891 名前: ミルクナイト ◆M14FoGRRQI [sage] 投稿日: 2007/01/07(日) 05:07:29
凛は動けないでいた。
自分の目の前に映るどう見てもチンギスハンにしか見えないこの男は間違いなく英霊、
しかも第一声が「魔力or命?」である。まだサーヴァントを召喚していない彼女が
できるのは動かずに隙を見せない事ぐらいであった。
もし一歩でも動いたり何かを口走ろうものなら、その時に隙の生じた部位から齧りつかれ
そうだと思わせる程の殺気と狂気、それが相手から発せられていたからである。
ライダーは動けないでいた。
マスターを失い魔力供給がなされず、加えて数日前の敗戦による全身へのダメージ、
このままでは後一日もすれば消滅してしまうだろう。
できる事なら今すぐにも目の前の獲物から魔力を頂きたい。だが、それを実行するのは
現在の彼には危険な賭けであった。
凛のすぐ後ろには彼女の家すなわち工房がある。遠坂の工房なのだから相当の防御能力
と迎撃能力を誇るのだろう。もし、こちらから捕まえようと襲い掛かってその結果捕ら
えるのに失敗し家の中まで逃げられたらどうなるか?考えたくもない結末が頭に浮かぶ。
この場で勝負をつけて確実に獲物から魔力を奪うという目的、それを達成する為にライ
ダーが今取れる手段はただ一つ、相手を睨み続けて相手が隙を見せるか向こうから近づ
いてくるのを待つ事だけだった。
慎二は動けないでいた。
後頭部を叩かれて一瞬だけ気絶していたが実はとっくに意識は戻っている。
だがあえて何もしない。なぜなら後ろには自分をぶん殴った血まみれの英霊、前には自分
がぶん殴ろうとしていた遠坂凛、その二人が自分を完全に無視して火花を散らしている
のである。その迫力といったら空気を読めないキャラベスト3に入る慎二であっても
今立ち上がったらヤバイと思わせる程である。
なので、立ちあがるタイミングを計りつつ二人にその事がバレない様に死んだフリを続け
ているのである。
一方こちらは戦場から百メートル以上離れた林の影、そこには凛・ライダー・慎二の
様子を覗き込む者たちがいた。
テニスラケットを持った異色のアーチャーと彼のマスターの代理人としてアーチャーを
従えているアインツベルンのメイドのセラである。
「玄関前に遠坂のマスター、それと数メートル離れて対峙しているのが所属不明の
サーヴァント、さらにその足元に埋まっているワカメ、髪型から間桐慎二だと推測。
そしてさっきから十分以上三人に動きはなく、全員こちらに気付いている様子は無し。
以上っス」
アーチャーにとっては必須とも言えるスキル『鷹の目』を使い見た情景を正確にセラへと
伝えるアーチャー。
「ご苦労アーチャー。・・・一応聞きますが、ここからの狙撃は可能ですか?」
「無理ですね。―少なくとも現状では」
アーチャーのサーヴァント越前リョーマは様々な能力者がテニスコートの上で使用して
きた投擲術を投影して戦う魔術師である。
かつて彼のいた世界で行われた戦いの数々はおよそこの世界のテニスの常識を軽く凌駕
する一つ一つが伝説となりえる戦いであったが、それらの戦いはほぼ全てコート内に
限定されていた。
この為、アーチャーの投擲が十分な効果を得る有効射程はテニスコート一面分、距離に
して約三十メートルまでに制限されている。ただし、マスターからの魔力供給が十分で
あればこの限りではない。「現状では狙撃はできない」とアーチャーが言ったのはこの為
である。真のマスターであるイリヤの状態が原因で今の彼は全力以上の戦いをほぼ不可能
なものにされているのだ。
【選択肢】
ジャイアント・シルバ:「ならば行きましょうアーチャー。狙撃などせずとも正面から堂々と倒せばよいのです」三家+ライダーによる大混戦へ。
まけぼの:「狙撃のできぬ弓兵か。フフッ、素晴らしい喜劇だな」「貴様―何者」
「私か?私の名はザ・エアー。お前達に真の空気を読む男の姿を見せてやろう。
ただし空気読んだ上で全部ぶち壊すがな!よってここは通さん!!!」
まさに外道!アーチャー&セラ対抑止力SSFと凛&慎二対ライダー同時進行。
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最終更新:2007年01月07日 17:32