701 名前: ◆3WmQZKDzxM [sage] 投稿日: 2006/10/08(日) 21:33:17
型枠:バーボンだった
「ちょwwwおまwwwwwwその手に持ってんのなんだよwww」
後ろから現れたのはアーチャーが持つバーボンだった。
しかも、ただのバーボンじゃねぇ。知る人ぞ知る名酒 bourbon nightじゃねぇか。
「ほぅ、その顔はコレを知っているようだな。
何、運良く手に入ったのでな。折角の美酒も一人で飲んでは詰まらんだろう?
皆で飲もうと思ってな」
「おっ、いいねぇ」
「肴はあの小僧にでも作らせればよかろう。
いや、全く夜が楽しみだな」
「……貴方達」
アーチャーとのやりとりに夢中になっていると、やったらハスキーヴォイスでライダーさんが割り込んでくる。
やべぇ、見た目は水商売やってそうなナリのくせしやがって、意外と堅物なんだよなコイツ……
体を戦慄かせ今にも怒鳴り散らしそうなライダーを見たアーチャーは
「たまには良いではないか。酒は百薬の長とも言うだろう?
たしかに飲み過ぎれば体にも悪かろう。
だが、たまにはハメを外し、ストレスを発散させんとな。
ストレスを溜め込む方がよほど体に悪い。」
「ですが、仮にも未成年であり学生である身で……」
反論しようとするライダーにトドメとばかりに言いくるめる。
「それ程心配ならお前が監視でもすればいい。
それとも、自己管理が出来ぬという程我々を信用出来んか?」
「……はぁ、全く。仕方ありませんね。程々にして、明日に響かない様にする。それが条件です」
盛大なため息をつきながらの渋々のGOサインに思わずガッツポーズをしてしまう。
嗚呼、夜が楽しみだ。
665 名前: 381 ◆3WmQZKDzxM [sage 次回が最終回] 投稿日: 2006/11/06(月) 20:00:34
「「「かんぱーーーい」」」
酒の席での儀礼を済ませ、グラスに注がれた液体にそっと口を付ける。
その瞬間なんとも言われぬ極上の香りが鼻腔をくすぐる。
その数瞬後にアルコールが喉を焼くのがなんとも心地良い。
この瞬間だけは■■と繋がる聖杯などより、目の前のグラスの方に価値を感じてしまうのは致し方ないのではなかろうか。
当然、その極上の酒を更に際立たせる為のツマミへと箸が伸びる。
嗚呼、美味い。
自画自賛するつもりは無いが、今日の出来は良い。
今年最高の出来ではないだろうか。
人生の中でも屈指の完成度だ。
「……まぁまぁだな」
人がいい気分に浸っている時に……
「まるで自分ならもっと上手く作れるみたいな言い方だな、アーチャー」
「貴様がそう感じるならそうなのだろう?」
クッ、確かにこいつの料理の腕は認める……が、今日の出来ならば負けてはいまい。
「まぁ、不味くはないがな」
ブッチーン
その一言は許せねぇだろ……
やっぱコイツとは会わねぇ
「てめぇ「いえ、この料理はアーチャーのモノに勝るとも劣らないでしょう」
今にも飛びかからんとする俺の声を遮ったのはセイバーだった。
「そうね。坊やもなかなか腕を上げたのではなくて?」
そこに加勢するようにキャスター。
「フッ、折角の酒の席だ。下らぬ言い争いで酒を不味くする必要もあるまい。
今日の所はそういう事にしておくか。」
予想外にあっさりと引き下がるアーチャー。
とは言え、こちらも何時までも引きずっても面白くない。気分を変えてぱーっと飲んでやる!
いつか絶対に越えてやると心に決め、勢い良く目の前のビンに手を伸ばす。
666 名前: 381 ◆3WmQZKDzxM [sage 次回が最終回] 投稿日: 2006/11/06(月) 20:07:02
ちょっと待て―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
持ったボトルからは、不思議な感覚が伝わる。
「……おい、藤ねぇ。」
隣に座る虎に睨みつける。
その理由は、我が手中の「空の瓶」だ。
確かにこの人数なら一瓶くらいすぐ無くなるだろう。
だが、封を切ったのは3つ。
今日の覚悟が感じられる、呆れるほどの思い切りの良さだ。
その内の一、先程まで三分の二以上残っていた物が空。
ソレに触れられる者は一口だけしか飲んでない俺と、既に虚ろな眼をし、顔を上気させてる藤ねぇ。
そして先程から料理をもの凄いスピードで片付けていくセイバー。
どう考えても犯人はコイツしかいないだろ?
