194 名前: 371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg [sage] 投稿日: 2007/01/24(水) 22:55:03
「……なんなのよ、この恰好は?」
底冷え、という単語がぴったり似合いそうな声。
だがその声の出所はというと、実は俺の腕の中だったりする。
片手を水銀燈の膝の裏、片手を水銀燈の腕周りに回して支え持つ。
要するにお姫様抱っこ。
本来ならば、身長の足りない俺がやるとてんで様にならないことベスト3に入る行為。
なのに、先日は氷室、今日は水銀燈、と、ここのところ抱っこ率がやたら高いのはどういうわけなんだろうか。
「一体どういうつもり?
いきなりこんなことをして……死にたいの?」
相変わらず水銀燈は冗談を口にしない。つまり今の俺の命は風前の灯か。
ともあれ、水銀燈はどうやらこの体勢がお気に召さないらしい。
「どういうつもりって言われてもなぁ。
他に方法が思いつかなかったし。
水銀燈をトランクに入れたまま運ぶのも失礼だろ?」
「だったら私は自分で飛んでいくわ。
だからこの手を放しなさぁい」
「いや、動いてるところを他人に見られたらまずいって」
まあそれでも、こんなに大きな人形を抱えて歩いているのはだいぶ目立つけどな。
が、水銀燈はそれでもまだ納得していないようで、むー、と唸っている。
「それは貴方たち人間の都合でしょう?
水銀燈は誇り高い薔薇乙女《ローゼンメイデン》の第一ドール。
なにも隠すつもりはないわぁ」
ううん、他人に迷惑……って、水銀燈に言っても通じないか。
それじゃあ……。
α:「そりゃそうだろうけど、他人にいちいち説明するのも面倒だろ?」
β:「従者の務めだと思ってさ。これくらいはやらせてくれよ」
γ:「わかったよ、ここで降ろせばいいんだろ?」
δ:「ああもう、駄目って言ったら駄目なんだってば!」
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最終更新:2007年01月25日 23:45