976 名前: 言峰士郎 ◆kceYkk4Fu6 [sage] 投稿日: 2006/11/17(金) 01:36:16

イリヤ先輩が気になるワン!
言峰士郎1-1『妹哭街――ライダーキックは縞模様』

 間違った世界、誰かが選択を誤った世界。
 神秘によって覆われた街、冬木に一人の男が現れる。
 彼の名は言峰士郎。
 かつては教会の不良神父であり、
 生身のままに混沌義父や怠惰騎士を屠る『外道マーボー』の使い手である。
 数ヶ月かかったりリセットされたりした細かいいきさつはともかく。
 彼が起床してみれば、すでに義妹は自宅の厨房を掌握し、
 そればかりか学園では真紅悪魔によって親友までもが車田飛んでいた。
 怒りに身も心も焼き尽くされた言峰士郎は、その手に復讐のレンゲを執る。
 仇は四人。
 怠惰騎士、真紅悪魔、毒舌妹、くぅくぅおなかがすきました。
 いずれ劣らぬ凶悪無比の女どもを、1人また1人と血祭りに上げながら、
 孤高の神父は神秘の街の学園を駆け抜ける……。


「というわけで復讐をする為に手始めに屋上で授業をエスケープ!
 あとは夜な夜なスクールでハラキリでシグルイなウォーズを繰り広げる予定!
 ちなみにあのマンガで一番狂ってるのは無責任に盛り上げてるナレーターの人だと思うね!
 そして盗んだバイクで突っ走るのさ!こんなオザキはいねぇし、ラグビーも関係ないけど!」

 というわけで俺は青い空と白い雲と灰色のコンクリ床の上で自由を満喫しているのであった、まる。
 いやあ、自由は良いねえ。人類が与えられた文化の極みだよなあ、畜生。
 これぞジャスティス。これぞ正義。何故なら自由を作った人はアメリカ合衆国大統領だからだ!
 というかアレだ。何故に俺がこんな場所にいるかといえばだ。

 教室では我が親友が「俺に任せて先に行け!」と言ってくれてる筈だから赤い悪魔から逃げれたが、

 家に帰ったら妹――
 「おはよう、『お兄ちゃん』」「ぎゃー言峰士郎が目覚めたら彼のベットの上には一人の妹がいたのであった。『義妹』著者、俺」
 「どうしたの、元気ないみたいね、『お兄ちゃん』」「無表情な顔と棒読みでお兄ちゃんと俺の事を呼ぶな!俺には名前があるんだ!」
 「良いからさっさと起きなさい、この駄犬。せっかくの朝食がさめてしまうじゃない。それとも熱いものは嫌いなんていう猫のような戯けた事を言うつもりなのかしら?」
 「朝食つってもどーせ昨日の晩飯の残りだろうが妹めッ!つーか角砂糖がダース単位で入ってるマーボなんて意味不明の物を俺に食わせるな!嫌がらせか、嫌がらせなんだなッ!?」
 「酷い……妹に対してそんな事を言うなんて、聖書の内容を毎晩耳元で囁かなくては『お兄ちゃん』」
 「ってかプリズナーNO6ネタやってもわかる奴いねぇーッ!」
――によってトラウマを散々穿られそうだしなあ……。


 青い空と白い雲めがけて、ふーっと煙を吹きかける。
 咥えてるのは煙草じゃないから健康にも良いぞ。天国見えるしな、多分。
 甘ったるい香りの中、学園の何処かからか聞こえてくる喧騒が、耳に心地良い。
 ぶらぶらと屋上の端、フェンスに背中を預けて空を見上げる。

 ――煙草の煙にはその人の思いが宿ってる。そして煙は何年もかけて、その人のところへ帰ってくるのだ――……。

 ……そんなマンガが、昔あった。この煙にゃあ、どんな思いが宿ってるのやら。
 ぼーっと、そんな事を考える。……なんだか、昨日は怒涛の一日だった。

 ――いやだってほら英霊の戦いに巻き込まれて友人に殺されそうになって助けた相手が義理の妹でしたー、って。

「なんかそれだけでジャンプで結構な間、連載できるんじゃあなかろーかー」

 普通ありえない。誰かの悪意を感じる。……感じたからってどーにもできないけーどさー。
 はあ……。
 どーにも思考がアンニュイだ。マイナスだ。うむ、温度で言うとマイナス一億度ぐらい。物理?なにそれ、美味しいの?

「……あ、そーいや物理の単位って大丈夫だっけ?」

 カラーンコローンと四時限終了のチャイムを聞きつつ、屋上で指折り数えて計算中。
 …………あ、これなら大丈夫そーだ。
 しっかし、皆真面目だよなあ。あんなにガシガシ勉強して、何したいんだろう。
 世の中でたって腐敗してるしさあ、犯罪者多いしさあ……。
 無いのかねぇ、この世界に絶対的な正義って奴ァ。

977 名前: 言峰士郎 ◆kceYkk4Fu6 [sage] 投稿日: 2006/11/17(金) 01:41:19

「ラァァァイダァァァァァァァァ……………」

 そーそー、仮面ライダーみたいな奴。藤岡さんは偉大だったなあ……。

「――って、アレ?」

 ふむ。なにやら背筋に悪寒が。

「キィィィィィィィィィィィィィィィィ」

 思考タイムは1ミリ秒。脊髄反射で首をめぐらせ、視界を眼下の景色から屋上へと切り替える。
 ――視界に広がるのは、綺麗な水色と白色の縞模様。

「ィィィィィィィィィィィィィックゥゥゥゥゥッ!!!!」
「ゲットぉぁあぁぁあぁぁぁっ!!!???」

 そして顔面に叩きつけられる上履きのゴムの感触と、後頭部を思い切りフェンスに叩き付けた衝撃で星を見る。
 ざんねん! おれのぼうけんは、ここで、おわってしまった!!!!!


「――――……ってぇか、先輩。問答無用でライダーキックは無いじゃないスか」
「だって、シロウがサボってるのがいけないんだよ? 授業にはきちんと出なくちゃ!」

 ぴしっと靴跡を刻んだ顔面に指を突きつけてくるこの御方こそ、我が学園の現人神であるところの生徒会長であると誰が知ろうか。
 衛宮イリヤ先輩。なんだか複雑な家庭の事情がありそうなのは日本人なのに銀髪だとかそんな点からも明らかなんだが、ぶっちゃけ俺はあんまり興味が無い。
 彼女の特徴を一言で説明するならば小さい。二言で言うなら低い。とゆーかこれで年齢(ピー)歳で俺より年上なんだから恐れ入る。

「つうても先輩、チャイムなった直後に来たってェ事は、やっぱサボってたんじゃないのか?」
「そりゃあもう、シロウは授業サボるかなー、って予想してたからチャイムと同時に走ってきたに決まってるでしょー」

 へへんと笑って、MADAMADADANEと指を左右に振ってくる。
 ……あー、なんでだか知らんが、この人俺に絡んでくるんだよなあ……いや、迷惑だって訳じゃないんだが。
 つーか、もう昼休みなんだよな。となりゃあ――。


「真・ゲッターロボ!!」:お説教は勘弁だ。とっとと逃げるが勝ちと孔明さまも仰っている。
「マーボ戦線」:発想を逆転させるんだ。俺がどーしてこんな事をしているのかきっちり説明して逆転さ!
「石川先生のご冥福をお祈りします」:どうかお昼ご飯を一緒にお願いしますと土下座。土下寝。 ]

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最終更新:2006年11月17日 04:31