某少年探偵だって同じ結論だろう。
「にゃにぃ~?しりょ~」
……まだ始まって10分しか経ってないのに呂律が回らないって何でだよ。
っつーか、そんなに一気に飲んだら急性アル中で倒れるぞ?
人の心配をよそに、グイグイとグラスを煽る大虎。
「ちょ、藤ね……」
おれの言葉は藤ねぇに顎を掴まれる事により途切れた。
「ほりゃ~、しろ~も飲めぇwwwww」
隣の席にある瓶をかっさらったバカ虎は、あろうことか俺の口に瓶をつっこんできやがった。
「んごっ!?ン"ン"ン"――――」
大量のアルコールが喉だけに留まらず、胃まで焼こうとする。
必死に抵抗するも虎の指は弛まず。
「ほりゃ~、しろ~も飲めぇwwwww」
隣の席にある瓶をかっさらったバカ虎は、あろうことか俺の口に瓶をつっこんできやがった。
「んごっ!?ン"ン"ン"――――」
大量のアルコールが喉だけに留まらず、胃まで焼こうとする。
必死に抵抗するも虎の指は弛まず。
天国の父さん。か弱い女性とは空想のモノなのでしょうか?
藤ねぇ……こんなアルコールの強い酒を一気に飲ませて頭をシェイクされたら下手すりゃ急性アルコール中毒で死ぬぞ?
薄れゆく意識を繋ぎ止める事はできなかった。
667 名前: 381 ◆3WmQZKDzxM [sage 次回が最終回] 投稿日: 2006/11/06(月) 20:11:04
―――――――――――
―――――――――――――
「う"ぅ~」
目を覚ますとそこは混沌だった。
隣からは、う゛ぅ~ぎもぢわるい~などとバカ虎のうめき声が聞こえるが敢えて無視の方向で。
基本優等生のライダーもグロッキーのご様子。
アーチャーはボトルに溺れて溺死中。
流石はランサー、ぶっ倒れてもグラスは放さない。
未だに動いて居るのは桜とセイバー。
セイバーは残っている料理をはむはむこくこく。
桜に至っては、新しくボトルを開けていた。
開始早々虎にKOされたお陰で助かったのか?
こりゃ明日は皆、二日酔い決定だななどと思いながら立ち上がる。
いまだぼやける頭を覚ますために庭へと向かう。
がらりと戸を開けると、秋の風が頬を撫でる。
ひんやりとしたソレは意識を覚醒させる。
夜空を仰ぎ見ると見えるのは深淵の闇に浮かぶ月の姿。
「ああ、今夜はこんなにも月が綺麗だ――――――ってか?」
意味も無くそんな言葉が口をついて出た。
がさりっ
音を立てて草むらが揺れた。視線をそちらへと向けると其処に居たのは月すらも濁って見える程、透き通る様に白き少女だった。
「……初めまして、おにいちゃん」
寂しげに微笑みかける、見も知らぬ少女に、思わず見とれてしまう。
―――――ドクンッ
それと同時に心がざわめく。
あれは「この世界」には居ない筈のモノ。
在ってはいけない物なのだ。
何故ならここは―――――――なのだから。
「ねぇ、おにいちゃん……今幸せ?」
少女の声で我に還る。
「えっ?」
「だから、今幸せ?」
何故、この少女はそんな事を初めて会う俺に聞くのか、どのような意図でその様な質問をするのだろうか?あまりにおおざっぱな質問にどう答えて良いのか戸惑う。
「聞いてるの、おにいちゃん?」
ぷぅ、と頬を膨らませ不機嫌そうに再度俺に問いかける。
―――――幸せなのか、と。
何故か分からないが、その質問には真剣に答えなければいけない気がする。
恐らくは、少女の真剣な瞳がそういう気持ちにさせたのだろう。
少しだけ考えて俺は答えた。
A:―――幸せだ。B:―――そんな事をある訳ないだろ……
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最終更新:2006年11月08日 02:31