806 名前: 381 ◆3WmQZKDzxM [sage] 投稿日: 2006/05/06(土) 21:26:00
「お・い・し・いぃぃぃ!」
今にも、口と目から光が溢れだし、後ろから波がざぱ~んと来そうな程喜ぶセイバー。
他の者の顔も綻んでいる。
ただ、バーサーカーの微妙な笑顔は怖すぎる。
泣いた子供はなお、泣いていない大人だって泣きそうなくらい不気味である。
皆は、そんなモノすら気にならなくなる程夢中で食べている。
暫くして、そろそろ皆が食べ終る頃、ふとセイバーの皿を見ると未だに海老フライが残っていた。
それを食卓のジャイアン、藤村大河は見逃すはずはなかったのだ。
「セイバーちゃん、食べないの?だったら私にちょーだい♪」
言い終わる前に箸が動き出していた。
それは正に閃光であった。
それこそ最速のランサーすら反応出来ぬ程の神技、最早魔法の領域ではあるまいか。
「あ」
まさにあっと言うまを見せ付けられた。
大河の繰り出す箸の残像に気付くも、既に実体は其処にあらず、防ごうと差し出した箸は空を斬る事となる。
自らの手元から大河へと視線を移すとそこには、無惨にも体を半分に食い千切られた海老フライの姿があった。
「本当、士郎の海老フライは絶品ね。
こんなに美味しいのに残すなんてもったいないわよ?セイバーちゃん。」
セイバーから奪った海老フライを口に入れながら行儀悪く喋る。
だがその言葉はセイバーに届かない。
今、彼女に見えるのは上半身を失いだらりと垂れ下がる下半身、彼女聴こえるのは失った半身を刷り潰される音だけ。
何が起きたか理解できず呆然とするセイバー。
ごくん、と飲み下す音により正気を取り戻す。
「え…びフ…ラい」
最後の楽しみに、ととっておいた海老フライを失いうつ向く。
「…エクス(約束された)」
セイバーが何かを呟くと、世界が狂い出す。
大気が荒れ狂い、空間が捻れ狂う。
「ちょ、おま!こんなトコで使う気かよっ」
普段の様子からは想像できない程に焦り出すランサー。
異常に気付いたライダーとバーサーカーが彼女を抑えようとするが、セイバーが腕を振るっただけで宙を舞う事となった。
「カリバー----!(勝利の竹刀)」
それはまさに最強の幻想だった。
見ただけで体がこわばり動くことも出来ない。
藤村大河はようやく己のしでかした事の重大さに気が付くが時既に遅し。世界を切り裂きそうな程の威圧感を持つ其が振るわれると障子が裂け、テーブルが砕け散った。
807 名前: 381 ◆3WmQZKDzxM [sage] 投稿日: 2006/05/06(土) 21:45:37
セイバーに立ち向かい、傷付き倒れる者達。
これは悪夢であろうか?
あれほど小さく華奢な少女を相手に誰一人として歯が立たない。否、既に一人づつかかるなどという事はしていない。
全員でかかっても抑える事すら出来ぬのだ。
この哀しき戦いが始まりどれ程の時がたったのだろうか?
既にセイバーに向かっていた者は全て倒れる伏している。
彼女が振るった幻想により、部屋は見るも無惨な状態だった。
もう一度言おう。此処は地獄だと。
海老フライの亡骸をその胸に抱き涙を流すセイバー。
「私は貴方を守れなかった」
海老フライ一つでここまで騒げる衛宮邸。
ここは今日も今日とて平和であった。
余談ではあるが、その後、セイバーの機嫌を直すために、夕飯一週間セイバーの好物にする羽目になったとさ。
855 名前: 381 ◆3WmQZKDzxM [sage] 投稿日: 2006/05/08(月) 18:52:40
「だりぃ」
今日の第一声がこれだった。
時間は六時半になろうかというところ。
珍しく目覚ましがなる前に目が覚めたせいで、損した気分である。もう少し寝れたぞ?
そのせいで、非常にやる気が出ない。
「…さぼるか」
そうきめたら善は急げ、私服に着替え外に飛び出す。何時までものろのろしていると他の奴に見つかっちまう。
少し出っ張っている場所を足場に軽やかに塀を跳び越える。
おし、今日も絶好調だ!
「おはようございます、ランサー。何処かに出掛けるのですか?」
着地した直ぐ側にはライダーが立っていた。
顔は笑っているが、額には青筋。
流石に今月はサボりすぎたか?とはいえ、週に三、四日は登校してたぞ?中抜けしたけど…
ライダーが俺を捕まえようと手を伸ばす。
だが、その程度では光の御子と呼ばれる俺を捕まえる事は出来ないぜ。
後ろへと跳躍し間合いを離す。
その距離は2mといったところか。
ライダー相手にその程度の間合いは意味を為さない……普通のヤツならばな。
伸ばした手を避けられ、ムッとするライダーに背を向け一気にハイトップまでギアを上げる。
後ろから大声で叫んでいるライダーを無視して走りさる。
やはり今日は絶好調だ。ライダーをこれ程簡単に振り払える事は、滅多にないからな。
「さて、なにすっかな?」
目的があったわけでもなく、気分がのらないという理由で学校をサボったが、冷静に考えると特にやりたい事が見付からない。
とはいえ今更学校に行く気も起きない。
ふと見つめた先には……
a:ライダーが現れた。おぉランサーよ、捕まってしまうとは情けない。
b:釣り具屋があった。のんびり釣りと洒落込むか
e=mc^2:ウホッ、いい女♪スーツを着ているトコも燃えるね!ナンパするしかねぇ!
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最終更新:2006年11月08日 02:12