280 名前: ブロードウェイを目指して ◆bvueWC.xYU [sage] 投稿日: 2006/11/27(月) 00:33:31
「ふぅ…………」
今夜二度目のベッドへのダイブ、そしてため息。屋敷を出る前と状況が違うため、このため息は少しも煩わしくない。
なぜなら、最近の俺の考え事の大変を占める存在が会おうと思えばいつでも会えるような身近なとこにいるからだ。
もうここまで来ると自分の気持ちもはっきりしていて、後の自分が何をすればいいのか変に悩まなくても分かる。まぁ問題は彼女が受け入れてくれるかが問題なんだが。
「………………」
寝返りを一つ打つ。そう考えれば逆に落ち着かなくなってきた。
そりゃあ確かに会えない時に会えないよりかはいつでも会える方がいい。だからいつもはしないような行動も後の事など考えずに起こせた。
でも広い(本当に広すぎる)とはいえ、同じ屋根の下に彼女がいるのはちょっと、いや、滅茶苦茶落ち着かない。
不安だとかそういうのじゃないのは分かっているのだけれどどうにも気の構え方が変に……
「ああぁぁぁ……」
いつの間にか思考の坩堝にはまったようで最後にはゴロゴロとベッドの端から端まで転がって沸々と込み上げてくる羞恥心を誤魔化していた。
「それに、今日の保健室だって……」
そう、それだ。
何がどうなって俺はあんな事をしたんだろう。厳密に言うとしようとしたんだろう、か。
という事は俺はあんな事をしようとした日の夜に自分の家に彼女を連れ込んだのか……下心見え見えにしか見えないじゃないかぁあぁぁ……。
「本当はそんなんじゃないのにぃぃぃ…………」
「じゃあどういう意味だったんですか、志貴さん?」
「そりゃ単純に一緒に……って待てぇい!」
ガバッと反射的にベッドの上で立ち上がる。すると、ドアの隙間からよぉく見知った小悪魔がにやにやと笑って顔を覗かせていた。
「……何やってんですか、琥珀さん」
「いえいえ、ちょっと志貴さんの様子を見ようと思っただけですよ? 何やら上から騒がしい物音がするな~と思いまして」
「…………それは悪かった」
「ハイ。ですが『弓塚様』も心配なさってましたよ? 折角『志貴さんがお連れした』んですからあまり余計な不安をかけさせては駄目ですよ?」
「………………………………はい」
殊更不自然に、でも俺にとっては十分なほどに皮肉たっぷりに強調する琥珀さん。何ていうか、確信犯だよなこの人。
「では私はこれで。…………あぁそうそう志貴さん」
「ん、何ですか?」
ドアを締め切ろうとした直前に琥珀さんは何かを思い出して再びドアを戻した。
「弓塚様の部屋、私の部屋と近いんであまり大きな声出すとバレますんで気をつけてくださいねっ♪」
「…………………………」
返事をするとそういう事をするために連れてきたように聞こえるので、俺は代わりに右手で眼鏡を外そうとしてやった。
「きゃっ、志貴さん危な~い。ではおやすみなさ~い☆」
「………………ったく、あの人は」
最終的に脅しをかけて追っ払ったがそれでさえ遊ばれてるような気がした。
人をからかうだけからかって何が面白い………………んだろうな、きっと。常に遊ばれる側にいる者としては一生分からないんだろう。
「…………………………さて、と」
夜ももう遅い。今日はこれで寝ようかな…………。
健康男児、起床は六時:明日に備えて寝よ寝よ
安らぎ前の最後の一服:その前にちょっと水でも飲んでから……
やらねばならない時もある:何を言っている、本能に従うまま誰かさんを夜這いに行こうか
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最終更新:2006年11月27日 19:50