、悪い。」
本当に心配しているのであろう。その表情を見れば分かる。
そんなライダーの表情を見せられて、ふざけた態度をとる程士郎も馬鹿ではないので、素直に謝った。
「アーチャー等はどうでもいいでしょう。そんな事より、私はお腹がすきました。」
そう言いながらズンズン進んでいく。
「……セイバーってアーチャーの事嫌いなのか?」
「そういう訳では無いと思うのですが……」
苦笑いをしながらフォローしようとする。
「まぁ、食事の方が大事だと言うことではないでしょうか」
しきれなかったみたいだが。
「そんなことより、早く帰らないとギルが待ちくたびれてしまいます。」
「ギル?」
「ええ。そういえば言ってませんでしたね。
あと一人いるのです。

「酷いなー、ライダー姉さん。僕を忘れるなんて」
と突然後ろから声をかけられる。
声のした方をみるとそこには、少年が居た。ぱっと見た感じは小学生くらいであろうか。
「あんまり遅いから迎えにきちゃったよ。
はじめまして、衛宮士郎さん。僕の名前はギルガメッシュ。これからよろしくお願いします。」
極上の笑顔をしながら礼儀正しい挨拶。
「ああ、よろしく。俺は……」
「自己紹介はいいですよ。貴方の事はよくしってますから。
それに早くしないとセイバー姉さんに置いて行かれてしまいます。」
と言いセイバーの方へ走り出した。
「……なぁ、ライダー」
「はい?」
「流石にもう出てこないよな?」
「ええ、彼で最後です。」
「部屋どうしよう……」
「それは「それなら気にしないで下さい。
僕は他の所にお世話になりますから。」
ライダーの言葉を遮るように、前方に走り去った筈のギルガメッシュが後ろから声をかけてきて、それだけを言って、再び走り去った。

761 名前: 381 ◆3WmQZKDzxM [sage] 投稿日: 2006/04/30(日) 20:06:23

「シロウ、遅いですよっ」
既に玄関前に到着し、アホ毛を振り回しているセイバー。
「あぁ、悪い悪い。」
急ぎ足で玄関を開け、振り向き新しい家族にこういった。
「おかえり。」
少し照れた様に皆が答える。
ただいま、と。

「くそっ、あんな事言わなきゃ良かった」
後悔、先に立たずとは良く言ったものだ。
シロウはあちこちを腫れさせ、銀しゃりを口に運ぶ。
その怪我の犯人等は、ホクホク顔で海老フライを頬張っていた。
「やはり、戦利品の味は格別ですね。」
「ああ、敵の戦力を知らぬまま戦を受けるアホウから奪ったオカズは最高だ」

なんの事はない。
オカズを賭けて、士郎とセイバーが勝負をしただけだ。
結果は士郎の0勝7敗、全て一撃瞬殺。
ムキになり何度も勝負を挑んだのが運の尽き。オカズを賭けると言った瞬間、セイバーからは笑顔は消え、漫画の世界でしか有り得ないと思っていた殺気を受けることとなった。
その結果が白いご飯だけを頬張る士郎である。
それすらセイバーの
「騎士の情けです。白米だけは見逃してあげましょう。」との慈悲のお陰だ。
「まったく、夕飯の支度をしている間、珍しくセイバーが静かだと思ったら……」
呆れ顔で仰るライダーさん。
その小言を右から左に流しつつ、明日も勝負しましょうとアホ毛。
「それとも、この様なか弱き少女に負けたまま、泣き寝入りするほど貴方はチキン野郎なのですか?」
ニヤつきながらの挑発。
「くっ、そこまで言われて引っ込めるか!やってやるさ」
威勢良く吠えた。
が、その後がよろしくない。
「……一ヶ月後くらいに」
流石にやる気わ気力だけではどうにもならない事は士郎にも分かっているようだった。
美味しそうなライダーの手料理を目の前にし、白米のみを喰らう。

「見てろよ、セイバー。必ず泣かせてやるからな。」
………………
…………
……
此は夢。
此は叶わなかった、願う事すら許されなかった夢。
朝日が昇るように、当たり前に来る筈だった夢幻。
笑い、泣き、喜び、怒る。そんなヒトらしい夢。
願わくば、このゆめが終らぬように。
それが彼女の最後の希望ユメ

777 名前: 381 ◆3WmQZKDzxM [sage] 投稿日: 2006/05/04(木) 19:07:58

そこは地獄だった。
傷尽き倒れ伏す者、恐怖に脅え身を堅く堅く縮める者。
そして悲しみにむせび泣く剣士。
だがその剣士も、愛しきモノの亡骸を胸に抱き、済みません済みません済みませんすみませんすみませんすみませんすみませんスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセン、と繰り返すばかり。
「私は貴方を守れなかった」
その瞳からは透明な雫が止めどなく溢れる。
その姿からは、本来彼女の持つ凜とした雰囲気は微塵も感じられない。
有るのは後悔と、其を守れなかった自分に向けられる憎悪の念だけ。

何故、この様な悲劇が起きてしまったのだろうか……
その元凶は、今より一刻ほど前に来た。

「ば・ん・ご・はっ~~~ん♪」
そう嬉しそうな声を高らかに、玄関を勢い良く開くは冬木の猛虎こと、藤村大河そのひとである。
彼女は衛宮士郎を弟の様に可愛がり、執事の様にこき使う素晴らしき姉貴分なのである。
そして頻繁に、その胃袋を満たすために衛宮邸に押し入る。
こ度も何時もの如く、家の主の出迎えなど待たず侵入する。
だが、この家に住む者達も馴れたもので、
お仕事お疲れ様ですや、また来たの?など歓迎を受ける。
「シロウ、夕飯はまだでしょうか?些か体がエネルギー不足を訴えています」
「セイバーちゃんは食いしん坊だねぇ」
その言葉は彼女のプライドをいたく傷付けたらしく、プンスカお怒りである。
「今日はセイバーの大好物の海老フライですからね。致し方無いでしょう。
かく言う私も士郎の作る海老フライは好きですから。」
その絶品の海老フライを想像してしまったのだろう。
言い終わったのに合わせ、お腹がくぅと鳴る。
「ほら、士郎。ライダーちゃんももう待てないってよ~」
「なっ、大河!何をいっているんですか!」
頬を紅色に染め、慌てふためく。
そこに救世主が現れた。
「御待たせしましたっ。衛宮士郎、渾身の海老フライ完成!」
そう言い、海老フライがのっているであろう皿の上に掛けられた布を取り払う。
それを見た者たちから歓声があがった。
なんだかんだで皆、士郎の海老フライが大好きなのである。
それの前では脇役に成ってしまうご飯やその他のオカズも並べ終え、食卓に着く。
「頂きます。」
両手を合わせ、声を合わせる。
その後に起こる悲劇も知らずに


ダンチヒ;これってほのぼのorギャグだよな?

テンシノキセキ;否、シリアスSA!

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最終更新:2006年11月08日 01:54