128 名前: 371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg [sage] 投稿日: 2007/01/19(金) 02:38:11
「うーん……」
一瞬、明日にでも買ってきてやろうかと考えたのだが。
良く考えなくても、明日は水銀燈との先約がある。
そっちがいつまでかかるか分からない以上、安請け合いをするわけには……。
と、そのとき。
「わかりました。では雛苺、明日私がそのあんみつを買ってきましょう」
そう名乗り出てくれたのは、ライダーだった。
その提案に、雛苺の顔がぱっと明るくなる。
「ほんとう!?」
「ええ。明日はアルバイトがありますので。
それが終わったら、あんみつを買って帰ります」
「C'est heureux!
ライダー、ありがとう!」
そのままライダーに抱きつく雛苺。
流石と言うべきか、その突然の突撃にもよろめかずに受け止めるライダー。
「悪いな、ライダー」
「いえ。先ほども言いましたが、アルバイトのついでです。
それにセイバーほどではないですが、私もそのあんみつに興味がありますから」
そう言って俺の謝辞を断るライダーだったが、雛苺を見るその目はどこか優しげだ。
ううむ、そういえばライダーは、女の子は可愛くあるべし、みたいな思い込みがあったっけ。
その点、雛苺は存在自体が女の子の象徴みたいなもんだからな。
案外、ライダーも雛苺のことを気に入ってるのかもしれない。
「ライダー、あんみつはどうか私の分も買ってきてくれるのでしょうか?」
「心配せずとも、人数分はしっかり買ってきます」
そわそわと催促するセイバーに、冷静に返すライダー。
ふと、時計を見れば、八時半を回ろうかという時間になっている。
あと少しすれば、ドールは眠りにつく時間だ。
俺は腰を上げて、部屋にいる面々を見渡した。
「じゃあ、俺はもう行くよ。
雛苺も、そろそろ寝るんだぞ」
「はーい」
俺も今日は早く寝ることにしよう。
水銀燈も言っていた通り、明日はきっと忙しくなるだろうから。
――翌日。
玄関を出たところで、俺は雲ひとつない青空を振り仰いだ。
「うん、よく晴れてる。出掛けるには丁度いいな」
本当に、気持ちいいくらいの晴天だ。
これで、出かける用件がもうちょっと陽気なものだったら文句もなかったんだろうけど。
「……ちょっと、士郎」
……と、清々しい気分に浸っている俺に水を差すような声。
いかにも不満、といいたげな、その声を上げたのは――。
α:俺が両手で抱きかかえている抱っこ水銀燈。
β:俺がバスケットの中に隠した手提げ水銀燈。
γ:周囲の目など気にせずに堂々と飛んでいる水銀燈。
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最終更新:2007年01月19日 06:37